ケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンラインケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンライン

CMO特別インタビューCMO特別インタビュー

CMO特別インタビュー

“ベストケアマネ”はAIを使いこなす/高橋泰(国際医療福祉大 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部長)【前編】

昨年夏以降、厚生労働省は介護領域のAI(人工知能)の開発に向けた検討を本格化させている。国際医療福祉大の赤坂心理・医療福祉マネジメント学部の高橋泰学部長はこれまで、AIや見守り機器の導入に伴う人員基準の緩和の拡大などを同省側に提言してきた。政府の未来投資会議・構造改革徹底推進会合で副会長(医療・介護分野)も務める高橋氏は、ケアマネジャー支援ソフトの開発者でもある。高橋氏に、「AI時代」のケアマネの働き方などを聞いた。

高橋泰/国際医療福祉大 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部長

―AIの進化によって、コンピューターの世界はどのように変わったのでしょう。

これまでのコンピューターは、「デジタル情報処理装置」でした。AIによって最も大きく変わったのは、映像や音声といったアナログ情報も扱えるようになったこと。つまり、コンピューターが、すごい「目」と「耳」を持ったのです。

例えば、すごい「目」を持ったAIは、専門家並みの鑑別能力で、人間が行うよりもはるかに高速に、画像からがんの部位を見出します。また、人間には休憩や睡眠が必要ですが、AIは、24時間休まずに監視を続けることもできます。

そして、すごい「耳」を持ったことで、英語を聴いて日本語処理を行うなど、多言語への対応が可能になり、心音など、人間には聞こえない音も聞き取れるようになりました。

これらにより、コンピューターは「デジタル+アナログ情報処理装置」になったのです。

さらに、人間が与えたデータを繰り返し学習し、そこに潜むパターンを見つけ出す「機械学習」の能力も向上したことで、コンピューターの未来予測能力が高まりました。膨大なデータを基に、今まで以上に精度の高い「占い」をするようになったのです。そしてツボにはまれば、それがめちゃくちゃ当たります。

ただ、その一方で、人の気持ちを理解する能力は、全くと言っていいほどありません。

「見守り」でのAI活用が最有望

―厚労省に対する提言では、AIや見守り機器を導入した場合の人員基準の緩和の拡大などを求めました。普及に向けた課題はありますか。

AIや見守り機器を介護現場で普及させるためには、4つの必要条件があると考えています。第1に、人間が作業をするよりも事故が増えないこと。この視点で考えると、要介護の利用者と直接接触するタイプの介護ロボットは、現時点ではハードルが高いと言えます。

そして第2に、導入のコストが人件費よりも安いこと。さらに第3は、AIを使うことによって、大幅に作業効率が上がること。施設や事業所の人員やコストを減らすことができるという方向に持っていかないと、現場で広がっていかないでしょう。

もう一つ大事な第4のポイントが、導入する現場が仕事のやり方を変えられることです。AIの導入と働き方改革はセットで考える必要があります。これら4つの条件をクリアできそうな領域として最も有望なのが「見守り」です。

介護施設で行った実証実験では、見守り機器の導入によって、夜間のユニット内が静かになったというデータもあります。人間が夜間に回ると、どんなに気を付けても、ドアの開け閉めなどで目が覚める方が出ますが、見守り機器を使えば、その心配はなくなります。睡眠の状態が良くなり、昼間の介入も少なくなったことで、スタッフの負担も大幅に減りました。

今後、AIを普及させるためには、行政側のサポートが不可欠です。人員基準の緩和などで後押しする必要があります。2018年度の介護報酬改定では、特別養護老人ホームなどで一部導入されましたが、これをさらに拡大すべきです。また、働き方に関する研修や監査の在り方についても併せて検討しなければなりません。

ケアプランAIの普及は利用者次第

―昨年秋には、ケアプランの作成を支援するAIが初めて製品化されました。AIの普及によって、ケアマネの働き方はどうなっていくのでしょうか。

認知症になると、感情の抑制が取れるので、環境の要因がそのまま症状に反映されます。例えば、室内が暑いとか、本人が不快に感じていることを取り除いてあげるだけで、BPSD(認知症に伴う行動・心理症状)を防ぐことができる場合もあります。

こうしたケースでAIは、例えば、高温時に何度か引き起こしたBPSDのデータを基に、30分後の問題行動の発生を予測し、室温を下げることを提案してきます。また、すごい「耳」で腸の運動状況を察知して、「今はぼーっとしているけれど、30分後には便意が出て、1時間後に騒ぎ出す可能性がある」といった将来予測をはじき出し、それを基に最適な介護のプランを提案します。

このような大きな利点がAIには期待できますが、AIに常時、徹底的に監視されることを拒む利用者もいるでしょう。「ケアマネがAIを使いたいと思うか、思わないか」ではなく、「利用者が望むか、望まないか」という視点で決める。最終的には、利用者自身がAIを使った方が良いと判断するかどうかだと思います。

AIは、すごい「目」と「耳」で集めた情報を基に将来予測を行う「占い屋」に過ぎません。「このままでは歩けなくなる、問題行動を起こす」など、AIの予測を適切に利用しながら、人の気持ちを加味したケアプランを作成する。こうしたケアマネが、“ベストケアマネ”になっていくと私は思います。

高橋泰(たかはし・たい)
1986年、金沢大学医学部卒。東大病院の研修医を経て、東京大学大学院医学系研究科を修了。米国のスタンフォード大学、ハーバード大学に留学後、1997年に国際医療福祉大学教授に就任。2018年4月に同大赤坂心理・医療福祉マネジメント学部の学部長となり、現在、同大大学院医学研究科医療福祉管理学分野の教授を兼任している。2016年9月から、政府の未来投資会議構造改革徹底推進会合の健康・医療・介護会合で副会長を務めている。医学博士(医療情報)。

スキルアップにつながる!おすすめ記事

このカテゴリの他の記事

CMO特別インタビューの記事一覧へ

ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報

介護関連商品・サービスのご案内

ログインしてください

無料会員登録はこちら

ログインできない方

広告掲載・マーケティング支援に
関するお問い合わせ