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有識者コラム「何から始めればいいか分からない」現場のための相談窓口――長野県介護・障がい福祉生産性向上総合相談センターの取り組み【後編】

前編では、長野県が設置した「長野県介護・障がい福祉生産性向上総合相談センター」の設立経緯や事業内容について紹介しました。後編となる本記事では、同センターの伴走支援を活用した介護事業所の事例を取り上げ、現場でどのように課題を整理し、業務改善につなげていったのかを伺います。

左から:大日方 利男さん(介護労働安定センター長野支部 生産性向上担当)、篠原 孝太さん(長野県健康福祉部 介護支援課 介護人材係 主事)、浅野 恭子さん(介護労働安定センター長野支部 介護労働コーディネーター)

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「介護と障害福祉、現場の共通課題を背景に生まれた一体型の支援体制」

気づきシートで進めた課題の「見える化」

丸山 三惠子さん(介護老人保健施設孝穂舘 施設長)

丸山:私たちの施設では当時、「生産性向上推進体制加算」を取得したいと考えていましたが、何から取り組めばよいのか戸惑いがありました。介護ロボットやICT機器を導入すれば加算につながるらしい……くらいの理解で、具体的な進め方は見えず、加算の取得以前に「そもそも生産性向上とは?」ということすら分からず、まずは相談してみようと思いました。

浅野さんには、加算とか生産性とか難しい話ではなく、もっと根本的な部分として、現場で何に困っているのか、どうなりたいのかといった点から一つひとつ丁寧に話を聞いていただきました。その上で、「気づきシート」というものを使って、現場の職員の意見を拾い上げ、認識を整理していくことにしました。

浅野:全職員の皆さんから集めたシートをマップのように張り出し、課題の「見える化」を行いました。それを基に、職員同士で話し合う時間を設けてもらいました。

丸山:気づきシートを見ていく中で、さまざまな職種からの多様な意見が明らかになりました。一例を挙げると、朝食後の利用者さんをベッドに戻す介助を夜勤明けの職員が担当しており、時間や体力の面で負担が大きいことが分かりました。また、その影響で日勤の職員が本来の始業時間より45分も早く出勤しなければならない状況が生じていました。

浅野:課題が見えてきた中で、ただちに「人材不足だから人を増やしましょう」ではなく、業務の進め方を工夫することで改善できないかと考えました。そこで、業務内容そのものや役割分担の組み立てを見直すことにしたのです。

丸山:朝食後、午前中に入浴する利用者さんの人数を調整し、ベッドに戻す人数を減らすことで、夜勤明けの職員2人でも対応できる体制を目指しました。例えば、月曜日と木曜日は、以前は20人をベッドに戻していましたが、そのまま入浴に向かう人数を増やすことで、ベッドに戻す人数を15人まで減らせています。その結果、夜勤明け職員の負担は軽減され、日勤職員が大幅に早出することもほぼなくなりました。

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伴走支援がICTの“使いこなし”を後押しする

丸山:今回の取り組みを通して、「困ったら改善に向けて動く」という雰囲気が施設全体に生まれ、各部署でも課題を洗い出して取り組めるようになったことが大きな変化でした。文章化することは正直大変でしたが、取り組んで本当によかったです。また、当初の目的だった「生産性向上推進体制加算」についても動き始めています。介護ソフトの導入によって、職員がどこにいても記録にアクセスできるようになり、ベッドサイドでの記録を日誌に転記する必要もなくなりました。

浅野:事業所さんが自ら課題解決に取り組めることが大事だと考えており、これからも伴走するかたちでのサポートを大切にしていきたいです。開設からまだ2年ということもあり、まだ当センターの窓口をご存じない事業所さんも多いため、今後はさらに周知を進めるとともに、ワンストップ窓口として関係機関とのネットワークも広げていくつもりです。構えることなく「試しに聞いてみようか」というくらいの気持ちで相談していただけたらうれしいです。

篠原:ICT機器は導入することがゴールではなく、導入してからが本番だと思っています。ICT機器を導入し、どのように活用すれば生産性の向上につながるか。困ったことがあれば是非、「長野県介護・障がい福祉生産性向上総合相談センター」へご相談ください。長野県としても、当センターの活動を通してICTのことをより多くの事業所さんに知っていただき、実際の活用につながるよう取り組んでいきたいと考えています。

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