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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

実地指導が改称、内部監査システム構築が急務

この4月から、実地指導の名称が「運営指導」に変更された。理由は、オンラインによる指導が可能となり、必ずしも「実地」で行われるものではなくなったためだ。厚生労働省が3月に策定した「介護保険施設等運営指導マニュアル」(以下、運営指導マニュアル)にも、「現場に行かなくても確認可能と判断できる場合」は、「オンライン会議システム等を活用することが可能」と明記された。

だが、オンラインだけで指導が完了するわけではない。後述する(1)介護サービスの実施状況指導(2)最低基準等運営体制指導(3)報酬請求指導―のうち、オンラインによる指導が可能なのは(2)と(3)で、(1)については、改めて実地での確認が求められる。全ての指導が実施されなければ、運営指導の実績としてカウントされない。

感染症の流行などで実地での指導が困難な場合、(1)を次年度以降に延期し、(2)と(3)については、オンライン会議システムの活用などで指導を行う。そして、感染状況が改善した後、追って(1)が実施されることになる。

オンライン指導は「強制ではない」

オンラインであれば、コロナの感染拡大期も指導は可能だが、事業者のICT化と電子データ化が必須のため、対象は限定的になると思われる。

オンライン指導では、保険者と事業者の双方が、ネットワーク上で関係書類を共有する必要があり、PDFなどの電子データで書類を保管していることが前提となる。さらに、電子データ化を進める上で、介護記録ソフトの導入といったICT化も不可欠だ。

ICT化は、事業者側の金銭的な負担を伴うことから、運営指導マニュアルでは、事業者に過度な負担とならないよう十分な配慮を求め、オンラインによる対応を「強制させてはならない」としている。

オンライン指導は、地域によっては既に実施されている。対面とは異なり、それほど突っ込まれることはないと聞くので、事業者の心理的な負担は減るかもしれない。

運営指導の形態は3種類ある

厚労省が3月に改定した「介護保険施設等指導指針」(以下、指導指針)によると、運営指導の形態は、(1)介護サービスの実施状況指導(2)最低基準等運営体制指導(3)報酬請求指導―の3種類がある。

(1)は、主として利用者に対する個別サービスの質を確認することが目的で、対象はケアマネジメント・プロセスが中心だ。実地で確認し、必要に応じて指導が行われる。

(2)は、サービス種別ごとの指定基準などに規定された運営体制をチェックするためのもので、施設・事業所の体制に関する事項を確認し、こちらも必要な場合は指導が行われる。

(3)は、主として各種加算に関する算定及び請求の状況がチェックされる。加算の報酬請求については、たとえ算定要件が満たされていても、取り扱いが不十分な場合は改善・指導の対象となる。一方、基本報酬部分については、算定している単位数が、実際のサービスに相応したものであるかどうか確認される。

指導の頻度はあまり変わらず

運営指導の実施頻度は、原則、在宅サービスは、指定などの有効期間内(6年以内)に少なくとも1回以上、施設サービス・居住系サービスについては、3年に1回以上となっている。この点は、以前の実地指導とあまり変わらない。

事前通知は、原則、集団指導は2カ月前まで、運営指導は1カ月前までに通知される。これは、事業所側の勤務シフトなどを考慮しての措置である。

ただし、事業所で高齢者の虐待などが疑われる場合は、抜き打ちの指導も可能とされている。また、高齢者虐待防止法に基づき、市町村が虐待と認定した場合や、高齢の利用者の生命または身体の安全に危害を及ぼしている疑いがある場合は、事前に通告を行うことなく、速やかに立入検査などの監査が実施され、事実関係の確認が行われる。

運営指導で記録などを確認する際、居宅介護支援事業所においては、原則として、介護支援専門員1人当たり利用者1~2人分についてチェックされる。複数の利用者の記録を見ることで、ある程度の問題点を把握できるためだが、問題が見つかると、当然さらに深掘りした確認が行われることになる。

確認項目と確認文書は要チェック

運営指導マニュアルでは、全てのサービスの確認項目と確認文書、自己点検シート、算定要件シートが公開されている。

運営指導の実施に当たり、基準などに適合しているかどうかは、事業者自身が自己点検することが望ましい。少なくとも、指導指針が定める確認項目と確認文書はチェックすべきだ。実際、運営指導時に「各種加算等自己点検シート」と「各種加算・減算適用要件等一覧」の提出が求められている。

事業者はこれらのツールを用いて、定期的な内部監査システムを構築しておく必要がある。介護サービスは、規模の利益を追求するのが基本的なビジネスモデルだ。事業規模の拡大に気を取られ、基本的なコンプライアンス対策が後手に回るケースも多く見かける。運営指導を前提としたチェック体制を早期に確立しておくことが重要である。

運営指導で強制力が伴うケース

行政指導は、あくまで事業者の任意の協力によって実現されるものであり、そこに強制力はない。

事業者側に運営基準違反や介護報酬の不正請求などが認められる場合は、監査によって事実関係を明確にした上で、指定取り消しなどの行政処分が行われる=グラフ=が、行政指導に従わなかったことのみを理由として、行政処分(不利益処分)を行うことはできない。

出典:厚労省「令和3年度 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」資料

運営指導においても、保険者側には、情報を集めるための権限のみ与えられており、立入検査などの強制力は無い。立入検査などが実施できるのは監査だけだ。

介護報酬の請求指導においても、単なる手続きの誤りなどの場合は、過誤申請の手続きによる自主返還の形が取られるが、監査の結果、不正請求と判断された場合は、徴収金として返還を強制され、40%の過料が上乗せされる。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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