

小濱道博の介護経営よもやま話
年1回の実施が必須に、居宅のBCP訓練
- 2024/11/28 09:00 配信
- 小濱道博の介護経営よもやま話
- 小濱道博
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商用施設の会議室に、県内全域からケアマネジャーが40人ほど集まっている。職能団体主催のBCP(業務継続計画)のシミュレーション訓練を受けるためである。
2021年度(令和3年度)の介護報酬改定に伴い、全ての介護サービス事業者に対して、BCPの策定が義務化された。3年の経過措置期間が終了し、完全義務化となったことで、今年度から年1回の研修・訓練が必須となっている。
居宅介護支援事業所の場合、まだまだ少人数で運営しているところが多いため、共同訓練の形式が取られている。既に各地で開催されており、筆者はその講師で呼ばれることもある。
少人数でグループワーク、シミュレーション訓練とは
では、共同訓練とはどのようなものなのか。ここからは、筆者が実際に講師を務めたケースを例に説明したい。
共同訓練は実地ではなく、シミュレーション形式で行われる。シミュレーション訓練のメリットは、参加者全員が発言できる点にある。BCPの周知だけでなく、計画の見直しにつながるという点においても、最もお勧めしたい訓練方法である。
シミュレーション訓練の流れ
- 参加者を4-6人のグループに分ける
- 進行担当と発表者を決めてもらう
- 共通の検討テーマを10分程度、議論する
- グループごとに検討内容を発表
- 発表に正解はないため、批評は厳禁
- BCPの内容と発表内容を比較する
- 必要に応じて後日、BCPの内容を見直す
- 1~7の流れで、4~6つのテーマを議論する
シミュレーション訓練では、まず参加者を5~6人のグループに分け、司会担当と発表担当(書記)をそれぞれ決めてもらう(ジャンケンで決めることが多いようだ)。
進行担当から検討テーマが発表された後、グループごとに10~25分程度のディスカッションを行い、制限時間を迎えたら、それぞれ議論の内容を発表する流れだ。グループの数にもよるが、大体1時間で2~4つのテーマについて検討することができる。
検討テーマの例
【前提条件】
市内で震度7の地震が発生。停電、断水が発生し、電話が不通になっている。
【自然災害想定】
利用者の居宅訪問時に地震に遭遇した。大きな揺れのため利用者が負傷した。ケアマネジャーであるあなたはどう対処するか。
【感染症想定】
新興感染症に感染した利用者が在宅療養となった。訪問サービスの継続が必要である。担当事業所の選定をどうするか。また、担当事業所が、職員の高齢を理由としてサービスの提供を断ってきた。どのように対処するか。
発表内容についての批評は一切行わない、それが決まりだ。時間が経つにつれて徐々に盛り上がり、あっという間に1時間が過ぎる。
このシミュレーション訓練によって、策定時点では認識されなかった新たな考え方や対処法などの“気づき”が生まれ、計画の見直しへとつながる。
厚生労働省の解釈通知において、研修は定期的(在宅サービスは年1回以上)に開催し、その内容を記録しなければならないとされている。また訓練については、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習などを定期的(同)に実施する必要がある。
研修と訓練はいずれも、少人数を理由に実施を免れることはできず、併設する介護サービス事業所や、他の居宅介護支援事業所と共同で行う必要がある。
未策定減算と運営基準の取り扱いは異なる
前述の通り、BCPの策定は、3年の経過措置期間を経て、今年度から完全義務化となり、BCPの策定に加え、研修や訓練の実施なども求められるようになった。
今年度の介護報酬改定では、BCPが未策定の場合に基本報酬が減額となる「業務継続計画未実施減算」が新設されたが、居宅介護支援は特例の対象となっているため、来年4月からの適用となる。
しかし、ここで言う「未策定」とは、あくまで介護報酬の要件の話に過ぎない。この春から完全義務化されている点に変わりはないため、今年度の運営指導では、減算にならずとも、運営基準違反として指導対象となる。それは、研修と訓練の未実施についても同様である。この点にぜひ注意してほしい。

- 小濱道博
- 小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。
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