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24年度改定で、ついに「ケアプランの有料化」実現か!?

「またもや、やるやる詐欺」-。先月、財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会で「ケアプランの有料化」が再提案されたというニュースを見て、そう感じたケアマネジャーも少なくないのではないか。

「ケアプランの有料化」は、財務省が何度となく導入を提案してきた施策だが、そのたびに実現は見送られてきた。今回の再提案も、実現するという保証はどこにもない。

だが、私は今度ばかりは、「2024年度の介護報酬改定に合わせて、ケアプラン有料化が実現してしまうのではないか」と、懸念している。

その危険性は、財政面から見るとわかりやすい。

居宅介護支援費は約4650億円(2018年度)だから、仮に1割自己負担を導入すると、約465億円の財政効果が期待できる。10兆円を超える介護保険財源からみれば、たいした効果はないと思えるかもしれない。だが、2021年度の介護報酬改定での引き上げ額は約840億円(※)。つまり、仮に2021年度の介護報酬改正で1割分の自己負担が居宅介護支援に導入されていたとしたならば、それだけで半分以上のプラス改定分の必要財源が賄われたことになる。

この財源効果の“大きさ”こそが、私がケアプラン有料化の実現を懸念する一番の理由だ。

コロナ禍の財政出動で、現実味を帯びるプラン有料化

さらに、コロナ禍によって財政出動による施策が相次いでいる点も、「ケアプランの有料化」に現実味を帯びさせている。

過去にも、思い切った財政出動があった数年後には、厳しい財政の引き締めがあり、介護報酬改定も厳しい結果がもたらされた。例えば、2015年度の介護報酬改定はマイナス2.27%。これは東日本大震災からの復興による財政出動が落ち着き、その後の緊縮財政が影響したと思われる。

コロナ禍での財政出動が過去の災害の比ではないことを思えば、その後の財務省による引き締めも、かつてないほど強烈なものになるだろう。財政の引き締めばかりでなく、新たな財源確保にも全力を尽くすはずだ。

以上の理由から、2024年度の介護報酬改定に向けた議論において、財務省は過去にないほど「ケアプラン有料化導入」に執着するはずだ。

財務省が掲げ続ける「ケアマネの性悪説」

その財務省が「ケアプラン有料化」を求める表向きの理由は次の通りだ。

「利用者負担を導入し、利用者が自己負担を通じてケアプランに関心を持つ仕組みとすることは、ケアマネのサービスのチェックと質の向上にも資する」

料金を導入することで消費者(要介護者)の目を厳しくし、営利主義に走るケアマネがいないか、チェック機能を働かせようというわけだ。「ケアマネの性悪性」ともいえる考え方だが、一部のモラルに欠けるケアマネが存在することを思えば、この考え方を全否定することはできない。

忘れてはならない「利用者の性悪説」

しかし、財務省の考え方には、大きな抜け穴がある。というより、ひどく偏っている。「ケアマネの性悪説」ばかりを注目し、「利用者の性悪説」には、まったく目を向けようとしていないのだ。

私がいう「利用者の性悪説」とは、「利用者は、自分が楽をするためだけに介護保険のサービスを使えるだけ使おうとする傾向がある」ということ。いわゆる「言いなりプラン」は、そんな利用者の暴走によって生まれるものだ。

そして、権利意識が強いとされる団塊世代が要介護者となれば、「言いなりプラン」を作らせようとする利用者は、さらに増えることが予想される。

この状況下で「ケアプランの有料化」が導入されれば、要介護者や家族の権利意識は、不必要に助長させられるだろう。中長期的には給付費も増大するはずだ。

「利用者の性善説」神話を終焉させ、自己負担導入の阻止を!

一方、職能団体である「日本介護支援専門員協会」は、自己負担導入について、次のような反対声明を出している。

  • 居宅介護支援は、利用者の支援に留まらず、介護家族の方や地域の高齢者の方々の総合的な支援の役割も担っており、他の介護サービスの役割 や機能と異なっています。
  • 保険者等が担うべきケアマネジメントのチェック機能を、利用者に利用料の負担を強いて求めるべきではありません。また利用料が無いと利用者の方がチェックしないというのは、利用者の方を過小評価しているとも言えます。
  • 居宅介護支援は、介護保険サービス利用の多寡に関わらず、利用者の方にとって必要な支援を提供しています。
  • 居宅介護支援は、地域の相談窓口や見守り等、介護保険の枠組みを超えて、地域高齢者の生活インフラとしての役割を担っています。

出典:「国民の皆様へ:日本介護支援専門員協会は居宅介護支援費等の利用者負担導入について現行の給付継続を求めます」令和3年4月30日一般社団法人 日本介護支援専門員協会

残念ながら、この程度の物言いでは財務省の再提案を覆すことは難しいと考える。例えば「一部には性悪なケアマネだけでなく性悪な利用者もおり、自己負担導入は、後者による弊害を助長し、給付費を増大させる危険性がある」ことを、もっと強調し、問題提起してみたらどうだろう。

つまり、給付費と絡めた論理展開で「利用者の性善説」神話を終焉させ、自己負担導入が招きかねない財政面の危機を強調するのだ。

もちろん私も、大多数が善良なケアマネであり、要介護者であることは十二分に承知している。だが今は、そのくらいのことをしなければ、財務省による「ケアプラン有料化」の再提案に対抗することはできないだろう。

制度創設当時からの問題・「サービス囲い込み」

また、財務省はケアマネジメントの問題点として、ケアマネが所属する系列介護事業所の「サービス囲い込み」を指摘している。実際、ケアマネへの調査では「法人・上司からの圧力により、自法人のサービス利用を求められた」という回答が4割を占めていたという。(グラフ1)

グラフ1:法人・上司からの圧力で自法人のサービス利用を求められたことかあるかどうか法人・上司からの圧力で自法人のサービス利用を求められたことかあるかどうか

※財政審「資料:社会保障等」2021年4月15日65頁のデータをもとに作成

「サービス囲い込み」は、介護保険制度が創設された当初から問題視されてきたことで、いまだに解決には至っていない。この財務省の指摘は、的を射ているといえる。

福祉用具貸与の単品プラン、思い切った制度変更を

さらに、財務省は必要のない福祉用具貸与をケアプランに盛り込んだことがあるケアマネが約15%いることも問題点して指摘した。

確かに、こうした状況には首をひねらざるをえない。特に福祉用具の単品プランについては、福祉用具貸与・販売事業所における「福祉用具専門相談員(ケアマネ有資格者に限定)」が給付管理を行えるよう、制度変更をすべきであろう。

※介護保険総費用を約12兆円と仮定した場合。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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