“テレワークケアマネ”の創り方
居宅におけるテレワークの課題(2)
- 2024/06/19 12:00 配信
- “テレワークケアマネ”の創り方
- 次田芳尚
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前回に引き続き、“テレワークケアマネ”を実現する上での課題についてお話したいと思います。今回のテーマは、ご利用者様のファイル管理です。
「ペーパーレスにすれば、事業所外でも個人情報の管理はできるのではないか?」と思われるかもしれませんが、そう簡単にはいきません。介護保険の更新申請の書類など、デジタル化で解決できないものもたくさんあります。
弊社では、「個人情報は自宅に持ち帰らない」を基本に、個人情報の管理を行っています。
ご利用者様の個人ファイル(カルテ)はクラウド保存
<課題>
テレワークを行っていると、ケアマネジャーが自宅にご利用者様の個人情報を持ち込んで保管してしまう可能性がある。
<解決策>
ご利用者様の情報は全てクラウド上に保存しています。Googleドライブというクラウド上の保存場所(ストレージ)を利用しています。事業所内の共有フォルダで情報管理をするのと同じで、インターネット上の安全な場所に共有フォルダを作っておき、そこに保存しています。
郵送で届いた書類への対応
事業所に郵送で届いた書類については、ほぼ毎日、バックオフィスのメンバーがスキャンして、電子データとして保存しています。必要に応じて残すものもありますが、ほとんどの書類はスキャン後、シュレッダーで処分しています。(処分する紙は相当量あり、「もったいない」と思うこともよくあります。業界全体のペーパーレス化を望みます)
ケアマネジャーは、データ化された書類を確認した上で、必要な場合は、ご利用者様ごとのフォルダに保存します。
ご利用者様のファイル(カルテ)のフォルダの中に、ケアマネジャーごとのフォルダを作成し、その中にご利用者様ごとのフォルダを作成。さらにその中に、介護保険被保険者証や認定調査の情報などを入れるためのフォルダをつくっています。これは、物理的なファイルを付せんなどで整理するイメージと一緒です。

ただ、ファイルを保存する際、どのようなファイル名を付ければいいのかという問題が起こります。クラウド上でデータを保存するメリットとして、ファイル名で検索すると、フォルダをたどらなくても見つけられるというメリットがありますが、正確に名前を付けて保存するのは面倒ですし、手間もかかります。
弊社の場合、ファイル名に関する決まりは現時点では設けていませんが、数が増えるに連れて、管理のしづらさを感じています。この課題に取り組むため、ファイルの保存と記録のDX化を検討しています。
ファイル保存でアプリ使用、記録も自動化する試み
DX化は、それぞれの仕事(タスク)を業務フローに落とし込み、タスクそのものを減らしたり、タスクの順番を変えたりすることで、業務の変革を図ることが目的で、その手法としてデジタル技術が用いられます。
「ファイル保存」というタスクの業務フローを以下に書き出してみました。

ファイル保存のDX化を図ると、保存後に生じる「支援経過の記載」という業務と同時に行うことができるようになります。その結果、ファイル名が正しく記載できる上、やり方によっては、支援経過記録からURLをクリックして、保存ファイルを開くことができます。
持ち帰らなければいけない書類への対応
訪問先などで頂いた書類は、出先で処理することを基本としています。保険者などへ提出する書類も、訪問先から届け出を行ったり、郵送したりするなど、その場で処理できるようにしています。
認定期間の更新などのため、ご利用者様から介護保険被保険者証をお預かりすることがあります。その場合、訪問先から事業所に郵送し、事業所でまとめて保険者などに申請します。この方法は面倒ですが、担当のケアマネが別々に処理するよりも効率的ですし、申請の漏れをチェックできる利点もあります。

重要事項説明書への署名
重要事項説明書や契約書への署名・保存については、とてもアナログな方法を使っています。電子署名なども検討しましたが、まだまだ不便ですし、うまく使うには慣れが必要です。
弊社では、シンプルに紙に署名していただく方法をとっています。重要事項説明書及び別紙、契約書、個人情報使用同意書の書類ごとに署名いただき、事業所でデータとして保存することにご了承いただいた上で、その場で写真撮影してクラウドに保存しています。

- 次田芳尚
- 日本福祉教育専門学校卒業後、社会福祉法人が運営する在宅介護支援センターのソーシャルワーカーに。その初任給で当時最先端だったWindows 95搭載のパソコンを購入した。職場の業務改善プロジェクトへの参加をきっかけに、「ICT化」と「業務改善」が自身のライフワークに。老健の相談員などを経て35歳で独立し、コンサルタントとして事業所の支援をスタートさせる。2021年4月に株式会社279(つなぐ)を設立し、テレワーク型の居宅介護支援事業所の運営を開始。現在、同社代表取締役のほか、介護現場のIT活用を支援するNPO法人「タダカヨ」の理事なども務める。
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