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試験問題に配慮しても解決しない!改めてケアマネ不足への“処方箋”を考える

例年通りの難易度だったケアマネ試験

10月10日、「第24回介護支援専門員実務研修受講試験」が実施された。読者の周りにも受験した人がいるであろうが、厚生労働省によれば約5.4万人が試験に挑んだ。

少し前まで、ケアマネ試験は難解だった。「ひっかけ問題」「複雑な出題」が目立ち、「落とすための試験」という性質が強かったのは否めなかった。

だが、ここ数年、その傾向はなくなった。今回の難易度についても、例年通りであったと評する声が多い。しっかりテキストと過去問題をこなしていれば、合格水準に達するレベルであったようだ。

それだけに「これは、合格者を増やすための配慮か?!」と推察する人もいるかもしれない。いや、数年前までの状況を思えば、そう推察する人がいても何の不思議もない。

ケアマネ受験資格の厳格化によって、第21回試験から極端に受験生が減少し、それに伴い合格者も激減した。「第22回」「第23回」では、多少の合格者が増えたものの1万人を下回る傾向が続いていたのだ。

現役ケアマネの平均年齢は52歳!

また、介護労働安定センターの資料によれば、ケアマネの平均年齢は約52歳と「訪問介護員」に次ぐ高さだ。平成20年度の調査報告と比べるとケアマネにおいては約6歳も引き上がっている。

表 介護関係従事者の平均年齢
令和2年度 平成20年度
訪問介護員 54.1歳 47.7歳
介護職員 46.6歳 40.0歳
サービス提供責任者 49.7歳 45.4歳
生活相談員 45.1歳 37.8歳
看護職員 51.8歳 45.3歳
ケアマネジャー 51.8歳 45.9歳
全体 49.4歳 43.2歳

(公)介護労働安定センター「令和2年度介護労働実態調査事業所における介護労働実態調査」・「平成20年度介護労働実態調査事業所における介護労働実態調査」より作成

ケアマネである読者の中にも「自分は何歳まで仕事を続けるか」と、考えたことがある方も少なくないだろう。多くの方は長くとも65歳までと思っている人が大半ではないか。

介護労働安定センター資料によれば、働いているケアマネのうち、60歳以上65歳未満が12.8%、65歳以上70歳未満は6.4%、70歳以上は3.1%であった。70歳以上のケアマネも見かけはするが、過疎地など、特別な事情がある地域を除いては、決して多いとはいえない。個人差もあるであろうが担当件数30件以上をこなすには、70歳を超えるとケアマネ業務は心身共に辛くなるのではないだろうか。

2035年以降、一気にケアマネ不足が深刻化?!

見方を変えれば、現在、全体の2割を占める60歳以上のケアマネは2035年には大半が引退していることになる。

2035年といえば、団塊世代が全て85歳以上となる年だ。このまま毎年、1万人前後のケアマネ合格者しか輩出できなければ、明らかにケアマネ不足が深刻化する。そうなると、要介護者や家族はケアマネ選びに翻弄され、安心した在宅介護生活をおくることができなくなるに違いない。

受験資格の厳格化の見直しと処遇改善こそが不可欠

介護職員の処遇改善は喫緊の課題であり、さらに実施していくべきである。しかし、同時にケアマネの処遇改善も実施していかなければ、一部の介護職との賃金が逆転してしまい介護職員からのケアマネを志望する人は激減してしまう。

介護に精通した人材がケアマネとして従事することは、現場にとっても有効であり必要なことである。特に施設ケアマネは、介護職員が中心に担っていく必要がある。

だが、困ったことに私が務める大学の卒業生からも「ケアマネ資格を取っても、ケアマネの業務には就きたくない」という声を聞く。介護職員からケアマネになると夜勤手当、介護処遇改善加算などを含めると、毎月4~5万円の減収となるというのだ。年収にすれば50~60万円程度の減収だ。これでは、ケアマネになりたいという人はあまりいないだろう。

もはやケアマネ試験の難易度を下げるような小手先の配慮では、ケアマネ不足は解消しない。これまで、さまざまな機会で繰り返し述べてきた通り、ケアマネ受験資格の厳格化を見直し、かつてのように単に現場経験5年以上という要件に戻すべきだ。そしてケアマネの処遇改善を図っていくべきである。

岸田政権は、介護職員のさらなる処遇改善策を考えているようだが、同時にケアマネの処遇改善も考慮してほしい。来月は、その岸田政権が掲げる処遇改善策について考えたい。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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