介護アンケート
※この記事は 2017年2月23日 に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。
「認知症の利用者の支援」に対する意識調査
- 2017/02/23 09:00 配信
- 介護アンケート
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厚生労働者の推計によると、要介護認定を受けた認知症高齢者の数は、2010年では280万人、2015年では345万人。今後も増加が予想されています。軽度の認知症を持つ独居の高齢者も珍しくない中、ケアマネジャーは、介護保険サービスはもちろん、地域のさまざまな取り組みも活用しながら利用者を支援していくことが求められています。そこで会員ケアマネジャーに、担当している認知症高齢者の状況や取り組んでいることなどについて調査を実施しました。
■調査結果
回答者:「ケアマネジメント・オンライン」会員ケアマネジャー1,725人、 調査期間:2017/1/13~2017/1/31
8割が「担当利用者の半数以上に認知症の症状がある」と回答
担当する利用者について訊ねたところ、最多だったのが「認知症を発症し、介護認定を受けた人がもっとも多い」で843名(48.9%)、次いで「軽度認知障害の利用者がもっとも多い」357名(20.7%)、「認知症(軽度認知障害を含む)の症状がある利用者は担当する利用者の半数以下」 327名(19.0%)、「介護認定を受けたあとで認知症と診断された人がもっとも多い」198名(11.4%)となり、軽度認知障害を含めると、8割のケアマネジャーが「担当する利用者の大半が認知症」と回答するという結果に。
「補足給付の厳格化で特養の入居を見合わせた・または退去を考えている」と回答した人は、77名(6.4%)、「高額介護サービス費の支給対象外の福祉用具の購入や住宅改修の利用をあきらめた」は、71名(5.9%)でした。また、367名(30.3%)が「サービスの利用に変化はないが、日々の生活や心理面で余裕がなくなり、支援においてより配慮が必要になった」と回答しており、現時点では具体的な影響はなくても、今後の不安を感じさせる結果となりました。
その他ポイント
介助の程度と要介護度が必ずしも一致しない…家族の負担も大きい
「認知症の利用者支援でむずかしいと感じることはどれですか」との質問で、もっとも多かったのは「介助の程度と要介護度とが必ずしも一致しない」で898名(52.1%)、「家族の負担が大きく、介護者支援の必要性も高い」は896名(51.9%)でほぼ同数でした。以下、「独居で認知症の利用者が増加し、支援にかかる労力や時間が増えている」が706名(40.9%)、「施設入所の選択、タイミングがむずかしい」が422名(24.5%)、「成年後見制度の利用など考慮することが多く、いずれも簡単ではない」が401名(23.2%)でした。
認知症を持つ高齢者の介護では、“要介護度と日常生活を送るのに必要な介助の程度は必ずしも一致しないこと”、“家族など介護する人の負担が大きいこと”がかねてより指摘されていますが、ケアマネジャーの支援においても同様であることがわかりました。
また、「施設入所の選択、タイミングがむずかしい」と回答した人は2割ですが、「その他」の回答として、「在宅介護の限界になってからの相談が多い」「家族の考え(「まだ大丈夫」)と援助者側の考えのずれが大きい」「グループホームでの支援の限界を見極めるタイミングが難しい」などがあったことからも、支援の適切なタイミングや、必要なサービスの見極めがむずかしいこともわかります。
約半数が特養やグループホームなどサービス選択のむずかしさを実感
認知症の利用者のサービス選択における悩みについて訊ねたところ、「利用者が特養入所を希望しても、原則要介護3以上となり、入所がむずかしい」が933名(54.1%)でもっとも多く、次いで「安否確認の意味も含め、訪問介護の回数を増やしたり、配食サービスを活用したいが、自己負担がかかる」が886名(51.4%)、「利用者がグループホーム入所を希望しても、費用が高い」が797名(46.2%)となり、いずれも回答者の約半数を占めています。以下、「利用者に必要でも、家族同居だと生活支援サービスが使えない」が663名(38.4%)、「認知症対応型通所介護が地域にない、数が不足している」が249名(14.4%)でした。
2015年4月より、特別養護老人ホームへの入居が要介護3以上に厳格化されました。認知症が重い場合は、要介護1・2でも例外的に入所できるとされていますが、調査の回答からは現実的にむずかしいことがうかがえます。また、費用が高いなどの理由で、住み慣れた地域で暮らし続けるためのサービスが十分に活用できていないこともわかりました。
認知症の利用者の支援のために8割がスキルアップ
「認知症の利用者支援のスキルアップで実施していることはありますか」との質問では、「アクティビティ(運動、音楽、回想法)などについて知識を深め、デイサービスの選択などに活かす」が656名(38.0%)、「認知症カフェなど地域の取り組みを見学し、活用する」が444名(25.7%)、「ユマニチュードなど介護の新しい技法について学ぶ」が391(22.7%)、「認知症ケア専門士などの資格を取得する」が219名(12.7%)であり、認知症の支援のために8割がスキルアップに取り組んでいることが明らかに。
その他として、「セミナーや研修会への参加」「認知症専門医との交流・研修参加」「地域に認知症サポーター研修を周知し受講してもらう」「認知症地域支援推進員との協同」などの回答がありました。
地域の取り組みが「ある程度充実している」は2割足らず
「見守り活動や生活支援など、認知症の人を支える地域の取り組みは充実していますか」との質問では、799名(46.3%)が「あまり充実していない」、427名(24.8%)が「不足している」と回答しました。また、175名(10.1%)が「取り組み自体はあるが、あまり機能していない」と回答し、約8割が地域の取り組みが十分ではなかったり、あまり機能していないと感じていることがわかりました。その一方で「まあ充実している」と回答したのは306名(17.7%)、「充実している」はわずか18名(1.0%)でした。
調査では、認知症高齢者の増加と同様に、ケアマネジャーの担当利用者にも認知症を持つ方が多い結果となりました。また、「介助の程度と要介護度が一致しない」「介護する家族の負担が大きい」ことなど、かねてより課題とされていることが、ケアマネジャーによる支援においても同じ状況であることがわかりました。
そして、認知症を持つ利用者の支援のために、ケアマネジャーの8割がさまざまなスキルアップに取り組んでいることが明らかに。一方で地域の取り組みが充実していると感じている人はわずか2割足らず。
認知症を持つ方が住み慣れた街で暮らし続けるためにも、さらなる地域活動の活性化と相互の努力が求められているといえそうです。
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