

CMO特別インタビュー
「6年後には学卒が直接、ケアマネになれる仕組みを」/柴口里則(日本介護支援専門員協会会長)【新春インタビュー・前編】
- 2025/01/30 11:00 配信
- CMO特別インタビュー
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昨年末、2027年度の介護保険法改正に向けた議論がスタートした。同部会では、ケアマネジメントへの自己負担導入(ケアプラン有料化)の是非について、結論を得るための議論が行われる見通しである上、やはり昨年末に示された「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」(ケアマネジメント検討会)の中間整理を踏まえた議論も進められる予定だ。制度創設以来といえるほどの大きな変革期に向け、ケアマネジャーの職能団体はどのように向き合い、何を求めて行くのか―。日本介護支援専門員協会の柴口里則会長にインタビューした。

日本介護支援専門員協会 柴口里則会長
業務の分類をきっかけに、資格の「独立」を目指す
―昨年末、ケアマネジメント検討会の中間整理が公表されました。その中間整理で提起された内容について、どのように評価されますか。
中間整理の中で、特に前向きに評価したいのは、現状のケアマネジャーの業務を4つのカテゴリに分類した上で、それぞれの業務に対し、ケアマネジャーがどのように関わるべきかの方針を示したことでしょう。(図)

介護支援専門員という職種は、介護保険制度の誕生とともに産声を上げた資格です。それだけに現場のケアマネジャーは、どのように動き、何をすべきなのか、この25年間、ずっと手探りで考えながら働いてきました。
もちろん、規則で定められた業務範囲は、はっきりしていまます。だが、在宅での相談支援業務である以上、業務範囲かどうか、はっきりしないグレーゾーンも同時に存在します。そして、我々はそういうグレーゾーンに該当する業務について、依頼されれば断ることなく請け負ってきました。その結果、われわれが取り組む業務は、広がり続けてきたのです。
ただ、もうこれ以上、ケアマネジャーが取り組む業務を広げるのは難しい状況になりつつあります。そういうタイミングで、国が一定の業務範囲を明示してくれたのはありがたかったですね。
そして私たちは、今回の業務範囲の整理を契機に、介護支援専門員を「独立」した資格にしたいと考えています。
―「独立」した資格とは、どういう意味でしょうか。
今の介護支援専門員という資格は、医療・介護・福祉の国家資格を持った人が一定の実務を経験した上で、試験と研修を乗り越えれば取得できる仕組みとなっています。前向きに考えれば「さまざまな実務経験と専門知識を持った人材を受け入れることができる資格」といえますが、裏を返せば、介護支援専門員として働く人がどのような専門性を発揮できるのか、外部の人からはイメージしにくいという側面もあります。
この「外から見ると、ケアマネジャーの専門性や仕事がイメージにしくい」という課題を解決するためにも、一定の養成課程を経た大学卒や専門学校卒の若い人材が、介護支援専門員の資格を得るための試験を受けられる仕組みが必要だと思うのです。この仕組みがあれば、人材不足に悩む居宅介護支援事業所に、若い人材が参加しやすくもなるはずです。
幸い、先のケアマネジメント検討会の中間整理には、「学卒者の入職の在り方については、高齢者のケアマネジメント業務に求められる専門性をどのように修得するかといった実務経験の必要性も含めた質の確保の観点に留意しつつ、学校教育と連動した若年層の確保の必要性や保有する資格の専門性等も踏まえ、今後も引き続き議論することが適当である」という文言が明記されました。これによって、学士や専門校卒の人材が、直接ケアマネジャーになれる道筋が見えました。
ケアマネジャー試験の基礎資格の対象拡大は「現実的な方針」
―人材不足といえば、ケアマネジメント検討会の中間整理には、介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)に関する提言も盛り込まれています。
ケアマネ試験を受験できる資格を拡大する方針が示されましたね。ケアマネジャー不足の深刻さを思えば、ケアマネジャーの資格が得られる基礎資格の対象を拡大することは、現実的な方針であると思います。
また、ケアマネジメント検討会の議論では、人材不足の現状に鑑み、ケアマネ試験そのものの基準にも、一定の配慮が必要という意見も出ました。今年のケアマネ試験の合格率が、近年ないほど高かったのは、そうした声を反映した結果なのかもしれません。
なお、先に述べた「学士や専門校卒の人材が、直接ケアマネジャーになれる道筋」が実現したとしても、今の仕組みがすぐになくなることは想定していません。今の仕組みと「直接資格を取れる養成課程」の2つの大きな資格取得ルートが併存する形となるでしょう。
「学士や専門校卒の人材が、直接ケアマネジャーになれる道筋」については、次の次の改正・改定のタイミング、つまり、約6年後には、実現したいです。少なくとも、自分が会長として活動している間に、この実現に道筋をつけたいと考えています。ただ、この点ばかりは、会員の皆様が、私を会長と認め続けていただければ、の話ではありますが(笑)。
「手練れ」が引退する前に若い人材を招き入れる
―現在の仕組みと「学士や専門校卒の人材が、直接ケアマネジャーになれる仕組み」が併存すると、一定の専門性を担保するのが難しくなるという懸念もあります。また、相談支援職である以上、社会経験がある人だけが得らえる資格であるべきだとの意見もあります。
専門性については、既に存在している「実務研修」や「更新研修」で担保できるのではないでしょうか。
また、社会経験がない人が相談支援職に就くことへの不安は、現場を担うベテランの経験知を若い世代にうまく伝えていく仕組みを構築すれば、解消されるものと考えています。具体的な仕組みは今後の課題となりますが、例えば、特定事業所加算を取得するための要件として、「大学や専門学校から直接、ケアマネジャーの資格を取得した人へのOJTに協力する」といったことを盛り込むことも考えられます。
介護保険制度誕生以来、現場を支えてきたケアマネジャーはたくさんいます。こうした手練れのケアマネジャーが引退する前に「直接資格を取れる養成課程」を確立することで、若い世代を居宅介護支援の現場に招き入れ、ベテランが培った経験知を次世代に継承していきたいのです。
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