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連携強化以外の選択肢はない!ケアマネと医師

今、国はケアマネジャーに何を求めているのか―。それを最も適切に教えてくれるのは、介護報酬の改定や介護保険制度の改正の内容だ。新たに付け加わったことや、大きく変更された項目の詳細を見ていけば、国がケアマネジャーや介護事業者に期待していることが浮かび上がってくる。

例えば、2018年度の介護報酬改定では、担当している利用者が入院した場合、ケアマネが病院側に情報を提供すると算定できる「入院時情報連携加算」が変更された。直にケアマネが病院へ出向くかどうかではなく、3日以内か7日以内かといった情報提供のスピードで報酬に差が設けられたのだ。これによって入院する要介護者の情報が早期に医療機関へ提供されることになるはずだ。

利用者の退院時に深く関わる「退院・退所加算」も大きく見直された。拡充されるとともに、医療関係者とのカンファレンスへの参加の有無で単位数に差がつけられている。さらに「特定事業所加算(IV)」「ターミナルケアマネジメント加算」といった医療・介護連携を強化するための加算も創設された。

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これだけでも、国がケアマネに対し、「とにもかくにも、医師や医療機関との連携強化を!」と、強く求めていることを十分読み取れる。いや、「求めている」などという生やさしいものではない。運営基準に主治医や歯科医への情報提供について新たな文言が盛り込まれたことなども思い合せれば、ケアマネは国から「医師や医療機関との連携を強化しなさい。それ以外の選択肢はない」という強いメッセージを突き付けられたと受け止めるべきだろう。

ケアマネが連携に踏み出せない理由とは

ただし、その国の意図を理解していても、医師や医療機関との連携にどうしても踏み出せないケアマネも多いようだ。

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連携に踏み出せない理由の一つには、「医療の専門用語の難しさ」が挙げられるのではないか。私もアマネから退院時の院内カンファレンスや診察時において「医療の専門用語が多く話の内容が理解できない」「必要な情報が引き出せない」といった声を、時々、聞くことがある。

特に介護福祉士や社会福祉士を基礎資格としているケアマネには、医療の専門用語を苦手としている人が多いようだ。看護師などの医療職種を基礎資格としているケアマネの場合、そうした傾向は見られないが、その数は、あまり多くはない。

もう一つの問題は医師の忙しさだ。多忙を極める医師は、ケアマネと意見交換する場合でも、5分~10分程度の限られた時間しか確保できないことが多い。そんな短い時間の中で、専門用語を連発する医師に対し、伝えるべきことを伝えるにはどうしたらいいのか。また、得るべき情報を得るには、どんな工夫が必要なのか―。

医師との連携には「十分な準備」が必要

コツは、「十分に準備すること」に尽きるだろう。「十分に準備」とは、医師や医療関係者に具体的に何を聞きたいのか、何を伝えたいのかをしっかり絞り込んでおく、ということだ。

話すべきことや聞くべきことが限定されていれば、相手の言葉に専門用語が混じったとしても、その意味は推測しやすい。さらに、自分から聞くべきことや話すべきことを限定するわけだから、関連する医療情報を「予習」しておくこともできる。

できれば、絞り込んだポイントをメールなどで医療関係者に前もって伝えておくとよい。そうすれば、やり取りはよりスムーズになる。少なくとも、何が聞きたいのかよくわからないような、ぼんやりとした状態で医師や医療関係者のところに出向いてはいけない。

在宅での看取りの促進のためにも不可欠な連携

ところで、医療との連携ということになると、避けては通れないテーマがある。自宅や介護施設での「看取り」の促進だ。

在宅での看取りを増やすのは簡単なことではない。例えば、普段から「自宅で最期まで!」と覚悟をしている独居の高齢者であっても、いざ体調が悪化し、死が間近に迫ってくると、精神的に不安になり、「やはり病院に行こうか…」となってしまうことがある。

家族がいる場合も同様だ。自宅で看取るつもりでいても、末期のうなり声を聞きながら眠れない看病を続けていると、不安ばかりが膨らみ、結局、病院に頼る例が目につく。

モルヒネや鎮痛剤を使えば、病気に伴う痛みを緩和することはできるが、不安まで取り除くことは難しい。その結果、いまだに8割近くの人が病院で最期を迎えている。

この状況を改善し、在宅での看取りを増やすには、何とかして本人や家族の不安を取り除くしかない。そして、ここでこそ、ケアマネと医療機関の連携が力を発揮する。

具体的には、本人や家族が安心して在宅での看取りケアを続けられるようにするため、ケアマネと医療機関が連携し、いつでも病院や施設に入院・入所できる体制を整えることが重要になる。逆説的なやり方だが、家族や本人の不安を取り除くためには、「本当につらい時には、いつでも駆け込める『最後の砦』がある」と実感してもらうことが、最も有効なのだ。

今、期待に応えなければ、3年後に厳しい結果が…

もちろん、連携の実現は口で言うほど簡単なことではない。だが、最初にも述べた通り、国はケアマネに対し、医師や医療機関と連携することを極めて強く求めているのだ。加算の拡充・新設だけでない。デイサービスや生活援助中心型の訪問介護の基本報酬が削減された一方で、居宅介護支援の基本報酬がアップとなったことも、診療報酬で介護との連携を手厚く評価するようになったことも、すべて「ケアマネと医療関係者は、もっともっと連携してほしい」という国の強い期待の表れだ。

今後、ケアマネは、この国の期待に確実に答えていかなければならない。それができなければ、3年後の介護報酬改定やその先にある介護報酬と診療報酬の同時改定において、居宅介護支援に恐ろしく厳しい結果が突き付けられることになるだろう。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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