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結城教授の深掘り!介護保険

「成人」を迎えたケアマネ、その来し方と将来を考える

2000年4月に介護保険制度とケアマネジャーが誕生して20年が過ぎた。人間に例えるなら「成人」を迎えたわけだ。古株のケアマネの中には「もう20年もたったか…」と、感じる人も少なくないだろう。第2回(1999年度)のケアマネ試験に合格し、2003年4月から09年3月までケアマネとして働いていた私としても、感慨深いものがある。

現場を離れた後、私は介護保険制度を研究テーマとしてきた。この節目のタイミングで、現場の視点と研究者の視点の両方から、20年間を振り返ってみたい。

真っ先に思うのは、制度創設当初のケアマネと今のケアマネは、ずいぶん違うということだ。その違いを見る上で格好のデータとなるのが、合格者の基礎資格の割合の変遷だ。=グラフ1=

20年前は、「介護」より「看護」がケアマネを目指した

1998年度の第1回試験では、看護師・准看護師を基礎資格とする合格者が3割余りいた。介護福祉士は1割程度だった。しかし、その後、看護職員を基礎資格とする合格者の割合は下がり続けた。一方、介護福祉士からケアマネになった人は増え続け、制度誕生から10年足らずで、その割合は逆転してしまった。合格者の約7割を介護福祉士が占めた年もあった。

ケアマネを目指す看護職員が減ってしまったのは、厳しい介護報酬改定が何度かあったことで、賃金アップが見込めないと思われたためだろう。さらに06年度、急性期病院に手厚い診療報酬(7対1入院基本料)が設定され、看護職員がより給与が高い病院に囲い込まれてしまったことも影響したと思われる。

一方、介護職員の賃金はケアマネよりずっと低いという状態が長く続いた。その結果、「給与アップを実現するためにも、将来は介護職からケアマネになる」という意識が広がった。

ケアマネが「誰もなりたがらない専門職」に?!

この「介護職員のステップアップ先としてのケアマネ」という位置付けが、近年、崩れつつある。

最大の原因は、介護職員の処遇改善が進められたことで、ケアマネとの賃金の差が縮んだことにある。

もう一つの原因は、厳しい仕事の実態が知れ渡ったことにあるだろう。事実、現場のケアマネの多くは「報酬請求事務」や「実地指導・監査対策」などの事務に追われ、利用者(要介護者や家族)と関わる時間はあまりない。さらに権利意識の強い利用者や家族が増え、クレームに苦しむケアマネが増加しているという現実もある。

そこへ追い打ちをかけたのが18年度の受験資格の厳格化と試験水準の高度化だった。

介護職員と大差ない給与。利用者と接する機会も少なく、やりがいも感じにくい業務。そして狭き門となった資格試験―。今や、ケアマネは「介護職員のステップアップの先」どころか、誰もなりたがらない不人気な専門職になりつつある。特に、受験資格が厳格化された18年度以降、受験者数は激減した。毎年、2万人から3万人は輩出されてきた合格者も、18年度には5千人を割り込んだ。=グラフ2=

国の失策が、ケアマネの魅力をさらに低下させた

国も無策だったわけではない。ケアマネの魅力を高めるため、さまざまな取り組みを進めてきた。

例えば、06年4月には地域包括支援センターが創設され、「主任ケアマネジャー」制度が導入された。さらに16年度には、ケアマネジメントの質の向上を目指し、法定研修が大幅に拡充された。

こうした取り組みの狙いは理解できるし、全く無意味というわけでもない。だが、もともと事務作業が多かったケアマネに研修が増えたことは痛かった。利用者と接する時間がますます減ってしまったからだ。その結果、ケアマネの専門職としての魅力は、さらに低下した。

残念ながら、これまで20年間にわたって厚労省が実施してきたケアマネに関する施策は、不適切なものが大半だったといえる。その最たるものが、ケアマネの受験資格の厳格化だろう。厚労省ばかりではない。一部の自治体では、本来はケアマネを支援するはずの地域ケア会議が、まるでケアマネの弾劾裁判のようになってしまっているという。

今後もケアマネが介護保険制度における重要な専門職であることは変わらない。特に団塊世代が全て85歳となる35年以降の日本社会では、ケアマネは不可欠な存在だ。厚労省や自治体は、すぐにでも研修や資格試験、地域ケア会議の在り方を抜本的に再考すべきである。

質の低いケアマネは退職すべき!

ただし、自らを省みるべきは厚労省や自治体ばかりではない。現場のケアマネも、改めて自分が質のよいケアマネジメントを提供しているかどうか、見直してほしい。

実際、現場では、利用者の声に耳を傾けることを忘れ、効率よく仕事を終わらせることばかりを考えているケアマネや、公正中立という大義を忘れ、所属する法人の営業担当者のようにふるまうケアマネもいると聞く。

このような資質の欠けるケアマネには、早期に退職していただきたいと思う。そうでなければ、利用者の尊厳を守り、自立支援を実現するために心血を注いでいる大多数のケアマネが報われない。

質の低いケアマネが出始めた点については、介護事業の経営者にも大きな責任がある。そうしたケアマネを雇い続けているのは、ほかでもない介護事業の経営者であるからだ。今後のケアマネの発展を考える上で、適切な経営とマネジメントを実現できる経営者層の育成も重要だと思う。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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