今、伝えたい「ありがとう」「ごめんなさい」

最後まで気に掛けてくれた上司、伝えるべきは感謝だけだったはずなのに…

「よい上司に巡り合った」と感じている人は、そう珍しくはないかもしれません。ただ、感謝の気持ちを上司に伝えている人は、どのくらいいるでしょうか。北海道で活動するSIDさんは、かつての上司に感謝の気持ちを伝えきれなかったことが「後悔してもしきれない」と言います。

SIDさんが上司と巡り合ったのは、その方が事務長として新たな施設の立ち上げに取り組んでいる時。介護職として働いていたSIDさんの職場まできて、「お前は主任職としてうちにくるんだよ」と誘ってくれたのだとか。その誘いを受けて新たな施設に移ったSIDさんに、上司は後進を育成するための心構えや準備するべきことなどを、いちから教えてくれました。

ところが 開設して半年、上司が癌に罹患し、1年ほどで療養を余儀なくされました。

療養から3年、上司は職場に復帰します。ただ、「その時には末期の状態で『自分が手掛けた施設に最後まで関わりたいとの気持ちで戻った』と仰っていました。実際、痛み止めの点滴を受けながら出勤していることも珍しくありませんでしたし、それでも辛くて事務室のソファに横になっていることも多かった。そんな状態でも若い職員が復職の歓迎会をしたいといった際には、喜んで参加してくれました」

しかし、楽しいはずのその席上、SIDさんは上司に今の職場の不満を延々とぶつけてしまいました。「上司が休職していた間、代理で事務長を務めていた方とは何度も話し合ったのですが、どこか煙たがられているような雰囲気を感じていて…。つい、その愚痴を言ってしまったのです」。

さらに、他の会社から相談職として雇いたいと誘われていることも伝え、どうするべきか迷っているということまで打ち明けたといいます。

「それでも『自分の好きな道を選びなさい』と私の背中を押してくれたのです。私が以前から相談職になりたいと言っていたことを覚えてくれたからこその言葉でした」

結局、SIDさんは、余命いくばくもない上司の元を去ることができず、その職場に残りました。

歓迎会から一年もしないうちに、上司は亡くなりました。そして、その数カ月前、SIDさんは相談職へ異動となりました。上司が、SIDさんの希望を叶えてくれたのでした。

「いろいろな意味で辛かったはずの上司に、私は自分の思いばかりをぶつけてしまいました。後から入院中も私のことを心配してくれていたことも聞き、今は激しく後悔しています。伝えなくてはならなかったことは感謝しかなかったはずなのに…」。

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