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“ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題“ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題

“ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題

ケアマネも訴えられる?衝撃の判決に怒り!

「介護のつらさを笑いに変える」でおなじみ、“ケアマネ芸人”ノン老いる小林です!

最近、介護業界も訴訟が増えましたね。今や、ケアマネも訴えられる時代です。実は先日、衝撃の判決が出ました。今回は、その判決について言いたい放題しちゃいます!!

地元メディアの報道によると、この裁判は、2020年6月、広島県福山市内の老健で転倒して亡くなった70代の女性のご遺族が、施設側の安全管理に問題があったとして、老健を運営する医療法人に損害賠償を求めたというものです。

その女性は、施設内の自室で転倒し、およそ7時間後に意識不明の状態となり、その後、亡くなりました。死因は、転倒して顔を強く打ったことによる外傷性急性硬膜下出血だそうです。

広島地裁福山支部は今月1日、ご遺族の主張を認め、医療法人に1650万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

亡くなった女性とご遺族に対しては、心よりお悔やみ申し上げます。

その一方で、今回の施設職員の行動を、さまざまな角度から考えなくてはいけないとも思っています。果たして、彼らの行動は1650万円もの損害を与えたと言えるのでしょうか…。

施設の「利用者選び」が始まる?

先ほどの報道によると、女性は認知症が進み、車いすで生活されていたそうです。

判決では、「職員らは女性が転倒した際に重大な傷害を負うのを防止するため少なくともベッドの周辺に衝撃を緩和する設備を設置すべきと認められ注意義務に違反した」としています。

これに対して被告側は、「衝撃吸収マットは厚みで段差があり車いすでの移動に適さず、またマットを設置する義務もなかった」などと主張していたそうです。

私が一番驚いたのは、裁判官の「ベッド周辺に衝撃を緩和する設備を配置すべき」という言葉!普通に考えても、施設側の「衝撃吸収マットは車いすの移動に適さず」という言葉は正当だと思うんです!

私は、長年グループホームの現場で働いてからケアマネになったので、「この裁判官、何を言ってるの?」と思っちゃいます。マットの上を車いすで動いたら、安定性は悪くなるし、引っ掛かって転倒するリスクが増すんですよ!この裁判官、車いすを押したことがないんでしょうね。

ただ1つ確かなのは、この判決は、これからの日本の介護に大きな影響を与え得るということです。

だって、全国の施設職員はご利用者のため、ご家族のために日夜、一生懸命介護をしているのに、不慮の事故を「注意義務違反」にされ、大金を支払えとなったら、ばかばかしくて職員は辞めてしまうでしょうし、施設側の「利用者選び」が始まりますよ!!

施設入所を断られる→介護者が仕事に行けない→介護者が会社を首になる→一家が経済的に困窮する→生活保護を受ける→保険者の財政が圧迫される…まさに負のスパイラルです。

ケアマネの皆さん、これは介護施設だけに起こる出来事だと思っていませんか?

もし、ケアマネのデイサービスの説明が不十分で、利用者さんが転倒したら…。
もし、ご家族から「母親が転倒して亡くなったのは、ケアプランの内容が不適切だったからだっ!!」と訴えられたら…。明日はわが身かもしれませんよ!!

職員は「期待される注意を怠った」?

今回の判決で「注意義務違反」という言葉が使われていたので、少し法律のことを調べてみました。

「注意義務違反」とは、善管注意義務(「善良な管理者の注意義務」の略)を委任された人の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務、つまり、通常期待される注意義務を怠った、ということです。

裁判官は「介護職員として期待される注意を怠った」と考えたのでしょう。

ん!「期待される注意」って何??現場の職員は、安全・安心を確保するためのマニュアルまで作成して、利用者さんのために毎日汗を流して頑張っているんですけど…それでも足りないとおっしゃる??

あの~、私たちは神様じゃないんです。普通の人間なんですよ。裁判長!人間には限界ってものがあるのをご存じでしょうか??「現場を知らない裁判官に判決なんて出してほしくない!」と思うのは私だけ?

「あって困らないのはお金と知識」というのが、小林家の家訓なんですが、法律も知識です!ケアマネだっていつ訴えられるかわかりませんから、今から司法試験の勉強をして、“弁護士ケアマネ”でも目指そうかな~!

ノン老いる小林
1964年静岡市生まれ。大学卒業後、高校の英語教師として働いていたが、40歳という人生の節目を間近に控えた38歳の時、介護保険制度の創設を好機と捉えて転職。その後、介護施設を中心に経営支援などを行う。2013年にケアマネジャー、19年に主任ケアマネジャー取得。現在、静岡市内で居宅介護支援事業所「ケアプランはるな」を運営する株式会社はるな代表取締役。静岡県介護福祉士会監事。共著書に「これならわかる スッキリ図解 介護事故・トラブル」(翔泳社)がある。現在、YouTubeの「WARAKAI(笑う介護)チャンネル」で動画配信中。

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