“あるある”で終わらせない!失敗を生かすケアマネジメント
※この記事は 2023年12月4日 に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。
事例で考える利用者との信頼関係の築き方(前編)
- 2023/12/04 09:00 配信
- “あるある”で終わらせない!失敗を生かすケアマネジメント
- 山田友紀
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2013年、当時勤務していた社会福祉法人内の人事異動で、デイサービスの生活相談員からケアプランセンターのケアマネジャーになりました。退職したケアマネジャーの後任が見つからず、たまたま介護支援専門員の資格を持っている私に“白羽の矢が立った”のです。
私は、前任の担当ケースを一気に引き継ぎました。前任者はベテランの主任ケアマネジャーでしたので、ご利用者の状態から介護サービスの利用状況、介護者の状況に至るまでどれも安定していて、新人の私は正直ラッキーな気持ちでいました。
ただ、その反面、新人の私が引き継いだことで、ご利用者やご家族が不安を感じているのではないかという心配がありました。
「何でも言ってください」
「ご利用者と信頼関係を構築したい」という思いが強かった私は、モニタリング訪問時、帰り際に決まって「〇〇さん、困ったことがあれば、何でも言ってくださいね」と伝えていました。
毎月こう言い続けていたら、いよいよ、試練がやってきました。
ある日のこと…(事業所の電話が鳴る)
同僚のケアマネ:「山田さん、Sさん(ご利用者)から電話ですよ~」
私:「ありがとうございます。はい、山田です」
ご利用者Sさん:「あっ、山田さん?トイレが詰まって流れないから困っているの」
Sさんの言葉を聞いた瞬間、私はぎょっとしました。
(トイレが詰まって困っている。これは、ケアマネジャーが対応すべき場面?そもそも、私はトイレの詰まりは直せない…。というか、どうして私に連絡してきたのかな…)
一瞬のうちにあれこれ考えてから、私ははっとしました。私が「困ったことがあれば、何でも言ってください」と伝えていたから、Sさんは電話してきたんだ!
このことに気づいた私は焦りました。この困り事に対応できないと、Sさんとの信頼関係は構築できない…。私は必死に言葉を絞り出しました。
私:「それは大変ですね。実は…、『トイレが詰まった』という相談を受けるのは初めてでして…。何をどうしたらいいか、考えが浮かばないのです。こういう時はどうしたらいいのでしょうか?」
ご利用者Sさん:「すっぽん買ってきて」
私:「すっぽん…ですか?『すっぽん』って何ですか?」
ご利用者Sさん:「トイレが詰まっているのを直す道具。△町の〇〇商店に行って、店員さんに説明したら教えてくれる。悪いけど、それを買ってきてくれますか?」
私:「…。とりあえず、今からSさんの家に向かいますね。状況把握させていただきます」
「すっぽん」で詰まりは解消も…
そう言って電話を切ると、私は迷いと焦りの中、すぐさまSさんの自宅へと自転車を走らせました
その道中、SさんのADLとサポート可能な社会資源について考えました。
(Sさんは独居で、頼れる人もいない上、脳出血の後遺症で左膝半身に麻痺があり、独りでは買い物に出かけることもできない。急にヘルパーを手配するのは難しそうだし、トイレのことなので、すぐに対応しないと困る。それはわかるけれど…、これって、ケアマネジャーの仕事なの?でも、Sさんとの関係を損ねたくはないし…)
私がSさん宅に入った瞬間、Sさんは「助かった~!山田さんが来てくれた~!」と歓喜の声。この一言、そしてトイレの大惨事を確認し、「今回は“緊急事態”と判断する!」と自分に言い聞かせ、「すっぽん」を買いに行く覚悟を決めました。ちなみに、「すっぽん」の正式名称は「ラバーカップ」だそうです。
私:「すっぽん買ってきました!」
ご利用者Sさん:「山田さん、悪いけど、私は片麻痺ですっぽんが使えないから、代わりにやってくれる?」
私:「えっ、私?すっぽんを使うのは初めてでして…」
ご利用者Sさん:「私が説明するから、その通りにして」
Sさんとのチームプレーの末、トイレの詰まりは無事解消。心底ほっとした私は、いつもの「何でも言ってください」ではなく、「ありがとうございました。さようなら」と告げ、Sさん宅を去りました。
信頼関係の築き方が誤っていた
私は後になって、当時のSさんとの信頼関係の築き方が誤っていたことに気づきました。
「何でも言って!」と伝えておきながら、いざとなると、自分のルールに当てはめて、「これはケアマネジャーの仕事ではない!」と拒否反応を示していたのです。これが「ヘルパーさんに助けてほしい」だったら、「はい、は~い」と喜んで対応したことでしょう。
私がSさんに伝えたかったことは一体、なんだったのか…。当時は確信が持てませんでしたが、ケアマネジメントについての学習を深め、スーパービジョンを受けるようになった今では、自分なりの答えが持てるようになりました。
続きは次回お話します。

- 山田友紀
- 特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護、居宅介護支援の相談業務などに従事した後、2016年、京都市内でデイサービスなどを運営する株式会社「ふくなかまジャパン」の取締役に就任。2018年以降は、同市内にある居宅介護支援事業所「ふくなかま居宅介護支援センター」の管理者も務める。現在は、マネジメントや人材育成の講師を務めているほか、一般財団法人生涯学習開発財団が認定する「プロコーチ」としても活動している。
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