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返還につながるケアプランとは?作成上の注意点

今回のテーマは、ケアプラン作成上の注意点です。「軽微な変更」と、訪問介護における生活援助サービスの利用回数の上限の2点について解説します。

軽微な変更

1. 「軽微な変更」とは?

ケアプランを変更する際、「軽微な変更」に該当すれば、アセスメントからサービス担当者会議、ケアプランの作成・交付までの一連の業務を省略することができます。ただし、レンタルした車椅子を翌月に返却する場合など、品目の追加・削除や個数の変更、一部の介護保険サービスを止める場合については、「軽微な変更」として取り扱うことはできません。

「軽微な変更」に該当するか迷ったら、必ず役所に事前確認してください。「特定事業所加算」を算定している場合、迷ったらサービス担当者会議を開きましょう。「未開催」になると運営基準減算の対象になるだけでなく、「特定事業所加算」の算定要件も満たせなくなるため、大きな介護報酬の返還につながります。

2. 実務処理の手順

手順1: 「軽微な変更」に該当する場合は、ケアプランの変更箇所の冒頭に変更日時を明記した上で、同一用紙に見え消しで修正します。

手順2: 支援経過記録にも、「軽微な変更」として取り扱った旨を記載します。

手順3: 利用者及びケアプラン第2表に位置付けた事業所等に、「軽微な変更」の内容を周知し、支援経過記録にもその旨を記載します。

3. 事例

(1)サービス回数の変更

サービスの利用回数の増減が「1回程度」があった時は、「軽微な変更」に該当します。この場合、ケアプラン第2表の「頻度」と第3表の変更が必要ですが、アセスメントからケアプラン交付までの一連の業務を省略することができます。

サービス担当者会議を開いた方が良いと判断した場合でも、すべての事業所を召集する必要はなく、直接の担当者以外は意見照会で済ませることもできます。支援経過に記録し、利用者・家族やサービス担当者と調整してケアプランを書き換えます。

(2)一時的な曜日の変更

利用者の体調不良や家族の都合などの一時的なもので、単なる曜日・日付の変更の場合は、「軽微な変更」に該当します。ケアプラン第3表の一時的な変更となるので、この場合も、一連の業務は省略することが可能です。サービス担当者と調整して支援経過に記載することで、「一時的な変更」として処理されます。

(3)サービス期間の延長

解決すべき課題など、ケアプラン上の目標そのものを変更する必要がなく、単にサービスの実施期間の延長となる時も、一連の業務を省略することができます。支援経過に記録し、利用者・家族、サービス担当者にその旨を周知します。

(4)サービス内容だけの変更

目標が同じでも、サービス内容にわずかに増減がある時は、ケアプラン第2表のサービス内容の変更が必要ですが、解決すべき課題や長期・短期目標に変更がない場合は、一連の業務を省略することが可能です。支援経過に記録し、利用者・家族やサービス担当者と調整した上で、ケアプランを書き換えます。

4. 「軽微」かどうかの判断

「軽微」に当たるかどうかの判断は、変更するケアプランの内容が、アセスメントからケアプラン交付までの一連の業務を行う必要性の高い変更(※)であるかどうかによって判断すべきです。「軽微な変更」と判断した場合、その根拠を支援経過記録に残す必要があります。

※以下の場合が該当します。

  • サービスの提供時間は同じだが、内容が大きく変わるため、目標の変更が必要
  • 解決すべき課題が増え、目標やサービスが増えた
  • 利用者の状態が変わり、サービスを利用する時間帯や回数が大きく変更になった

生活援助サービスの利用回数の上限の取り扱い

1. 届け出対象となる利用回数

生活援助中心型の指定訪問介護サービスで、厚生労働省が定める利用回数の上限=表=を超えてケアプランに位置付ける場合、その必要性をケアプランに記載した上で、市区町村に届け出なければなりません。記載内容から必要性が分かる場合は、ケアプランのみ提出すれば事足ります。届け出の期限は、ケアプランを作成または変更(「軽微な変更」を除く)した月の翌月末日となります。

届け出のあったケアプランについて、地域ケア介護などで検証した結果、利用回数が適切では無いと判断された場合は、市区町村がケアマネジャーに是正を求めます。家族の支援を受けられない事情があったり、認知症などの症状があったり、上限を超えざるを得ない特別な理由がある場合は、そのことをしっかりと記載しましょう。

2. 地域ケア会議の指針を確認する

厚生労働省は2018年10月、地域ケア会議で検証する際の指針となる「多職種による自立に向けたケアプランに係る議論の手引き」を出しました。この中には、ケアプランなどの記載事例も入っており、これを基に通常の実施指導やケアプラン点検も行われることになります。必ず内容を確認し、日々の業務に取り入れましょう。

地域ケア会議で検証する際は、利用者の課題を明確にした上で目標を立て、設定した期間内に達成可能な支援内容になっているか、利用者本人も評価できる目標で、その達成が実感できるものになっているかどうか、事前に確認されます。

3. ケアプラン別のチェックポイント
「多職種による自立に向けたケアプランに係る議論の手引き」には、ケアプラン別のチェックポイントが記載されています。一つずつ確認しましょう。

(1)第一表

  1. 利用者及び家族の生活に対する意向
    • 利用者・家族が利用者の生活をどのように過ごしたいのかが具体的に書かれているか?
    • 利用者・家族が生活上のどのような点を改善したいと考えているか?
  2. 総合的な援助の方針
    • 利用者・家族を含むケアチームが、目指すべき方向性を確認し合える内容が記載されているか?

(2)第二表

  1. 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
    • それぞれの課題が導き出された原因や背景を押さえているか?
    • 改善すべき課題の項目として適切に整理できているか?
    • 利用者の自立を阻害する要因等について、相互関係をも含めて明らかにしているか?
  2. 長期目標
    • 解決すべき課題を目指し、達成可能な目標設定になっているか?
    • 認定期間も考慮しながら、達成するために必要な期間として適切か?
    • アセスメントの結果を踏まえた適切な目標設定になっているか?
      (支援者側の目標設定、サービス内容を目標に設定等)
  3. 短期目標
    • 長期目標を達成するための段階的な目標と期間になっているか?
    • サービス提供事業所が個別サービス計画を立てる際の指標になっているか?
    • 抽象的な目標ではなく、具体的な目標設定になっているか?
  4. サービス内容
    • 短期目標の達成に必要なサービス内容になっているか?
    • 医療ニーズが高い場合は、医療サービスも盛り込まれているか?
    • 主治医意見書やサービス担当者会議の意見を反映しているか?
  5. サービス種類
    • 必要に応じて、家族支援やインフォーマルサービスなども記載されているか?
    • サービスの選択が過不足なく適正に行われているか把握する?

(3)第三表

  1. 週間サービス
    • 介護保険サービス以外の取り組みについても記載し、家族の支援や利用者のセルフケアなどを含む生活全体の流れを把握したものになっているか?
    • 円滑なチームケアが実践できるような、分かりやすい記載になっているか?
    • 同居家族や近隣の支援者のスケジュールも記載されているか?
  2. 週単位以外のサービス
    • この記載欄が、サービスの全体像や中長期的なサービス計画の把握のためにあることを理解し、短期入所や住宅改修、通院状況等の記載などで活用しているか?

(4)第四表

  1. 会議出席者
    • 会議に出席していない専門職に照会した内容や方法が書かれているか?
  2. 検討内容
    • 直近の会議で議論した項目について、参加した専門職の意見を確認したか?
    • 実際に支援に当たっている専門職の見解を把握しているか?
    • 利用者・家族の意向が、議論の内容に適切に反映されているか?
  3. 結論
    • 利用者・家族の意向を尊重しつつ、自立支援の観点から合意形成が行われたか?
    • 支援内容や方法等、具体的な支援のあり方はどのようにして決定したのか?
  4. 残された課題
    • なぜ解決できないのか?
    • 地域性によるものか、利用者本人によるものなのかを確認したか?
    • 参加した専門職の見解を確認したか?

これらのチェックポイントは、地域ケア会議で検討することを想定したものですが、同時に実地指導やケアプラン点検での標準的な指針となることが予想されます。日頃から、これらを意識したケアプランの作成を心がけましょう。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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