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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

新ケアプラン検証の意味を考える

2021年度の介護報酬改定では、区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護が利用サービスの大部分を占めるケアプランを作成する居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出するなどの点検・検証の仕組みが新たに導入された。厚生労働大臣が定める基準(上限回数)に該当し、市町村からの求めがあった場合は、ケアプランの届け出などが義務付けられる。

先月、厚労省が公表した基準案では、「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額に占める割合を100分の70と、訪問介護に係る居宅介護サービス費がサービス費の総額に占める割合を100分の 60とする」とされた。

要は、区分支給限度基準額の7割以上を使い、かつ、サービス全体に占める訪問介護の割合が6割を超えた場合、そのケアプランを役所に提出することを義務付け、地域ケア会議などで検証しますよ、ということだ。

今回の改定では、同一のサービス付き高齢者向け住宅などで、区分支給限度基準額の利用割合が高い利用者が多い場合についても、同様に居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出し、併設する事業所の特定を行いつつ、ケアプランを点検・検証する仕組みも併せて導入された。

点検・検証の際は、該当するサ高住などの家賃や利用者のケアプランを確認し、介護保険サービスが入居者の自立支援などにつながっているかという点も考慮しながら、指導・監督権限を持つ自治体によるさらなる指導の徹底を図るとされた。

新たな点検・検証の仕組みは、周知期間の確保などのため、いずれも10 月から施行される。

訪問介護の「上限回数制」が一部緩和

前回、2018年度の介護報酬改定では、生活援助中心型の訪問介護について、ケアマネジャーが厚労省の基準回数以上をケアプランに位置づける場合は、「家族の支援を受けられない」「認知症等の症状がある」など、サービスの必要性をケアプランに記載した上で、そのケアプランを市町村に届け出ることが義務となった。

厚労省の基準は、要介護度に応じてそれぞれ1カ月あたりで以下の回数となる。

  • 要介護1 27回
  • 要介護2 34回
  • 要介護3 43回
  • 要介護4 38回
  • 要介護5 31回

ケアマネが利用者の同意を得て作成・変更(軽微な変更を除く)したケアプランのうち、生活援助中心型の訪問介護を基準回数以上位置づけたものについて、交付した月の翌月末までに市町村に届け出る。届け出のあったケアプランの内容は、地域ケア会議などで検証され、利用回数が適切ではないと判断された場合は、市町村がケアマネに是正を通知する流れだ。

なお、今回の介護報酬改定では、ケアマネや市町村の負担を軽減するため、一度検証されたケアプランについては、届け出の頻度が月ごとから年1回に緩和された。

一律規制で介護現場に新たな問題

訪問介護の「上限回数制」の導入は、介護現場に新たな問題を生じさせた。ケアプランの届け出と地域ケア会議での検証を嫌い、あえて基準内に回数を収めるケアマネが出てきたのだ。利用者にとっては必要であるにもかかわらず、である。これは、状況を勘案せずに一律に規制を入れたことの弊害といえるだろう。

そもそも「上限回数制」は、高齢者向け住宅での囲い込み対策の意味合いが強い。その影響が一般の利用者にも及んだことで、一律に規制することの限界が見えていたが、財務省は今回、身体介護の「上限回数制」の導入や、高齢者向け住宅独自の区分支給限度基準額の新設にまで言及してきた。

厚労省側が、居宅介護支援事業所をピンポイントで抽出し、事業所のケアプランを丸ごと点検・検証する新たな仕組みを設けた背景には、財務省側の要求をかわす狙いもあったとみられる。

一体、誰のためのケアプランなのか?

地域ケア会議でのケアプランの検証について、多くのケアマネは準備の大変さを訴える。

地域ケア会議には、多職種の委員が参加し、それぞれの専門的な見地からケアプランを検証する。立ち位置的には、アドバイスを行うということだが、「強いアドバイス」もあれば、「指示・命令に近いアドバイス」もあるだろう。

ケアマネは多職種の委員を前に、サービスの必要性を説明しなければならず、資料を準備するための残業が生じる。同時に、心理的な負担も大きいだろう。それを嫌い、提出対象とならないよう、ケアプランを変更する事例が起こっているのだ。

しかし、利用者がそのサービスを本当に必要としている場合、それはケアマネとしての責任を放棄する行為に他ならない。これまで、何のためにケアプランを作成してきたのか。いま一度原点に戻って、ケアマネジメントの意味を見つめ直す必要がある。誰のためのケアプランなのか、そのことを見誤ってはならない。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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