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ケアマネジメント新時代の幕開け

制度改正・報酬改定を理解するための基礎知識を学ぼう

制度づくりは委員の討議から始まる

私は審議会の傍聴を重ねるうちに、法律や法令、制度といった介護保険の仕組みは、国がいきなり作るのではなく、私たちを代表する委員の討議から始まることを、目の前で体験し学びました。座長を務める部会長(分科会長)の下、委員の方々が意見を出し合い、国と二人三脚で制度を作り上げていくのです。

もう一つの気づきは、制度改正や報酬改定は結果だけでなく、そこに至るまでの論点やプロセスも重要だということです。今回は、審議会を知る上での基礎知識をお伝えします。

まず、傍聴について記します。傍聴できるのは、委員の随行者、報道陣、一般の方です。一般の方は、メールやFAXによる申し込みが必要で、希望者が多い時は傍聴できないこともあります。

現在は感染症対策のため、オンラインで開催されていますので、申し込みをしなくても、会議のURLをクリックすれば、誰でも傍聴でき、資料も会議前に入手できます。(厚生労働省のホームページに案内が出ますので、一度のぞいてみましょう)

制度改正の議論は2年前の春から

皆様もご存じの通り、介護保険制度は原則3年ごとに見直されます。2000年度に制度が創設されて以来、2005年、2008年、2011年、2014年、2017年、2020年と6回改正されてきました。 下記のスライドをご覧ください。

スライド1 厚労省の資料をもとに岡島加筆・編集
スライド1 厚労省の資料をもとに岡島加筆・編集

「介護保険部会」と「介護給付費分科会」の動きをしっかりと見つめ、配布される資料を読み込んでおけば、見直しまでの流れがよくわかります。ここでは、皆さんがわかりやすいように、2021年(令和3年)の4月から施行された制度改正・介護報酬改定を例として、流れを説明したいと思います。下のスライドをご覧ください。

スライド2 岡島作成
スライド2 岡島作成

制度改正に向けた議論は、「介護保険部会」で行われます。通常、法律が施行される2年前の春にスタートします。2021年4月施行の改正法は、2019年(令和元年)の2月25日から議論が始まり、部会としての意見書がまとまる同年12月27日までの間、計15回の会合が開かれました。

この意見書の取りまとめを受け、厚生労働省は介護保険法の改正案を作成。内閣での閣議決定を経て、年明けの通常国会(2020年3月6日)に法案を提出しました。下記のスライドは、法律案の提出から法律成立までの国会における流れです。

スライド3 岡島作成
スライド3 岡島作成

通常国会は大体1~2月に始まります(本年は1月17日でした)。会期は150日間ですので、おおよそ5月末~6月初旬に改正法が成立、公布されます。

昨年春に施行された改正法は、2020年(令和2年)5月26日の衆議院本会議で法案が可決され、翌月5日の参議院本会議で改正法が成立、翌週の6月12日に公布されました。

改正法は、施行される前年に国会で成立することを、ぜひ押さえておきましょう。このことから、次の改正法の成立は2023年5~6月頃、制度改正と報酬改定の施行は2024年4月になることがわかると思います。

ちなみに、昨年春に施行された改正法の正式名称は、「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」です。介護保険法だけでなく、他の関連諸法と一緒に可決され、公布されています。この点もぜひ押さえておきましょう。

給付費分科会には「諮問」「答申」がある

改正法が公布されると、今度は「介護給付費分科会」で、報酬改定に向けた議論が始まります。2021年度の改定の際は、2020年6月25日に議論がスタートし、改定案がまとまる翌年1月18日までの間、計22回の会合が開かれました。「介護保険部会」よりも回数が多いことがわかりますね。

事業者や業界団体などからヒアリングを行う8月以降は毎週のように会合が開かれ、議論が白熱します。

改定率の方向性を左右するのが「介護事業経営実態調査」で、10月頃に結果が公表されます。この結果を受け、財務省と厚生労働省が折衝を行い、ちょうどクリスマス頃に改定率が決定します。改定率は、報酬に大きく反映されますので、私たち事業者は、この改定率の公表をドキドキしながら待っています。

分科会としての意見書に当たる「審議報告」は年末にまとまり、2020年12月23日付で公表されました。

「介護保険部会」と異なるのが、「諮問」「答申」というプロセスがある点です。「諮問」とは、法令上定められた事項について意見を求めること。一方の「答申」は、諮問された内容について意見を述べることを意味します。

報酬改定の場合、所管する厚生労働省の大臣が、「介護給付費分科会」(正確には、親会に当たる「社会保障審議会」の会長)に対して、同省が作成した改定案への賛否を尋ねることになります。「諮問」「答申」の手続きは、共に文書で行われます。

「介護給付費分科会」では通常、2度の「諮問」「答申」が行われます。一つは、いわゆる「運営基準案」について、もう一つが「報酬改定案」についてです。2021年度の制度改正の際は、「運営基準案」が2021年1月13日、「報酬改定案」が同年1月18日でした。

「運営基準案」が先で、「報酬改定案」が後、この順番が大切です。「運営基準案」が丁寧に検討され、その結果を受けて「報酬改定案」が決まるのです。私たち事業者は、報酬改定の方に目が行きがちですが、それぞれが両輪で動いていることを、ぜひ押さえましょう。

「法体系」のピラミッドを学ぼう

「運営基準は発表になった?」「解釈通知って、いつ、どこで公表されるの?」「報酬改定のコードはいつ発表?」「Q&Aはどこまで出たの?」などなど、制度改正・報酬改定の施行が近づく2~3月になると、制度に詳しい人の間では、こんな言葉が飛び交います。この話を理解するためには、「法体系のピラミッド」を理解することが大切です。下のスライドをご覧ください。

スライド4 岡島作成
スライド4 岡島作成

スライドを見ておわかりの通り、法的な拘束力は、「憲法」「法律」「政令・施行令」「省令・施行規則」「告示」「通知」と、順を追うごとに下がっていきます。このうち、「法律」「政令・施行令」「省令・施行規則」の3つを「法令」と呼びます。

「政令」「省令」「告示」は、「法律」を補足するために定められた詳細なルールです。「通知」には、「省令」(運営基準)と「告示」(算定基準)を理解するための留意事項が定められています。さらに、運営基準と算定基準を正確に理解するため、解釈通知やQ&A(疑義解釈)が発出されます。Q&Aは、施行開始後も必要に応じて順次出されます。

情報収集の習慣が理解への早道

いかがでしたか?いきなり全て理解することは難しいと思います。私も最初はそうでした。上記のスライドを何度も見直して、3年ごとの見直しに向けた流れをつかむこと。重要な部分は、指で差しながら声に出して読むとわかるようになります。

弊社の事業所でも、運営基準、算定基準、解釈通知は順番に声を出して読むことにしています。声を出して読み合せていくことで、どこが変わったのかわかるようになります。

審議会を傍聴しないまでも、厚生労働省のホームページを時々のぞいて、「介護保険部会」や「介護給付費分科会」の資料を見てみましょう。委員会でどのようなことが議論されているのかがわかります。介護保険最新情報を定期的にチェックするなど、自ら情報を収集する習慣をつけることが、理解への早道だと思います。これが今回、皆様に最も伝えたいポイントです。

2024年4月の制度改正・報酬改定の施行は、医療の診療報酬改定と併せて行われます。今回お示ししたスライド2を活用して、流れや動向を早めに確認しながら進むのはいかがでしょうか。

次回からは数回に分けて、過去の制度改正の議論を振り返りたいと思います。過去を知ることで、ケアマネジャーを取り巻く現在の環境についても理解できるようになります。

岡島潤子
慶応義塾大学文学部卒業(社会学専攻)。1999年に介護支援専門員の資格を取得後、同年9月に株式会社やさしい手に入職。新宿区で居宅介護支援事業所の立ち上げなどに携わった後、2005年7月に同社初の居宅介護支援事業部を創設。現在は同社経営企画部の顧問として、総勢383人のケアマネジャーをスーパーバイズしている。厚労省をはじめとする国の委員会の委員のほか、日本ケアマネジメント学会の代議員や一般社団法人「東京ケアマネジャー実践塾」の理事長など、ケアマネの関連団体で多数の要職を務めている。主任介護支援専門員、社会福祉士。

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