連携室の“ケアマネ”が教える病院との付き合い方連携室の“ケアマネ”が教える病院との付き合い方

連携室の“ケアマネ”が教える病院との付き合い方

※この記事は 2023年9月4日 に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

医療職の居宅の“偏見“ ケアマネが払拭を

ケアマネジャーが高齢者を担当していることを、当のご家族も忘れがちです。

治療が終わり、元通りになってほしいと願うのは世の常ですが、身体機能として難しいという現実もあります。回復までに少々時間がかかることもあれば、ADLが低下し続けることもあるでしょう。治療後の「療養」の場で少しずつ、その人らしい生活に組み立て直してもらうことが大切なのだろうと思います。

残念なことに、この点を十分理解していない病棟看護師も多く、病院での生活を基準に、退院後について提案しがちです。家は病院とは異なり、歩行器などが操作できない直角な廊下があったり、溝や段差があったり、さまざまな障害物があります。この点をよくご存じのケアマネジャーとでは、全く視点が異なります。

「質問上手」なケアマネは具体的に聞く

医療職が「歩行器が必要だ」と思ったとしても、狭い廊下、狭い室内では、ベッドさえ置いておけば、伝い歩きでなんとかなり、他の福祉用具は不要というケースも多々あります。「ADLの低下=家では大変!」という医療職のバイアス(偏見)を、真っ先にケアマネジャーが取り払い、柔軟な視点を提供していただくことが実はとても大切なのだと思います。

急性期病院の医師と連携する際は、今起こっていることが「今回の病気によるものなのか」「加齢によるものなのか」、さらには「これからどうなっていくのか」を明確に教えてもらい、それを皆さんからご家族にわかりやすく伝えていただきたい。そうすれば、「あなたが支えてくれるのならば大丈夫」と、ご家族も安心してお出迎えする覚悟ができ、きっと穏やかで、速やかな退院支援になることでしょう。

そのためにも皆さん、どうか“質問上手”なケアマネジャーになってください。

例えば、先ほどの「歩行器」の提案であれば、「トイレまで○メートルですけど、それくらいは歩けそうですか?」「歩けなければ、ポータブルトイレを準備しますが、移乗はできそうですか?」「狭い廊下なので、伝い歩きで大丈夫そうですが、どうでしょう?」と、ケアマネジャーから具体的に尋ねてみてください。

そうすることで、よりリアルな日常生活の工夫を病院側と共有できるでしょう。「右下肢の筋力が4/5です」などといった情報ではわかりにくいということを、医療職にわかってもらう必要があります。

ご利用者は、たとえ病気をなさらなくても、ケアプランの修正が徐々に必要な身体、認知能力になっていかざるを得ない厳しい現実が待ち受けています。入院によって、その期間が極端に縮まることがあるのも否めません。ご家族にしても、ぼんやりと考えていた将来が突然、目の前に突きつけられるのは辛いことでしょう。

ご家族は常に、ご利用者に「過去のベスト」を求めがちですが、ケアマネジャーが現実的な「一歩先」を見据えておけば、入院後の変化も「十分想定内」と捉えていただけるではないのでしょうか。

ケアマネジャー自身があわてないためにも、普段から未来を想定したケアプランを考えておきましょう。定年後、ゆっくりと迎えるはずだった生活の「暮らし直し」のタイミングが少し早く来てしまったような感覚でご提案することが、ケアマネジャーの大きな役目だと思います。

節目で暮らしを見つめ直すきっかけを

皆さん、「突然こんなことになってしまって…」とおっしゃいますが、実は「必然」だと思うことが多々あると感じています。私はケアマネ時代、この「突然」をうまく回避していたように思います。

特に何事もなくケアプランが遂行されていたとしても、ご家族には節目節目で、「これから先のことを考えていますか?」「奥様が大変になった時のことを考えておきましょうか」とお話し、暮らしを少しずつ見つめ直すきっかけをご提供していました。

突然、ご利用者が誤嚥性肺炎で入院した際、ご家族は「前に塚本さんが言っていたことを実感した」とおっしゃいました。介護サービスを利用し始めた頃は、「迷惑をかけるから、兄弟には伝えない」と拒んでいましたが、どうやら事前に連絡されていたようです。奥様を支援する人が増えてほっとしたことを、この原稿を書きながら思い出しました。

私は「暮らし直し」という言葉をよく使います。私たちが支えているのは、人の日々の営みです。それが積み重なり、つながって歴史となります。

40歳以上の特定疾患や高齢のご利用者は、悲しいことですが、機能の衰えという現実を受け入れ、その点をしっかりと意識した上で、穏やかに、その人らしく生きていただきたいと思います。

その方たちに寄り添えるのは、やはりケアマネジャーです。ご利用者やご家族と一緒に勉強するつもりでフィジカルアセスメントを積み上げていくことが、最近うたわれる「ACP」の真の姿だと考えています。

塚本知恵子
看護師免許取得後、兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)や淀川キリスト教病院(大阪市)などで、病棟の看護師や看護管理者の仕事に従事。2003年にケアマネジャーに転身し、約8年間、大阪府池田市内の居宅介護支援事業所で勤務。その後、同市内の市立池田病院などを経て、2019年から伊丹恒生脳神経外科病院(同県伊丹市)地域医療連携室長。現在、一般社団法人日本地域統合人材育成機構で医療・介護従事者を対象とした接遇講座などの講師も務めているほか、看護師のための「ナースのかたり場」を主宰し、専門職の教育支援なども行っている。

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