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乗り越えろ、5月病!現場のモチベーションアップ術

もう5月も終わりのはずなのに、どうにも明日の仕事への意欲がわかない―。案外、そんな人が多いのでは?ケアタウン総合研究所の高室成幸代表に、ケアマネジャーがモチベーションを保ち続けるためのポイントを紹介してもらいました。

厳しい「感情労働」を求められるのがケアマネ

5月病。いやな響きですね。もっとも、ケアマネをはじめとした介護従事者には、5月に限らず、燃え尽きるように仕事への意欲を失い、離職してしまう人がいます。

介護従事者が燃え尽きてしまう最大の理由は、介護の仕事が「感情労働」ということにあります。

肉体労働とは主に身体を使った労働のこと。頭脳労働とは主に頭を使った労働。「感情労働」は主に心や感情を使った労働と考えればよいでしょう。例えるなら、マンションの建設現場は肉体労働、設計士や現場監督の仕事は頭脳労働、完成したマンションを販売する営業職が感情労働といったところでしょうか。

感情社会学者のA.R.ホックシールドは、ユーザーに接する仕事で各種の店員や接客業など自分の感情をコントロールするサービス業の多くが「感情労働」に該当する、としました。その中でもとりわけ厳しい「感情労働」は介護と看護であると指摘しています。

例えば、店員は顧客に商品を販売する際、できる限り「にこやかな感情」を使って接することを求められます。ただし、販売の仕事の多くは、長い時間、連続して笑顔でいることを求められるわけではありません。例えばコンビニエンスストアの店員であれば、せいぜい1分程度でしょう。他の接客業でも、長くて1時間くらいではないでしょうか。

ところが、ケアマネを初めとした介護従事者は、それよりもずっと長い時間、連続して「感情労働」を強いられます。働いている間中、自分の感情を使って対人援助を行うことを強いられているのが介護現場です。

さらに介護・看護などにおける「感情労働」の難しさは、単に笑顔で愛想よければいい、というわけではないという点です。みなさんが寄り添わなければならない利用者(家族)は、イライラしていたり怒っていたり、悲しんでいたり、自罰的だったりと、マイナスの感情を抱えている場合が多いでしょう。そんな利用者に共感的に寄り添うためには、笑顔だけではなく、怒りや悲しみの感情を使って寄り添うことになります。これはほかの感情労働者よりはるかに難易度の高い行為です。

その上、介護を受ける人は、一時的に改善がみられても長いレンジでみれば身体機能や認知機能が衰えていくプロセスを経ます。ですからみなさんは「達成感」を得るより「不全感」「未達感」のなかで仕事をしなければなりません。

つまり介護従事者は、他業種と比べても難しい感情労働を、それも長い時間にわたってこなしているのです。だから本人の自覚の有無に関係なく心が疲れてしまっている(感情疲労)。疲れが高じて心的感覚麻痺の状態になれば、「感じることさえ」できなくなります。「これではダメだ」と自分をさらに追いつめてしまうと、やがて燃え尽きてしまう職員が生まれるのです。

対策その1-自分の性格と価値観を改めて把握して!

この環境で燃え尽きずに働き続けるには、まず、自分がどういう性格で、どんな価値観の持ち主なのかを、しっかり自己覚知(把握)する必要があります。

価値観は100種類くらいあるといわれます。例えば、のんびりとした性格の人はせっかちさんにイライラします。おしゃべり好きの性格は寡黙で静かな人は苦手なものです。約束を守ることを大事している人であれば、約束や規則にだらしない人を見ると、それだけで腹が立ってくるでしょう。誠実な言動を大切にしている人であれば、平気で嘘をつく人は許せないと思うはずです。

つまり、性格分析と価値観の把握を通し、「自分が何にストレスを感じるか」を把握しておくということです。それが分かっていれば、ストレスから自分を守りやすくなります。

対策その2-十分に眠り、仕事にメリハリをつける

さらに大切なのは「心と頭を休める工夫」をすることです。といっても、そんなに難しいことではありません。

「7時間~8時間の睡眠をとること」
「オンとオフを明確に分け、できる限り残業したり、家に仕事を持ち帰ったりしないこと」
「帰宅前に10分程度の瞑想をしてクールダウンをする」

これらを徹底するだけで、ずいぶん心と頭は休まるはずです。

さらに、夢中になれて仕事を忘れられる趣味を持つといいですね。それを3つか4つ持っていると、よりグッドです。

内容は、カラオケでもスマホを使った写真撮影でも何でもいいんです。ちなみに私は、2~3日ごとに5キロから10キロほどジョギングしたり、ジムでストレッチトレーニングをしたりしています。一番よいことは、一定時間、確実に仕事から解放されること(笑)。また、有酸素運動ですから頭の働きも活性化してくれます。「心の汗は体の汗で流す」・・・そんなつもりではじめてもう20年になります。

あと、心をリフレッシュする上で案外有効なのが、異業種の人とおしゃべりをする時間を持つこと。同業種の人ばかりだと仕事から頭は離れないし、つい愚痴になってしまいますから。下手をすると仕事への負の感情が高まったりすることにつながりかねません。

対策その3-新人には成功体験を!

キャリアを重ねていくとストレスが高まりやすくなるタイミングがあることも把握しておくべきでしょう。具体的には、転職や異動の直前直後はストレスが高まりやすくなります。

前回も述べましたが、ケアマネになるということは、基礎資格である介護職や看護職などから転職するということです。直接援助職から間接援助職への「転職」は、大きなストレスを抱え込みやすいタイミングといえます。

大きなストレスを抱えやすい新人のケアマネにモチベーションを保ってもらうためには、ケアマネとしての成功体験をいろんな場面で積んでもらうように仕向けることが大切です。

具体的には、「自分の仕事ぶりを見せた上で次回は同行訪問をして振り返りをする」「前向きに介護と向き合っているような利用者(家族)の方を担当させる」などでしょう。何ごとも経験だと決めつけて、スタートした初期の段階でクレームが多い利用者を担当させるようなことがあってはなりません。

対策その4-人材育成には動画を活用した丁寧な「OJT」と「個人面談」を!

実践的な人材育成手法である「オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)」も、丁寧に行いましょう。具体的には3人で行います。まずケアマネ役(対象者)と利用者役を決めます。あなた(先輩)は観察者です。

手順は、(1)「取り組むテーマ(インテーク、電話の応対、アセスメント等)を説明する」→(2)「説明したテーマの見本を先輩がやって見せる(5分~10分程度)」→(3)「新人さんに、やってもらう」→(4)「やったことを振り返る」。この4ステップで取り組みます。

振り返りを効果的に行うには「じかに自分の相談援助の状況を見ること」です。(3)の様子をビデオやスマートフォンなどで撮影し、すぐに振り返るとより有効です。

これは新人だけでなくベテランも基本に立ち返るという点で効果があります。

定期的な個人面談(個人スーパービジョン)も重要です。1週間後、3週間後などに30分でもいいから行いましょう。その際、「振り返り」だけでなく、「これからどのような課題」に取り組むのか、いつまでにどのようなことができるようになるか(目標)を決めましょう。

対策その5-心が折れかかったケアマネには「同行訪問」を!

ストレスを抱えるのは新人だけではありません。ベテランのケアマネの中にも、燃え尽きて辞めてしまう人はいます。

もし、燃え尽きそうになっているケアマネがいるなら、きちんと時間を割いて対応し、個人スーパービジョンをしましょう。なぜ、そう感じるのか、本人に向き合い、傾聴し、一緒に考えることが大切です。指示や指摘でなく「示唆的な助言」がよいでしょう。

それから、そのケアマネと1日、一緒に同行訪問するのも極めて有効です。

一日一緒に行動すれば、いろいろなものが見えてくるはずです。例えば、口が悪い人を担当し、心が折れかかっているなら、相手の物言いがどのくらい激しいかも実感できるし、厳しい物言いに耐えながらも職務を遂行しようとする本人の真摯さや誠実さも目の当たりにすることができるでしょう。

その厳しい空気を部下と共有した上で、「あんなキツイ人を担当していたのね。あれでは、私でもへこむわ~。あなたは、本当にすごい。いい仕事しているよ!」とねぎらいと賞賛の言葉を掛ければ、本人の心はずいぶん支えられるはずです。

悩みを聞くためにミーティングの時間を設けるのもよいですが、定期的に同行訪問する時間を持つこと。そのことで同じ現場に立ち、苦労を共有することの方が有効です。

高室成幸
ケアタウン総合研究所代表。日本福祉大社会福祉学部卒。「地域包括ケアシステム構築と新しい福祉の人材育成」を掲げ、介護支援専門員、主任介護支援専門員、地域包括支援センター職員、施設の管理職、民生児童委員らを対象とした研修会で講師を務める。「わかりやすく、元気が湧いてくる講師」として知られる。
研修のテーマはケアマネジメント、介護予防ケアマネジメント、地域ケア会議、ケアプラン点検、ケアプラン作成にはじまり、メンタルマネジメント、施設マネジメントまで幅広い。著書に「新・ケアマネジメントの仕事術」 (中央法規刊)、「ケアマネ育成指導者用講義テキスト」(日総研刊)、「地域ケア会議コーディネートブック」(第一法規刊)、「本人を動機づける介護予防プラン作成ガイド」(日総研刊)、「ケアマネジャーの質問力」(中央法規刊)など著書多数。
公式サイト:ケアタウン総合研究所

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