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「コミュ障」でもケアマネやってます!

ラスボス級のクレーマー一家にサンドバッグにされた件・前編

さまざまな立場の人と連携が求められるケアマネジャーは、高いコミュニケーション能力が求められる立場でもあります。でも、どんなにコミュ力が高いと自負するケアマネさんでも、人と接するのがつらいと思う時はあるはず。実はコミュニケーションが苦手という、かずぴさんが日々、利用者さんや他の専門職とのやり取りに四苦八苦しながらも、現場に立ち続けるための小さな工夫をユーモラスにつづります。

クレーマー。ああ、なんて嫌な響き。コミュニケーション力不足で、なにかと人の逆鱗に触れやすい私にとって、この言葉は、ほとんど地震や大雨と同じような恐ろしさを伴います。特にモンスター級にしんどいのは、ご利用者・ご家族ともにクレーマーというケースでしょう。

「仲が悪く、クレーマー体質の一家」こそが恐ろしい

ただ、世間には、それよりもさらに恐ろしい、ラスボス級のクレーマー一家がいらっしゃいます。

それは「ご利用者・ご家族ともにクレーマーである上、それぞれが、真逆のことを要望されている」というご一家です。つまり、どちらかの要望を実現しようとすれば、どちらか怒り出す上、どちらも一歩も引こうとしない、仲の悪いご一家ということ。

よりによって、そんなご一家をコミュ障の私が担当してしまったことがありました。

ご利用者は、入院後のリハビリのため老健に入所していた男性でした。入所直後から帰宅願望がものすごく強く、職員に会うたびに「いつ、俺は家に帰れるんだ?明日か?明後日か?早く決めてくれ」「なんで帰そうとしないんだ、もうこんなに元気なんだよ!」と問いただしていたとか。

ただ、その方は、自宅はあっても帰ることはできない状態でした。同居していた妻と娘さんが、男性の帰宅を断固拒否していたからです。「また、あの男と同居する上、介護もする?!冗談じゃない」「退所させても結構ですけど、うちには入れませんし、介護もしません。それではあの男が死んでしまう?…アハハハハハッ、それはいい気味ぃ~♪」。男性の帰宅と退所を持ち掛けた職員に妻と娘は、そんな風に話したとか。それどころか、男性がどこかで野たれ死んでも、骨も受け取りたくない、みたいなことまで言ったとか。

これだけの情報だと妻と娘さんが、人の皮を被ったなんちゃら、のようにも見えますが、実際は違います。長年、男性から想像を絶する(としか、書きたくないくらいにひどい)DVを受けていたことからの物言いでした。

ただし、男性はその事実を認めようとしません。話を聞いた職員によれば、DVが実際に行われていたことは、家の中の様子や妻、娘さんの体の状態を見れば一目瞭然だったそうなのですが、男性に言わせると「泥酔してやったことだろうから、覚えていない」。そして、自分が悪いと思っていないから、帰宅拒否されたことを憤っていました。

「D言葉はNG」というアドバイスを、上手に使いこなす管理者

ちなみに、居宅介護支援で働く私が、ここまで老健での経緯を知っているのは、その老健が同じ「系列」の事業所だったから。そして最初は、自分には全く関係のない話として、ぼんやりと聞き流していました。

それが、わが身に直結する話となってしまったのは、話を初めて聞いてから数カ月ほどしてからのこと。事業所の管理者から「前に話した老健の男性、住宅型有料ホームに入ることになりそうです」と話を振られたときでした。鈍い私は「そうですか。それはよかった」と他人事のように応じましたが、管理者は妙な顔をしています。で、その後、さらりと言ったのです。

「いや、それでその男性、かずぴさんに担当してもらうのですけど」

もちろん、担当から外してもらうよう抵抗しましたよ。聞いてないとか、無理だとか。でも、以前も書いた通り、おだてと懇願にはめっぽう弱い私。あなたしかいないと手を合わされれば、断り切れるはずもありません。それでも首を縦に振りかねていると、管理者はこんなことを言いました。

「私も全力で支援します。それにクレーマー気質の人とはいっても、傾聴を心がけつつ、D言葉(ですから・でも・だって)を決して使わなければ、かなり対応しやすくなりますから。そう、傾聴とD言葉NGを徹底すれば、大丈夫!」

…ここまで言われて「でも、無理なものは無理!」とD言葉で反論できるわけがありません。

初日から「入居は辞める!」と言い出したご利用者&ご家族…

幸い、男性の入居そのものは、案外スムーズに決定しました。男性は、住宅型有料老人ホームに入れば、個室で、好きなコーラがたっぷり飲めることに魅力を感じ、自宅に帰ることをあっさり諦めたのです。

ただし、順調なのはここまででした。入居前、男性と家族にはデイサービスを定期利用することを説明し、同意を得ていました。ところが、実際に利用する段階になると男性は「年寄ばっかりのデイに通うなんて聞いてないぞ?!そんなところに行けというなら入居はやめる!」と言い出したのです。

これだけではありません。男性からデイのことでクレームが入ったちょうどその日、入居契約に来た娘さんが、いきなり、施設長に食ってかかったのです。

慌てて娘さんに事情を聴いたところ、原因は、施設の職員が男性の荷物を床に置いたことだとか。「ありえないでしょう?!お客様の荷物を床に置くなんて。しかも、それを管理者も平然と眺めているなんて。どう考えても、ありえないわよ!えっ?!床が汚れていたのかって?そうじゃないわよ、床に置いたことそのものが、ありえないことなのよ!もし、汚れた床に置いたのなら、もう、損害賠償ものよ!!」

ありえないを連発し、施設の「不手際」を非難しつづける娘さん。あげく「これはもう、入居そのものを再検討しなきゃ。契約は少し待ってください。検討中は、以前いた老健に入るということで。…は?老健は無理?家に戻すしかない??そんなことはありえない!!」。

当たり前ですが、解約してしまった老健にすぐに戻れるはずがありません。娘さんには、男性に家に戻ってもらうか、住宅型有料老人ホームに入ってもらう以外、選択肢はないことを粘り強く説明し、なんとか入居を納得してもらいました。

もちろん、これでトラブルがすべて解決したわけではありません。ここから、双方向(ご利用者・ご家族)からのクレーム攻撃が始まり、私はサンドバッグと化していきました。後編へ続きます。

かずぴ
旦那さんと亀と、とある地方在住。お酒と映画と音楽をこよなく愛する50代。グループホームにて介護職と施設ケアマネを経験。その後、居宅ケアマネに。居宅ケアマネとしては6年目。

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