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ケアマネのシャドーワーク解決は「混合介護」で!

9月20日の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」(ケアマネジメント検討会)では、厚生労働省がケアマネジャーの本来業務とそれ以外の業務の範囲を考える上での「線引き」といえる案を示した。ケアマネが業務外の支援を無報酬で担わされる「シャドーワーク問題」を解決するための案である。しかし、単なる「線引き」だけでは足りない。シャドーワークを解消するには、ケアマネの「混合介護」も、あわせて推進すべきと考える。

厚労省が示したケアマネの業務範囲の「線引き」案

今回の厚労省の提案で注目すべきは、「ケアマネの本来業務ではないが、現場でやむなく対応が求められる行為」が明示されている点である(厚労省「第4回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会資料2-1」16頁)。

具体的には、「郵便・宅配便等の発送」「受取・書類作成・発送」「代筆・代読」「救急搬送時の同乗」などが挙げられている。

また、他機関に繋いでいる業務として、「部屋の片付け・ゴミ出し、買い物などの家事支援」「福祉サービスの利用や利用料支払いの手続き」「預貯金の引き出しや振込」「入院中・入所中の着替えや必需品の調達」「徘徊時の捜索」も明示された。

「線引き」と合わせて役所の機能強化も!

このうち「通知受取・書類作成・発送」や「代筆・代読」あたりは、本来は役所がやるべき仕事。当然ながらケアマネ業務の範囲外だ。

だが現場では、時と場合によって、こうした業務に即応しなければならないこともある。「線引き」を明示しただけでは、ケアマネがシャドーワークに悩む現状は変わらないだろう。

この問題を解決するには、役所の機能強化を進めなければならない。具体的な仕組みとしては、役所職員が利用者宅を訪問し、「代筆・代読」などの業務に対応する「アウトリーチ型」の窓口対応を実施することが考えられる。役所職員の手が足りないのであれば、定年退職した役所職員を非常勤職員として雇い、要介護者住民に限って対応することもありうると思う。

「ケアマネが支援するのが当たり前」を払拭するため…「混合介護」の推進を!

また、「部屋の片付け」「買い物」といった家事支援や「入院中の着替えなどの調達」などは、ヘルパーの人材不足などから、やむなくケアマネが行っているという実情をよく耳にする。特に、独り暮らし高齢者への支援では、そうしたことが起こりがちだ。

そこで、「部屋の片付け」「買い物」「ゴミ出し」など、本来、ヘルパーや家事手伝いといった人材が担うべき対応を求められた場合、ケアマネが利用者から費用を受け取ることができることを明確化すべきと考える。

ケアマネの業務でも「混合介護」を推奨するということだ。

低所得者に対して難しい側面はあるが、それでも低価格であれば、費用を受け取ることも可能ではないだろうか。

介護保険制度が始まって25年が経とうとしている。その間に「ちょっとした支援であれば、ケアマネが無償でやるのが当たり前」という雰囲気が浸透してしまった。

四半世紀の積み重ねで出来上がってしまったこの雰囲気をガラリと変えるには、ケアマネ業務とそれ以外の業務の「線引き」を明示するだけでは足りない。ケアマネの「混合介護」の促進にも、同時に取り組む必要があると思う。

ケアマネの「混合介護」を促進する際には、気を付けなければならないこともある。例えば、売り上げを伸ばすため、必要のない自費のケアを強要する「輩ケアマネ」の出現などは懸念されるリスクの一つだ。

もちろん、ほとんどのケアマネは「輩」に堕ちてしまうことはないだろう。それでも万に一つの事態を防ぐため、「自費」によるサービスを提供する場合でも、きちんとアセスメントし、根拠をケアプランに位置付けることを義務付けるべきだろう。さらに「混合介護」を盛り込んだケアプランについては、保険者がしっかりと実地指導をすることも不可欠だ。

ヘルパー不足の補完とケアマネの待遇改善も期待できる!

ケアマネの「混合介護」の促進は、ヘルパー不足の補完として有益であると考える。また、ケアマネの新たな収入源ともなり、いくばくかの待遇改善にも繋がるであろう。少なくとも、逓減制を緩和し、担当できる件数の上限を引き上げるより、有意義な施策になりうるはずだ。

「シャドーワーク」問題を機に、ケアマネにおける「混合介護」のメリット・デメリットを精査したうえで、その導入を検討すべき時期に来ているのではないか。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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