小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

急増中の運営指導、最新のトレンドを徹底解説

今年は、本当に運営指導が多いと感じる。コロナ禍が収束した2023年夏以降、全国的に増加傾向にはあったが、ここ最近特に増えている。事前チェックなどのコンサルティングの依頼も増えており、お盆期間中も急きょ相談を受けたほどだ。

今回は、昨今の運営指導におけるトレンドを解説し、効果的な対応戦略について考えたい。

全サービス共通のトレンドと対応戦略

全サービス種別を通じて見られる傾向は主に6つある。

まず、BCP(業務継続計画)策定については、単なる書類整備にとどまらず、災害や感染症の発生時に機能するかどうかが問われる。定期的な訓練の実施状況や計画の見直し体制についても詳細な確認が行われ、衛生管理の状況も厳しくチェックされる。

次に、科学的介護推進体制加算をはじめとするLIFE関連の各種加算については、データ提出の適切性と活用状況が重点的にチェックされる。データの正確性、提出期限の順守、そしてフィードバック情報の活用によるケアの質の向上が求められる。特に、データ分析結果を個別サービス計画や日常業務にどのように反映させているかが、重要な評価ポイントとなっている。

3つ目は処遇改善加算だ。詳細な確認を求められるのは、職員の資質向上に向けた研修計画の実効性、給与体系の透明性、キャリアパス要件の充足状況などだが、加算取得の根拠となる賃金改善の実施状況や職場環境等要件の達成状況についても、具体的な資料提出が求められるケースが増えている。

昨今、電子的に保管されたデータについては、運営指導の際、PCやタブレット上で直接確認されるのが一般的となっている。このため、必要な書類を迅速に検索・表示できるシステムの構築、適切なバックアップ体制の確保、セキュリティ対策の実施状況なども評価対象となり、電子署名や承認フローの適正性、データの改ざん防止措置についても詳細な確認が行われる。

このほか、人員基準の順守状況については、常勤換算法による人員配置の適正性、兼務職員の勤務実態、管理者要件の充足状況などが、従来以上に厳格にチェックされている。サービス提供責任者や生活相談員などの専門職の配置についても、資格要件や実務経験の確認が徹底されている。

最後に、事前提出書類である自己点検シートについて触れておきたい。サービスごとに100ページ近いボリュームがあるため、書類の内容を理解して記載するだけで膨大な時間を要する。現在の運営指導は、2時間程度で終了する「半日型」が主流だが、自己点検シートによる書面指導に加えて、対面での現地指導も行われるため、実際は「一日型」と変わりはないと認識しておく必要がある。

居宅介護支援における重点指導項目

居宅介護支援においては、ケアマネジメントプロセス、給付管理の適正性、BCPや虐待防止措置について、これまで以上に詳細な確認が行われるようになった。

まず居宅サービス計画書については、作成プロセスが厳格に審査される。具体的には、利用者の心身の状況や生活環境を踏まえた適切なアセスメントの実施、サービス担当者会議の開催状況と記録の整備、そしてモニタリングの実施頻度と内容の妥当性が問われる。

特にAIやICTを活用してケアマネジメント業務の効率化を図っている事業所の場合、それが適切な根拠に基づいて行われているか、さらには利用者の個別性を損なっていないかという点に注目してほしい。

先ほども触れたが、居宅サービス計画書や各種記録が電子的に保管されている場合、必要な書類を迅速に検索・表示できるシステムの構築やデータの整理・分類状況も評価の対象となる。デジタル化の推進は生産性向上につながる半面、画一的な対応に陥るリスクもあり、運営指導においては、このバランスが重要視されているのである。

特定事業所加算を算定している事業所では、主任ケアマネジャーの配置状況、研修計画の実効性、他職種との連携体制の構築状況などが詳細に確認される。特に、医療との連携や地域包括ケアシステムにおける自事業所の役割について、具体的な取り組み内容と成果の提示が求められるケースが増加している。

また給付管理については、サービス利用票・提供票の作成精度、請求事務の適正性、利用者負担額の計算根拠などが精査され、算定誤りによる過誤調整が多発する事業所では、チェック体制の強化を指導される傾向にある。

運営指導に適切に対応するためには、日常的な記録の整備と定期的な自己点検が不可欠である。特に電子データの管理においては、ファイル名の統一やフォルダ構成の整理、検索タグの設定などを事前に行い、運営指導に備えておくことが重要である。

また、各種加算の算定要件については、法令順守の観点から常に最新の解釈通知を確認し、疑義がある場合は、積極的に行政に照会しておきたい。

運営指導の増加は、事業運営の適正化を図る機会でもある。より質の高いサービス提供体制を構築するためにも、指導結果を真摯に受け止め、組織全体で改善に取り組むことが重要である。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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