オンライン時代のコミュニケーション、ケアマネが知るべきこと、やるべきこと
オンライン・コミュニケーション、基本のき 前編
- 2021/10/25 09:00 配信
- オンライン時代のコミュニケーション、ケアマネが知るべきこと、やるべきこと
- 丸山法子
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人と直接会うことが前提のケアマネジメント業務にも、感染症対策のため画面上で話し合うオンライン対応が導入されるようになりました。何かと便利な半面、どうしても、やりにくさやもどかしさが拭い去れないオンライン対応。いまだに苦手、という人も少なくないのでは?「オンライン時代のコミュニケーション、ケアマネが知るべきこと、やるべきこと」では、ケアマネジャーの業務におけるオンライン・コミュニケーションで、すぐに使える工夫や注意すべきポイントを解説します!
「見てわかる」「聞いてわかる」の徹底が大原則
まず、オンラインで行う会議や面談の賢い使い方を考えてみましょう。オンラインには、「移動の手間と時間や経費が節約できる」「なかなか会えない遠方の相手との距離感を縮める」「ひとつの場所に集まることがなく、さっと繋がって本題に入れる」など、一度実感すると手放せない便利さがあります。
その一方、会話の空気を読むのが難しかったり、発言の間がとりづらかったりすることに悩まされているケアマネジャーさんもいるでしょう。こちらの意図や発言が伝わっているかどうかわかりにくいとストレスを感じる人もいるかもしれません。さらに「そもそもカメラが嫌い」と思う人もいるでしょう。
こうしたオンライン特有の課題は、私たちが顔の表情・視線・身振りなどの「非言語コミュニケーション」を大切にしているから生じるものです。直接対面する場合、相手の表情や雰囲気から「わざわざ言わなくても大丈夫」と察し合えばよいのですが、オンラインとなると視覚と聴覚だけしか使えないため、何もかも、一つひとつ言葉にしなければ伝わりません。
つまり、オンラインでは、「見てわかる」「聞いてわかる」を徹底する工夫が不可欠なのです。
「正しく伝えるための見た目」の3つのポイント
視覚と聴覚だけで相手に自分の意図や考えをきちんと伝えるには、それなりの準備が必要です。特に大切なのは「オンラインでの見た目」です。
「見た目」といっても、メイクで美しく魅せるといった工夫とは少し意味が異なります。いわば、「正しく伝えるための見た目」。そのポイントを紹介します。
ポイントその1
カメラと自分の目線は水平にします。目線より下にカメラがあると、覆い被さるような暗い表情が映り印象が悪くなります。自分の姿が画面から中途半端に切れないように、バストアップから頭が入るよう、パソコンやカメラの位置を調整しましょう。
ポイントその2
表情が伝わるよう明るさの調整をします。背景が窓だったり、上に蛍光灯があって明るすぎたりすると、画面にうつる自分の顔が暗くなってしまいます。こうした場合はリングライトを活用します。自分の顔を明るく照らして表情を映し出すことで、コミュニケーションをとりやすくします。自分をよく見せたいためではなく、あくまでも相手の理解を手助けするためのものです。
ポイントその3
マスクのいらない場所と安定した通信環境を確保しましょう。近くに他の職員がいればマスクが必要ですし、マイクが周りの音や声を拾ってしまい、雑音が紛れ込みます。可能であれば、マスクをしなくてもよい静かな別室を確保してください。さらにいえば、Wi-Fiなどインターネット環境が整っていることも必要です。話の途中で途切れてしまうと、せっかくの信頼関係まで切れてしまいます。
マスクが外せないときに意識する「目元の笑顔」
ただし、どうしてもマスクが外せないときもありますね。そんなときは、いつも以上に笑顔を意識しましょう。
笑顔は、口角で笑顔をつくっても見えないので、目で笑顔をつくります。例えば、暗い場所から急に明るくなったときに「眩しい〜!」という目になりますね。その眩しい目のかたちが「マスクでも伝わる笑顔」です。顔の筋トレにもなりますので、一度やってみてください。そのほか、身振り手振りなどボディランゲージでカバーもできます。なにより、伝えようという意識が大切です。
苦手意識を解消する2つの工夫
つぎに、苦手意識を解消し、うまく使いこなすヒントをお伝えします。
よくある苦手意識には、「機械の使い方が難しい」といった意識と、「そもそも画面に映ること自体がちょっと…」という意識があるようです。
実は私も、どっちの意識も持ってしまっていました。その経験からの結論は「とにかく慣れる」こと。
とはいえ、いきなり「慣れろ!」と言われても、逆に億劫になってしまいますよね。次の2つの提案をしますので、できるところから始めてみませんか。
(1)業務以外のテーマの、小人数のオンラインセミナーに参加して体を慣らしましょう。気兼ねのない参加者のなかで小さな挑戦をするのは、苦手を解消する早道です。他の人がどんな行いをしているのか、じっくり観察をしたり、最初は画面を出さずにビデオオフにして、少しずつオンにしていったりしてみてください。仕事の関係者ではないほうが気楽ですので、ネット上で探してみてください。
(2)「わかりません〜、だれか教えて〜」と声をあげるのも方法です。今は、ほぼ全ての人が一斉に初めてオンラインに取り組んでいますから、わからなくて当たり前。いわば絶好のチャンスです。他の人からは「よくぞ言ってくださいました」と感謝されるでしょう。楽しむくらいの感覚でやってみませんか。
コロナが収束すれば元通りと思う人もいるかもしれません。しかし、やってみると便利で手軽なオンラインは、これからも欠かせないツールになります。オンライン・コミュニケーションがうまくいくと、面談や会議の新しい手法として活用できる上、従来あった会議場面での忖度や空気を読む慣習をも変えるきっかけになります。さらに「見て、聞いてわかる」ように伝える工夫をすることは、仕事の効率化にもつながります。ぜひオンライン上手になってくださいね。
次回は、相手にわかりやすい言葉の使い方や、会議進行の工夫など、聞いてわかるポイントをお伝えします。ご期待ください。

- 丸山法子
- 一般社団法人リエゾン地域福祉研究所 代表理事。人材育成、パーソナル・コーチングセッションなどの管理者研修、対人援助技術の勉強会、コミュニティづくりや地域福祉に関するセミナーなど年間100本以上の研修・セミナーを手掛ける。社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、生涯学習開発財団認定マスターコーチ
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