“テレワークケアマネ”の創り方
春の報酬改定を踏まえた“テレマネ”の展望
- 2024/09/20 09:00 配信
- “テレワークケアマネ”の創り方
- 次田芳尚
-
2024年度の介護報酬改定では、全てのサービスでテレワークが認められる(居宅療養管理指導を除く)とともに、管理者の兼務範囲が同一敷地外にも広がりました。
居宅介護支援については、介護職員等処遇改善加算の対象からは外れましたが、ケアマネジャー1人当たりの受け持ち件数が35人から44人に大幅に増加し、さらに条件を満たして申請することにより、49人まで担当できるようになりました。
今回は、これらの改定を踏まえ、テレワークケアマネの今後の展望についてお伝えしていきます。
受け持ち件数増加の背景
日本は「少子高齢社会」です。2025年には戦後のベビーブーム世代、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者になります。
さらに2040年には、生産年齢人口が急激に減少します。その一方で、介護が必要な人は増加し、生産年齢人口のおよそ5人に1人は、医療・福祉・介護の従事者になるともいわれています。
このような中、経済を維持するためには、生産性の向上が不可欠です。だからこそ、DX化の推進や柔軟な働き方が求められているのです。
この春の介護報酬改定は、ケアマネジャーの生産性を向上させ、少ない人数でも対応できるようにすることを目指したものです。
国保中央会のケアプランデータ連携システムの利用と事務員の配置により、ケアマネジャー1人当たりの担当件数は49人まで認められるようになりました。介護職員等処遇改善加算こそ付きませんでしたが、生産性の向上で受け持ち件数を増やせば、給与アップにもつながります。
今回の国のメッセージをしっかりと捉え、業務改善を行っていくことが求められています。

テレワークが認められる条件
テレワークをすると、出勤時間が不要になるので、働くケアマネジャーとしては、プライベートの時間が増えます。さらに、事業所外みなし労働時間制を採用するなど、雇用契約を工夫すれば、プライベートと仕事の時間の仕切りを取り除くことも可能です。
ただ、ケアマネジャーの仕事は個人情報を扱うことが多いため、業務上さまざまな工夫が必要です。これまでの連載で弊社の取り組みをご紹介してきましたので、参考にしていただければ幸いです。
管理者の兼務範囲の拡大の意味
前述の通り、この春から、管理者の兼務範囲が同一敷地外まで広がりました。しかし、同一敷地外の範囲について、明確な規定はありません。サービスの指定権限を持つ保険者がそれぞれ判断をしていることだと思います。
公的介護保険サービスの創設から、まもなく四半世紀を迎えます。この間、テクノロジーは驚くほど進化しました。ベッドは手動のリクライニングから電動式に変わり、情報通信端末の普及により、さまざまな情報が手に取るようにわかるようになりました。
特に進化が目覚ましいのは、情報共有の分野です。インターネットとスマートフォンの普及により、手元の端末でさまざまな情報を確認できるようになりましたし、ビデオ通話によるコミュニケーションも一般的になりました。
そろそろ、管理者の管理業務も見直す時期にきているのではないでしょうか。適切な労務管理を行うためには、従来とは異なる管理手法やデータ活用などの工夫が不可欠です。
業務の「標準化」と「画一化」は違う
これまでの連載で、ICTの活用方法についてお伝えしてきましたが、ICTを活用しさえすれば、生産性の向上が実現できるわけではありません。日々の業務内容を整理した上で、「統合」「分業」「アウトソース」などについて検討し、業務プロセスの標準化を図っていくことが大切です。
介護の業界の方は、「標準化」と「画一化」を混同してしまい、「そんなことはできない」と言われる方が多い印象を受けます。
標準化と画一化は違います。ケアプランは標準化できません。ご利用者様の状況はお一人お一人違うわけですから。一方で、ケアマネジャーの事務処理は標準化できます。ケアマネジャーがそれぞれやっていた仕事をまとめて行うことで、効率アップできることもあるのです。
逓減制緩和の要件でもある事務員の配置により、スムーズに業務が遂行できることもあります。厚生労働省のガイドラインも参考になります。
業務改善を進める際は、プロセスから考えていただくことをお勧めしています。業務内容をフローチャートに書き出し、重複している業務がないか、不要な業務はないか確認しましょう。業務の目的を明確化した上で、プロセスを改善することで、無理・無駄のない業務の遂行につながります。
次の図は、更新申請のプロセス改善の例です。事業所内で業務の集約化を図るとともに、ICTを活用することで、ケアマネジャー全体の仕事量が減り、業務改善が進んだことがわかると思います。


行政のデジタル化への期待
ケアマネジャーは、保険者や医師、関連サービス事業所等への情報伝達といった調整業務がとても多い仕事です。マイナンバーカードの登場により、一部の保険者では、介護保険の更新申請をスマホで行うことができるようになっています。
しかし、ご利用者向けのUI(ユーザーインターフェース)であり、複数人の申請に対応していないなど、居宅介護支援事業所にとっては使いにくいものになっています。保険者の窓口業務のデジタル化がもっと進めば、郵送費だけでなく、窓口に書類を提出するための時間の削減も期待できます。
冒頭でも触れましたが、少子高齢社会を幸せに迎えるためには、生産性の向上が不可欠です。もはや待ったなしの状況です。今回の改定をポジティブに捉え、保険者や行政と一緒に取り組んでいくことが大切です。
279の“テレマネ”のこれから
多様性社会の中で、ケアマネジャーはもっと自由に、自分らしく働くことができる職種だと思います。ICTを活用し、働き方を改善していくことで、それぞれのライフステージに合った生活が実現できるよう、会社側も、多様な雇用形態を提案できるようにしたいと思っています。
スマホは今や、私達の生活に欠かせない存在ですが、介護現場ではいまだに手書きで記録をとるなど、まだまだ一般社会とはかけ離れた状況が見られます。「仕事をアプリケーション化する」ことで、さらに業務を効率化できるよう、これからも邁進したいと思います。

- 次田芳尚
- 日本福祉教育専門学校卒業後、社会福祉法人が運営する在宅介護支援センターのソーシャルワーカーに。その初任給で当時最先端だったWindows 95搭載のパソコンを購入した。職場の業務改善プロジェクトへの参加をきっかけに、「ICT化」と「業務改善」が自身のライフワークに。老健の相談員などを経て35歳で独立し、コンサルタントとして事業所の支援をスタートさせる。2021年4月に株式会社279(つなぐ)を設立し、テレワーク型の居宅介護支援事業所の運営を開始。現在、同社代表取締役のほか、介護現場のIT活用を支援するNPO法人「タダカヨ」の理事なども務める。
スキルアップにつながる!おすすめ記事
このカテゴリの他の記事
こちらもおすすめ
ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報
介護関連商品・サービスのご案内
ケアマネジメント・オンライン(CMO)とは
全国の現職ケアマネジャーの約半数が登録する、日本最大級のケアマネジャー向け専門情報サイトです。
ケアマネジメント・オンラインの特長
「介護保険最新情報」や「アセスメントシート」「重要事項説明書」など、ケアマネジャーの業務に直結した情報やツール、マニュアルなどを無料で提供しています。また、ケアマネジャーに関連するニュース記事や特集記事も無料で配信中。登録者同士が交流できる「掲示板」機能も充実。さらに介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)の過去問題と解答、解説も掲載しています。



