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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

激変の入浴介助加算、デイは二極化が加速

2021年度の介護報酬改定は0.7%のプラス改定だったが、このうち0.05%は新型コロナ対策のための特例措置なので、実質的な改定率は0.65%ということになる。この特例措置により、今年9月までの半年間、全サービスの基本報酬に0.1%分が上乗せされている。

デイサービスの基本報酬は、事業所規模によって6単位以上、地域密着型では20単位前後まで増えたが、一概には喜べない。入浴介助加算が2つに分かれ、改定前の加算が下位区分に位置づけられたことで、事実上、10単位のマイナスとなったからだ。改定前の加算を算定していた事業所は、減収となる可能性がある。

入浴介助は“お世話型”から個浴支援へ

上位区分となる区分(II)は、自宅で利用者自身による入浴を続けてもらうことが主な目的であり、リハビリ型の入浴介助加算といえる。セラピストや介護福祉士らが、利用者宅で浴室のアセスメントを行った上で計画を作成し、個別入浴によるリハビリを提供すれば、55単位を算定できる。

“お世話型”の気持ちの良い入浴をしていただくのではなく、利用者一人でできることはやっていただき、介護職は見守り的援助を行う。つまり、個別入浴をサポートする考え方に発展したのだ。

個別機能訓練加算の再編で減収も

さらに、個別機能訓練加算は事実上、改定前の旧区分(I)が廃止され、旧区分(II)に統合された。これにより、集団体操などでは算定できなくなり、機能訓練指導員が直接、個別訓練もしくは5人程度以下の小集団に機能訓練を実施することが求められるようになった。

リハビリ型デイサービスなどで旧区分(I)と旧区分(II)を併算定するケースもあったことから、機能訓練指導員を2名配置すれば85単位算定できるが、改定前に102単位だったことを考えると、減収は避けられないだろう。国のデータベース(LIFE)にデータを提供し、それを活用すれば、20単位算定できるが、あくまで月額となっている。

こうした見直しは、利用者の自立支援をより後押しすることが狙いだ。今回の改定では、自立支援を促す加算が充実している。栄養改善加算は、管理栄養士が居宅を訪問することが要件となったことで、単位数が50単位増加。また、生活機能向上連携加算は、テレビ電話などを活用し、外部のセラピストからアドバイスを受けることで算定できる区分(I)が新設された。

ADL加算でLIFE活用が必須に

もう一つ注目したいのが、LIFEとの連携の強化だ。ADL維持等加算は、単位数が改定前の10倍に当たる月30単位または月60単位となり、算定要件も緩和される一方、LIFEへのデータの提出とその活用が必須となった。

さらに、リハビリ・機能訓練、口腔ケア、栄養改善に関連した新設の加算の要件にも、LIFEへのデータの提出とその活用が入っている。既存の加算についても、LIFEの活用を促すための算定区分が新たに設けられており、次回改定で要件に組み込まれる可能性が高いだろう。今後、LIFEを活用していない事業所は、新設の加算を算定できなくなる恐れがある。

体制強化加算で大きなマイナスも

一方、サービスの質の向上や職員のキャリアアップを推進する見直しも行われている。サービス提供体制強化加算については、改定前の加算(II)の算定要件だった「勤続3年以上の介護職が30%以上」が、「勤続7年以上の介護職が30%以上」に厳格化。この影響で、1回6単位の加算が算定できなくなるデイサービス事業所が相当数出てくるだろう。新たな上位区分の報酬を算定できれば増収となるが、現状維持では大きなマイナスだ。

このほか、利用者の公平性の観点から、区分支給限度基準額(以下、限度額)の計算方法も変更。有料老人ホームなどに併設するなどして、同一建物減算などの対象となっている場合は、通所系サービスについても、訪問介護と同様、減算を適用する前の単位数で限度額を割り出す方式に変わった。さらに、大規模型(I)または同(II)を算定する事業所については、通常規模型の単位数に置き換えて限度額を計算することになった。

入浴介助加算は「使い分けが重要」

デイサービスで激変となったのが入浴介助加算だ。改定前は、利用者にご入浴いただくだけで算定でき、介助する職員の資格や経験年数も求められていなかった。ケアプラン上の援助目標は「身体を清潔に保つ」が一般的で、実際、自宅での入浴が不要となることをセールスポイントとする事業所も多い。

今回の改定に伴い、従来は算定できなかった部分浴も同加算の算定対象となった。新たに追加された区分(II)では、自宅での入浴が不要となるのではなく、利用者自身による入浴を続けてもらうためのリハビリの一環とする方針が打ち出された。今後は利用者のニーズを把握し、2つの区分を使い分けることが重要になるだろう。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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