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深刻化し続けるケアマネ不足、その“処方箋”を探る

2019年度のケアマネ試験の合格者数が確定した。台風19号の影響もあり、その受験者数は過去最低を記録し、合格者も8000人程度だった。=図1=

これまで私はケアマネ受験資格の厳格化について「間違いである」と論じてきたが、今回の結果を見て、その思いを深めた。特に、受験者数が全国でも約4万人にとどまった点は、今後、ケアマネ不足が深刻化する前触れであると受け止めている。

実際、それを裏付けるようなデータもある。中央福祉人材センターの資料によると、ケアマネの有効求人倍率が上がっている。=図2=

地域格差も顕著になってきているようだ。私が話を聞いたケアマネによれば、人口が3万人に達しないような規模が小さい市町村では、特にその不足が問題になりはじめているという。

このままの状態が続けば、団塊世代が全員85歳となる35年には、都市部においてもケアマネ不足は大きな問題となるはずだ。

急速に高齢化する現場のケアマネ

近未来のケアマネ不足を考える上で、興味深いデータがある。18年度の介護労働安定センターの資料だ。それによれば、同年度のケアマネの平均年齢は50.7歳だった。ちなみに、その10年前の平均年齢は45.9歳。10年間で平均年齢が5歳も引き上がっている。

平均年齢が50歳ということは、「60歳を超えて働くのは当たり前、70歳でも現場に立ち続ける人がいる」ということだ。実際、60歳を過ぎてもケアマネの仕事をしている人は一定程度いるし、70歳を過ぎても現役で働き続けている人だっている。

だが、時には24時間対応すらも求められるケアマネの業務の現実を思えば、65歳を超えた人の多くは自己実現のため、もしくは「やむなく人がいないから手伝っている」といった意識で取り組んでいるのではないか。「65歳以上は高齢者」という定義や「65歳で定年」という社会常識が、健在であることを考えても、高齢者となったケアマネの中に、40歳代や50歳代のころと同じように働き続ける人がそれほど多いとは思えない。

つまり、急激に進む働くケアマネの高齢化を思えば、この先10年のうちに、今の現場を担うケアマネの半数ほどは、「しっかり働く」ことを辞め、補完的な労働層になっていく可能性が高いと思うのだ。

高齢化に拍車をかけるケアマネの魅力の衰退

ケアマネの高齢化に伴う人材不足の深刻化―。この事態を根本的に解決するには、ケアマネ試験に挑む若い人材を増やすしかない。だが、若い介護職員や看護師、社会福祉士らは、あまりケアマネになりたがっていない。「ケアワーカーの次はケアマネになる」ことが、介護のキャリアップの“王道”だった20年前や10年前と比べると、明らかにケアマネの職としての魅力は衰えているようだ。

その最大の要因として、介護職員とケアマネとの年収差が縮小したことが挙げられる。以前の連載の中でも触れたが、ケアマネ受験者数の基礎資格で最も多いのが介護福祉士だ。しかし、介護職員処遇改善加算の創設などもあって、介護福祉士の年収は以前よりも引き上がっている。一昔前であれば、ケアマネになることで年収アップも見込めたが、今ではケアマネなったら逆に年収が減りかねない状況だ。

もう一つの要因として、ケアマネ業務における事務作業が、より煩雑さを増している点が挙げられる。私は、大学で社会福祉専門職の育成に携わっているが、「実習現場でケアマネの現実を目の当たりにしたら、魅力を感じなくなった」という感想をもらす学生が多い。

最後に、受験資格の厳格化もケアマネになりたいと思う人の気持ちを萎えさせる直接的な要因になっている。

受験資格厳格化の撤回こそが必要

煩雑でやりがいもあまりない業務が求められる上、給与はたいしてアップしない―。こんな状況では、ケアマネ試験の受験者数が2年連続で過去最低を更新しても、なんの不思議もない。

もっとも受験者は減っても合格者さえ増えれば、若い人材を確保することはできる。例えば、ケアマネ試験の難易度を思い切って下げれば、その実現は可能だ。ただし、これは、どう考えてもケアマネの質を急落させる暴挙だ。

中には「受験資格を厳格化したことで、質の担保はなされているから、試験の難易度を多少下げてもいいのでは…」と考える人がいるかもしれない。しかし、現場を知る身としては、専門職であるケアマネの「質」は、他の国家資格だけで担保できるほど、簡単ではないと思う。むしろ、より多くの人に受験資格を与え、そこから厳選した試験や研修で「質」の担保を図るべきだ。

とにかく、このまま受験者数が減少してしまえば、かえって「質」の担保は難しくなる。今からでも遅くない。ケアマネ受験資格を元の制度に戻し受験者数を確保すべきだ。その上で、厳選な試験と研修によって「質」の向上を目指すべきであろう。そうしなければ、ごく近い将来、深刻化したケアマネ不足が介護現場をかつてない混乱に陥れるのではないか。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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