“あるある”で終わらせない!失敗を生かすケアマネジメント
先輩ケアマネの“背中”で覚える人材育成の限界
- 2024/11/20 09:00 配信
- “あるある”で終わらせない!失敗を生かすケアマネジメント
- 山田友紀
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私が介護福祉士として特別養護老人ホームに入職した頃の新人教育は、1~2カ月ほど先輩に付いて、入所者1人1人のケアや業務の内容を覚えるというやり方でした。
次に勤務した新設の通所介護事業所では、私自身が主任として人材育成をする立場となりました。新規入職者の人材育成はOJTで、私が初めて勤めた特養で教えてもらった時と同じ、“私のあとを追って業務を覚えてください”という方法をとりました。
「業務を覚える」という点では成果を出せていたので、当時の私は、人材育成のやり方の1つだと認識していました。
それから数年後、私はケアマネジャーの資格を取得し、ケアプランセンターに異動になりました。
新米ケアマネジャーとなった私は、退職するケアマネジャーのケースを全て引き継ぐことをミッションにしていました。
先輩ケアマネジャーからの引き継ぎは、ご利用者やご家族への挨拶、家庭ごとの約束事の確認、そして、ご利用者がどのような介護サービスを、どのような理由で利用されているのか、ケアプランに関する内容を聞いて完了です。介護ソフトの使用方法については、ひと通り説明を受けた後、その都度指導していただきました。
このように、私は新人の頃、「全て教えてもらう」というやり方で育ててもらいました。
ただ、これだと個人個人によってやり方が違うので、他の先輩や上司から「このやり方、誰に教えてもらったの?」と聞かれることがあり、私はいつも、「これでいいのかな」と不安を抱えながら、先輩の顔色をうかがって仕事をしていました。
利用者のことも聞かずに…サービスを提案する先輩
ケアマネジャーになって、支援のことで困った時、先輩ケアマネジャーに相談すると、「あー、それならデイがいいよ」「ショートステイを利用すればいいんじゃない」などなど、ご利用者がどんな人かも聞かずに、サービスについて提案されることが多々ありました。
私は「デイはご本人が嫌がられるんです」といった感じで、よく心の中で「そうじゃないんだな」と思っていました。
ところが、ある日、先輩ケアマネジャーが「ケアマネなのに、給付管理と支援費の請求のこともわからないのか!」と上司に注意されている姿を目撃し、それ以来、「わからない」とは簡単に言えなくなってしまいました。
家族から相談、初の医療系サービスとの連携
そうこうしているうちに、前任のケアマネジャーからの引き継ぎを終え、1人でモニタリング訪問をすることになりました。
ご家族から「最近、熱もよく出るし、どうしたらいいかわからない。近所の人が『訪問看護に来てもらったらいいよ』と教えてくれたから、訪問看護を利用したい」と相談を受けた新米ケアマネジャーの私。「はい、わかりました」と空返事したものの、内心では「どうしたらいいんだろう…」と、不安な気持ちでいっぱいでした。
今の私なら、ご利用者やご家族がなぜ医療サービスを必要としているのか、訪問看護を利用することでどのような状態を目指したいのか、どこか希望する事業所はあるのか―などを尋ねますが、当時の私に、そんな考えはみじんもありませんでした。
それよりも、初めての医療系サービスとの連携に、緊張で胸が詰まりそうでした。
「『訪問看護を利用したい』と家族に言われたのですが、どうしたらいいですか?」
事業所に戻った私は、先輩ケアマネジャーにこっそりと尋ねました。するとその先輩は、「◯◯病院のA訪問看護に電話したら?空きがあると思うよ」と教えてくれました。
新米ケアマネジャーの私は言われるがまま、A事業所に電話しました。「訪問看護を利用したいのですが…」と切り出すと、電話口の方は「新規ですね。所長に代わります」と取り次いでくださいました。
「はい、Bです」。所長さんの低く、不愛想な声を聞き、一気に緊張が走りました。「医療系の事業所は忙しいから、端的に話すように!」と、他のケアマネジャーが指導を受けていたことを思い出し、さらに心臓が高鳴りました。
「訪問看護を利用したい」と短い言葉で伝えると、所長は低い声で、「どんな方ですか?」と尋ねられたので、私はご利用者の基本情報を説明しました。
すると所長さんは、「で、訪問看護は何をしたらいいですか?」と、ぶっきらぼうにおっしゃいました。この言葉を聞いて、私ははっとしました。
「わからない」というのが正直な答えでしたが、私はとっさに、「『最近、熱が上がったり下がったりするので、どうしたらいいか困っている』『訪問看護に来てほしい』と、ご家族がおっしゃっています」と伝えました。
所長の言葉に凍り付く…指示書?なんだそりゃ?
「わかりました。健康管理ですね。で、指示書はどこからですか?」
所長さんの言葉に、私は凍り付きました。指示書?なんだそりゃ?
私が何もわかっていないことを察したのか、所長さんは「では、主治医に指示書の依頼をお願いします。それから訪問日を決めましょうか」と進めてくださいました。
「指示書とは何か?」「これからどう動けばいいのか」―。電話を切った後、私が先輩ケアマネジャーを質問攻めしたのは言うまでもありません。
ケアマネジャー試験に合格して実務研修を受けても、それだけでは、ケアマネジャーとして働けないことが身に染みてわかりました。
それからというもの、私は他のケアマネジャーがどんなことを学び、どんな支援で困り、それをどう解決しているのかを知りたいと、強く思うようになり、日本ケアマネジメント学会の研究大会などにも足を運ぶようになりました。
そして、そこで出合ったのが、「スーパービジョン」という言葉でした。(続く)

- 山田友紀
- 特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護、居宅介護支援の相談業務などに従事した後、2016年、京都市内でデイサービスなどを運営する株式会社「ふくなかまジャパン」の取締役に就任。2018年以降は、同市内にある居宅介護支援事業所「ふくなかま居宅介護支援センター」の管理者も務める。現在は、マネジメントや人材育成の講師を務めているほか、一般財団法人生涯学習開発財団が認定する「プロコーチ」としても活動している。
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