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本音で放談、ケアマネ×ドクター本音で放談、ケアマネ×ドクター

本音で放談、ケアマネ×ドクター

認知症には「生活を支える医師」が不可欠【後編】

前編では、認知症の人を支えるには、生活を支える医師こそが大切という話が出ました。今回も、前編に続き、認知症をテーマに、ケアマネと医師の本音の放談をお届けします。

■今回ご協力いただいた医師
小畑正孝 医師
赤羽在宅クリニック院長。専門は公衆衛生学。

30歳代男性ケアマネB(以下B):小畑先生のおっしゃることはよくわかります。ただ、認知症の人の家族が、訪問診療より大病院を上にみて、その診察や処方をありがたがる傾向があります。

40歳代女性ケアマネA(以下A)A:そうね。実際、通院できなくなったから、訪問診療に切り替える、なんて選択をする人が多いです。

:家族にそういう風に対応されると、こちらとしてはどうしようもないわけです。私も「医師は選べる時代になったんです」と働き掛けているんですが…。

50歳代女性ケアマネD(以下D):病院を優先したがる家族を説得する方法はありますか?

小畑:認知症の家族はたいてい、何かに困っています。私の場合、その困りごとを解決するための提案を繰り返すことで、訪問診療を使ってもらうようにしています。例えば認知症の人への対応で昼も夜もなく、家族が寝られなくて困っている場合、「とりあえず、生活のリズムを正し、皆さんが寝られるようにしましょう」と伝えます。寝られないというのは、ものすごいストレスですからね。そうしたところから解決していき、信頼を得ていく。

「寝られない家族」を前にリスクだけを語る医師

30歳代女性ケアマネC(以下C):確かに夜、眠れないという悩みを抱える家族はすごく多い。なのに、認知症の人に睡眠導入薬を処方するよう医師にお願いしても、「寝るために薬を出すと転倒の危険性が高くなる。だから出せない」「眠くなれば寝るから」などとまで言われてします。家族は疲弊しきっているんですよ。そんな家族に、リスクだけを説いて、対応をしようとしない。家族の疲労には一切、目を向けようとしない。そんな現実があるから、在宅での介護をあきらめて施設に入れることを検討している家族もいます。

:ちなみに、そのご家族はどう対応されたんですか。

:結局、家族は対応しきれずにショートステイを利用しました。認知症の人から1泊2日分離れるだけで、家族の表情は全く変わりますよ。

:認知症の人への対応で寝ることができないなら、夜間ヘルパーを活用すればいいとか、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を使えばいい、なんてことを言う人もいます。しかし、その対応をしたところで、家族は結局、眠れない。ヘルパーさんが来るのに、家族が寝ているわけにはいかないじゃないですか。

小畑:そうですね。この場合については、医師の判断に問題があると思います。確かに睡眠導入剤にもリスクはあります。でもリスクとベネフィットを考えて、ベネフィットの方が大きい治療をするのが普通です。そして「寝られない」というのは、本人にも家族にも最大の問題です。ある程度のリスクを伴うにしても、何らかの対応しなければならないことでしょう。

:その点を医師に言うと、「本人のための治療。家族のための治療じゃない」と言われそうですが…。

小畑:もちろん私も、医療は患者本人のためにあると思います。ただ、家族が疲弊しきっている状態であれば、家族を救わなきゃならない。家族がいなければ認知症の人だって生活できないわけですから。本人を守るために家族を優先することは当然あります。

怒って連携が困難な医師も

:一方で、本人も家族も信頼している顔なじみの町医者がいるにも関わらず、認知症や病気が進行してしまっている人もいます。家族も本人も信頼している先生がついているのに、なぜ、そんなことが起こるんだろうと不思議になります。

小畑:家庭医がいるということはとても大切なことですが…。はっきりとした理由はわかりませんが、だいたい40歳を超えた医師はスーパーローテーション(※注)をやっていないことが影響しているのかも。

ケアマネ一同:スーパーローテーション?

小畑:希望する専門科以外の科も順次、経験するカリキュラムのことです。20年ほど前は、この仕組みがなく、どの医師も資格を取ったら、すぐに目指す専門分野の教室に所属しました。そんな医師が、ある程度の年齢になると地元で開業したりする。その結果、「内科の経験がほとんどない町医者」が、出てくるわけです。

(注)スーパーローテーションが必修化された現在の臨床研修制度は2004年に導入された。それ以前の医学部卒業生の現場研修は病院、個人により様々だった。

:なるほど。そんな背景があるんですね。でも、私たちが現場で本当に困るのは、そういう先生に限って怖いこと。相談しても、「俺の診断が間違っているのか!」と怒ってしまい、とにかく連携が取りづらい。

小畑:怒る人は、医師としての能力に疑問を感じます。聞かれたら、説明したらいいだけですからね。そこで怒るのは、治療に自信のある根拠がない証拠ですよ。わかっていない証拠です。

:怒られるわけではないですが、大きな病院では、そもそも先生に連絡を取ること自体が困難だったりします。まず、電話での連絡が難しい。文書で問い合わせるにしても、ひどく手間です。病院の文書課を通さなきゃならないこともあるから。それこそイエス・ノーで答えられるような、ごく簡単なことを聞きたいだけなのに。

小畑:どんな形であれ、「壁」を作ってケアマネをはじいてしまう医師は、患者の生活をよくしようという考えがないと思われてもやむを得ないでしょう。医師も診断する上で、家庭での様子が分かっていなければならない。そう考えれば、ケアマネの力と情報はどうしても必要なのです。

:うーん。確かにおっしゃる通りでしょうね、でも、私たちが病気や診断に関して口を出そうものなら、それだけで「医療職でもないのに素人診断して家族を惑わすとは何事か!」と怒って、より連携が難しくなる先生もいるように思います。

:そうそう。私たちだけでなく家族から「ケアマネさんが病気について、こんな風に言っていた」なんて伝わってしまい、医師の機嫌が悪くなってしまわないか不安です。

小畑:何度でも言いますけど、そういったことで怒る医師は、認知症には不向きな医師だと思います。

診断の場では「これまでのストーリー」が大切な情報

:われわれのことはさておき、医師の前にいくと、伝えるべきことを伝えられない家族が多いのも困ります。緊張してしまうんでしょうけど。

小畑:私が患者や家族と向き合っても、例えば「失禁がある」ことなんて絶対に自分から言わないですよ。こっちから聞かないと教えてくれない。

:そういう日常の細かな情報は、やはり私たちが同行して伝えた方がいいんですか?

小畑:少なくとも私はそう思っています。医師は、目の前の患者の状況しかわかりません。そして、認知機能が衰えたり、身体機能が衰えたりした高齢者は、それほど特別な存在ではありませんから、医師も細かい点にまで気を配らずに診断を下す可能性も出てきます。ところが、例えば、「今は、トイレに行ってもズボンも脱げないけど、1カ月前には自転車に乗って公園に出かけるのが日課だった」という、過去のストーリーまで分かる情報があれば、より正確な診断が下されるはずです。

医療も介護も、患者の現実を支えるパーツの一つ

:何より難しいのは認知症の自覚がない人の対応です。そういう人を病院に連れて行くと、本当に医師に相談すること自体が困難になります。そんな時はどうやって医師に相談すればよいのでしょうか。

小畑:確かに通院では対応が難しいですね。ただ、言えることは私たちが家に訪れる場合であれば、家に本人がいても、家の外で話すこともできる。家族に問題がある場合は、逆の方法もあります。

:そういえば、ケアマネも医師も訪問を受け付けない人もいませんか? そういう、取り付く島もない人はどう対処なさっているのですか。

:そうそう。何が何でも玄関を開けなかったり、誰かが来る時に限っていなくなったり…。

小畑:いや、そこは皆さんの知恵こそをお借りしたいです。私も何度も門前払いされ、ケアマネさんに相談したりしました。

:私の場合「区役所の職員です」と名乗ったりしたことはありましたね。

小畑:なるほど。やはりそういう工夫ですか。私たちも、医者嫌いの患者さんの家には、白衣を脱ぎ、身分を隠して出向きます。

:そういう工夫をしてでも、患者と向き合ってくれる医師こそが貴重と思います。

小畑:医師は偉いわけでもなんでもありません。介護と同様、医療は患者の現実を支えるパーツの一つです。認知症の人と向き合う時は、特にその意識が大切です。患者の現実を支えるために白衣が邪魔なら、いくらでも脱ぎます。

:そこまで考え、行動してもらえるお医者さんが増えてくれれば、本当に言うことないんですけどね(笑)

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