生成AI×編集部で紡ぐショートストーリー
【ケアマネ小説】離婚のカタチ、結婚の形・2
- 2025/08/25 09:00 配信
- 生成AI×編集部で紡ぐショートストーリー
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文書生成AIを活用し、ケアマネジメント・オンライン編集部が作成した「ケアマネ小説」。今回は、夫との離婚を考えている、施設のケアマネジャーさんのストーリーです。
離婚届を眺めているうちに出勤時間が迫ってきた。やむを得ず、書類や写真をタンスの奥深くにしまって家を出た。
施設に出勤すると施設長が待っていた。
この男を見ると、どうしても眉間に縦しわが生じてしまう。
職場の他の介護職は、ナイスミドルだの、ちょい悪だのともてはやすが、私は、この男から流し見られるたびに、背筋にムカデが這うような悪寒に襲われる。
施設長が、事あるごとに私を流し見るようになったのは、昨年末の忘年会からだ。
「いつもお疲れ様。施設には他にケアマネさんもいなくて、本当、大変ですよね」などという、通り一辺倒のいたわりと営業用スマイルに、なぜかほだされてしまった。そして、酒の勢いのまま、冷え切った夫婦生活の悩みについて、この男に愚痴ってしまった。
なぜ、こんな男の言葉に、ほだされ、盛大に愚痴を並べ立てたのだろう―。今、思い返しても、たまらなく情けない。
最悪だったのは、施設長が、私の愚痴を倫なき誘いと誤解したことだ。忘年会の終わりの帰り道。施設長は、私の隣を歩きながら、酒臭い息でささやいてきた。
(今日は、みんながいますから、あんまり深い話をお聞きすることもできませんでした。せっかく、琴美さんから心を開いてくれたのに申し訳ないです。年が明けたら、改めて新年会をしませんか。もちろん、2人で)
脂ぎったその誘いを、即座に断ったのは言うまでもない。だが、ヤツはそんなことではめげず、職場でも、隙あらば私を流し見て来るようになったのだ。流し目だけなら、まあ、かろうじて我慢できる。しかし、週末になるたびに、サシ飲みに誘ってくるのは、耐え難い。
何より、そのおぞましい欲望を引き起こしてしまったのが、自分の愚痴であることを思いだすたび、すべての髪を引きちぎりたくなるほどの自己嫌悪に陥る。
◇
歩く性欲のような男が、嫌らしい笑みを貼り付けて私の席の隣に歩み寄ってきた。今日はまだ週中、しかも朝だ。まさか、このタイミングで、私を誘おうというのか。
「おはよう、琴美さん。待っていましたよ」
「…おはようございます。何でしょうか」
「いや、お忙しい中、本当に申し訳ないんですけどね。この書類を3号室の弘美さんに届けて、署名・捺印してもらってほしいのですよ」
手渡してきたのは、離婚届だった。見慣れたその書類には、既に弘美さんの伴侶である正さんの署名と捺印が入っていた。
「えっ、どういうことですか。弘美さんたちが離婚するはずないですよ?」
思わず素っ頓狂な声を上げる私。正さんの話をするたび、毎週の夫のお見舞いがあるたび、柔らかく微笑む弘美さんの顔が脳裏をよぎる。弘美さん夫婦は、施設内でも有名なオシドリ夫婦だったのだ。
「一昨日、正さんから電話があったんですよ。『ちょっと体調を崩してしまって、しばらく、そちらに出向くのが難しそうなのです。お手数ですが、送った離婚届に妻に署名・捺印をさせ、送り返してください。返信用の切手も同封してあります。あ、妻は了承済みですから』と。まあ…夫婦の仲の良し悪しなど、外から見ていては、見極められないものですよ。ねえ?」
最後の「ねぇ」にあわせて、私の肩に手を置く施設長。…ヤツの手が触れた部分だけ、液体窒素でも押し当てられたような寒気とおぞましさに覆われる。
慌ててその手から逃れる私。一秒たりとも、この男の手が届く範囲には居たくはない。
「分かりました!すぐに、弘美さんの部屋に行って、署名捺印をもらってきます」
そう言い捨てて、事務室を飛び出し、弘美さんへの部屋に向かった。
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