ケアマネジメント・オンラインの機能を上手に使いこなしている“達人”に、そのノウハウを聞く「CMOの活かし方」。第１回は、話題のチャットGPTを活用できる「AI業務支援」。株式会社ウェルネス香川を運営する主任ケアマネジャー・壷内令子さんは、この機能を、事業所のメンバー全員で使いこなされています。壷内さんにお話しをお聞きしました。

【この記事の前編】
AI業務支援（前編）「簡単さが最大の良さ。経験の浅いケアマネには強い味方に」

―壷内さんご自身、実際に使われてみて変化を感じられたことはありますか。

自分も賢くなった気がする、ということでしょうか。

―具体的にお願いします。

自分だけでは思い至らなかった文章構成や言い回しを自分のものにできる、ということです。言い換えるなら、文章に関する学びの気づきの機会が、「AI業務支援」を活用することで得られることがあると思います。

あと、ご利用者やご家族からのメールやライン、ファックスでの連絡や、事業者からの連絡は、支援経過には欠かせない情報ですが、実際に支援経過として記載するには、それらの情報を統合・整理して文章にする作業が必要です。

ところが、それらの情報を「AI業務支援」に読み込ませ、「ケアプランの支援経過として記載する文書にわかりやすく要約してください」と注文すると、ほぼそのまま使える文章を作ってくれるのです。

さらに行政に提出する文章なども「AI業務支援」に添削してもらった上で提出するようにしています。わかりやすく要約された文章が支援経過に記載されていれば、ケアプラン点検や運営指導を受ける際にも、誤解なく進めることができますし、時間も短縮できますから。

―逆に使っていて不安を感じることはありますか。

私自身はありませんが…あまりに便利すぎるせいか、事業所のメンバーの中には「慣れてしまったら、もう自分一人では何もできなくなってしまうんじゃないかと思えてしまう」とこぼした人もいます。

確かに、できなくなることはあるかもしれません。でも、そこを不安に感じる必要はないと思います。

―なぜでしょうか。

AIによる支援が当たり前になることで、できなくても、困らない時代がすぐにやってくるでしょう。

1990年代、つまりパソコンとインターネットが普及する前の時代は、難解な漢字を、辞書を調べることもなく、正確に手書きできることが、それなりに重宝されました。しかし、パソコンとインターネットの活用が前提となった今、難しい漢字を、さらりと手書きできなくなったからと言って日常業務で困ることはあるでしょうか。

チャットGPTもそれと同じです。その存在が当たり前になってしまえば、文章に悩まなくて済む時代がやってくると思うのです。

―現場のケアマネジャーの中には、自分の言葉を大切にしたいという理由で、チャットGPTのようなツールを使いたがらない人もいます。

そうですね。そして、そのこだわり自体が悪いわけではありません。ただ、少し考えてほしいのは、「AI業務支援」を活用することで、あなた自身のケアマネジメントやあなたの言葉そのものが変わってしまうわけではないのです。

むしろ、よりよいケアマネジメントを実現するため、「AI業務支援」が出した言葉や文章や、その構成を自分のものとし、活用していけばいいと思うのです。

実際、「AI業務支援」を日常的に使いこなしている事業所のメンバーの中には、こんなことを言う人もいます。

「添削をしてもらっても、ほとんど直されることがなくなったんです」

つまり「AI業務支援」を積極的に活用することで、AIの力を借りながら自分の言葉の力を磨いていくことができるのです。

―それでも、そもそもチャットGPTをはじめとした、最先端のICTツールに前向きになれないケアマネも少なくありません。

そうですね。でも、そうした姿勢は、あまりにももったいない。

今、パソコンを使えないと「え？？使えないの？」と驚かれるように、10年もしないうちに「AIを使えないの？」と言われる時代が来るでしょう。

まさに今は、潮目が変わり始めている過渡期です。チャットGPTに対するネガティブな意見に引きずられて、せっかく便利なツールに触れるきっかけを逃してしまう。まずは、試してみることで新しい可能性に気づくこともあると思うのです。