“あるある”で終わらせない!失敗を生かすケアマネジメント

ケアマネの成長の鍵を握るバイザーとの出会い

スーパービジョンは、指導役を務めるスーパーバイザー(先輩ケアマネ)が、スーパーバイジー(後輩ケアマネ)の育成を目的に、教育的・支持的・管理的な役割を担う仕組みであることを知りました。

ただ、「スーパービジョンを受けてみたい」とは思ったものの、「スーパーバイザーがどこにいるのかわからない」という壁にぶつかりました。

当時は人脈もなかったため、上司ぐらいしか相談相手はいませんでした。「スーパーバイザーを探している」と上司に相談して、もし「自分がやろうか」と言われたら…。私には断る勇気はありませんでした。

反発心があるとかそういうことではなく、上司から「●●した方がいい」と言われると、「人事評価にも影響するのでは」との妄想も膨らみ、「利害関係が生じるかもしれない」と思うと、お願いするのは難しいと感じたということです。

職場以外でスーパーバイザーを見つけようと、ケアマネジメントに関するさまざまな研修会に参加し、受講していたケアマネに「スーパービジョンを受けていますか」と声をかけまくりましたが、「受けています」という方には出会えず…。私は“スーパーバイザー難民”になってしまいました。

「バイザー経験あり」のうのみは危険

ひたすらアンテナを張り続けていると、ようやく「部下にスーパービジョンをしている」という方と出会うことができました。

ある研修会で一緒になった、居宅介護支援事業所の管理者Aさんでした。

上司の立場で部下を育てるのと、スーパーバイザーとしてケアマネを育てるのとでは一体、何が違うのか―。私は率直にAさんに尋ねてみました。

「うーん…、なんだろう…」。Aさんは言葉に詰まりながらも、「同じかな」とおっしゃいました。ただ、「スーパービジョンを受けたことがありますか」と尋ねたところ、どうやらご経験は無いようでした。

これを聞いた瞬間、私は「危険だな」と思いました。まるで、食べたことも見たこともない料理を目の前にして、「これは●●料理だよ」などと知ったかぶりをする人と同じうさんくささを感じたからです。

「バイザー経験がある」という言葉をうのみにして、スーパービジョンをお願いしたら、とんでもないことになる―。この出来事をきっかけに、私はより慎重にスーパーバイザーを探すようになりました。

“本物”のスーパービジョンの衝撃

そうこうしているうちに、転機が訪れます。スーパーバイザーを招いて行われた、某職能団体主催の事例検討会に参加した際、ついに運命の出会いを果たしたのです。

人生はドラマだ。私は利用者さんの人生ドラマに、ケアマネジャーのキャストで関わらせてもらっている。それなのに私は、これまで無意識に主役の立ち位置にいた。本来の主役である利用者さんのことを理解すると、利用者さんが課題やお困り事を乗り越えるために、どう支援すればいいのかが見えてくる。

これは、初めて“本物”のスーパービジョンを聞いた時の私の感想です。

「利用者ファースト」「バイジーファースト」を大切にするこの方に師事したい―。

私は、この方が出席するグループによるスーパービジョンの学習会(以下、塾とします)の存在を聞きつけ、入会することにしました。

9年間のスーパービジョンの成果

塾でスーパービジョンを受けるようになり、今年で9年目を迎えます。それまで体系的に学ぶことを知らず、さまざまな講師のセミナーを受講してきましたが、この方に師事してからは、この方が出席する個人やグループによるスーパービジョンで学ぶようになりました。

最初に入会した塾は、コロナ禍で解散してしまいましたが、塾は全国各地にあるので、別の塾で今も学習を続けています。

塾には合宿もあり、仲間との懇親会で大笑いして過ごす時間も楽しみの一つです。また、他の塾との合同合宿もあり、全国に学びの仲間ができました。

彼らは、塾ではスーパーバイジーですが、塾外では、大半の方はスーパーバイザーや講師として活躍されています。

さて、私が9年間スーパービジョンで学んだ成果ですが、利用者さんの理解を深める力が確実についたと感じています。

利用者さんやご家族のニーズやストレングス、コーピング力(ストレスに対処する力)などを把握し、支援に生かすことができるようになってきましたし、アセスメントや支援の根拠を説明できるようになってきたとも感じています。

バイザー探しに奔走していた時期もありました。

スーパーバイザーと出会うためには、セミナーの講師の方などに、「スーパービジョンを受けたい」と相談してみるのも一つの方法です。誰かに紹介してもらう手もありますが、「この人から学びたい」と自分で決めた方が、自分に対する責任が生まれる分、より大きな成果が期待できると思います。

最後に、「先輩ケアマネの“背中”で覚える」人材育成には限界があります。

“背中”から期待できる学びは、仕事への「姿勢」や「あり方」だけで、知識やスキルの習得には不十分だと感じています。バイザー役となる先輩ケアマネが、実体験や持論だけで指導してしまうと、それは「教育」ではなく、「指示・命令」になってしまいます。

ケアマネの人材育成において、バイザー選びは極めて重要です。自身の主体的な行動を支援してくれるスーパーバイザーとの出会いが、私達の成長の鍵を握るといえるでしょう。

山田友紀
特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護、居宅介護支援の相談業務などに従事した後、2016年、京都市内でデイサービスなどを運営する株式会社「ふくなかまジャパン」の取締役に就任。2018年以降は、同市内にある居宅介護支援事業所「ふくなかま居宅介護支援センター」の管理者も務める。現在は、マネジメントや人材育成の講師を務めているほか、一般財団法人生涯学習開発財団が認定する「プロコーチ」としても活動している。

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