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深刻な人材不足、ケアマネはヘルパーに選ばれる時代に

ヘルパー不足でプラン立案に苦労するケアマネ

介護人材の不足は、世間一般の常識になりつつある。

実際、介護事業の経営者と話をすると、「人がいない。募集しても集まらない!」といった悲鳴に近い嘆きを、必ずと言っていいほど聞かされる。

とりわけ深刻なのが訪問介護事業所のヘルパー(訪問介護員)不足だ。

先日、あるケアマネジャーと話したところ「いつも世話になっている数カ所の訪問介護事業所の登録ヘルパーが高齢により退職してしまい、新規の要介護高齢者のケアプランを立てるのに苦慮している!」と嘆いていた。

在宅での介護の場合、特に、「朝食の時間帯(午前7時から午前9時)」「昼食の時間帯(正午前後)」「夕食の時間帯(午後6時から午後8時)」といった時間帯に食事介助、オムツ交換などの要望が集中する。そのため、こうした時間帯では、ヘルパー調整のやりくりにひどく苦労するという。

私が話したケアマネは、あるご利用者の朝食を9時台にしてもらうことで、なんとか人手をやりくりしているらしい。ただ、ヘルパーの退職が続けば、そのやりくりさえも難しくなる。実際、訪問介護事業所からは、今後、ヘルパーの派遣がさらに難しくなるという話が来ているという。

登録型ヘルパーの3割超が60歳以上

こうした状況は全国の現場で起こり始めているのではないか。その点は、「60歳以上が約37%。そのうち65歳以上は約20%」という、ヘルパーの年齢構成を見れば、容易に想像できる。

ちなみにヘルパーの9割以上は女性だ。その勤務形態は、約2割が正規社員(サ責が中心)、約1割が常勤の非正規社員、約7割が登録型となっている。在宅介護の現場は、高齢の登録型女性ヘルパーに支えられているといってよい。

当然ながら、37%を占める60歳以上のヘルパーは、今後10年のうちに、ほとんどが引退するだろう。「生活援助」などの業務だけを週1~2回続ける人も一定数いるかもしれないが、そうした人がヘルパーの主流になり得るわけではない。

確保が難しくなった主婦層、期待できない外国人材

中には「今のヘルパーが退職しても、今後、子育てが落ち着いた30代~40代の主婦層が登録型としてヘルパーの労働市場に参画する可能性もあるのではないか」と考える人もいるだろう。

だが、この点は、あまり期待できそうにない。主婦層をアルバイトとして取り込みやすいスーパーやコンビニなどでも人手不足が深刻化しているからだ。時給ではヘルパーの方が、割がいいように見えるが、その差も300円前後まで縮まっている。この程度の差なら、登録ヘルパーで3時間程度働くより、5時間スーパーなどで勤務したほうが収入も高くなる。

つまり、次の10年で在宅介護の現場を担うと期待される主婦層は、スーパーやコンビニなどに流れてしまい、確保が難しくなる可能性が高い。

さらに、来日が期待される外国人介護士についても、在宅の介護現場では活躍できない。介護ロボットにしても、ヘルパーの代理が務まるロボットなど、世界のどこを探しても存在しないし、当面、開発される見通しもない。

こうした状況を思えば、現場の主力を担う60歳以上のヘルパーが引退すれば、全国の現場が深刻なヘルパー不足に直面すると判断せざるを得ない。

その影響は、既に現れ始めているようだ。2017年の訪問介護事業所における常勤換算の平均看護・訪問介護員は7.3人。ピークだった2003年(9.3人)から2人も減っている。

ケアマネの業務を根底から揺るがす介護人材不足

介護現場の人材不足は、ケアマネの日々の業務には直結しない。それだけに、ケアマネの中には、この問題をどこか縁の遠い話と受け止めている人も少なくないだろう。しかし、冒頭で紹介した通り、介護人材不足は、既にケアマネの業務を根底から揺さぶり始めているのだ。

少し思い返してみてほしい。

ヘルパー派遣の調整がつかず、訪問介護事業者に断られた経験はないだろうか?
「自己主張が強い要介護者や家族に嫌気がさし、ヘルパーが辞めたがっている」という相談をサービス提供責任者から受けたことはないだろうか?

当たり前のことだが、ヘルパーを確保しなければ、いくらアセスメントがしっかりしていても、優れたプランを作っても、サービスを提供することはできない。そのヘルパーが、今よりどんどん減っていくのだ。

近い将来、在宅のケアマネは、訪問介護事業所から選ばれる時代がやってくるだろう。

だから、ケアマネは今のうちから訪問介護事業所に信頼してもらえるよう心掛けなければならない。具体的には「あのケアマネさんは、トラブルが生じてもすぐに相談にのってくれるし、ヘルパーを助けてくれる」「認知症高齢者にも対応してくれて、ヘルパー任せではない!」というような評判を得るよう、努力すべきということだ。

繰り返すが、介護人材不足は他人ごとではない。そして、ヘルパーがケアマネを選ぶ時代が、もうすぐそこまで来ているということを肝に銘じ、ケアプランに盛り込んだ各介護事業者らに、誠意をもって対応しなければならない。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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