“ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題“ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題

“ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題

受験のきっかけは「ケアマネ取ってから言え!」 新人ケアマネ回顧録

厚生労働省ではなく、「幸生老道笑(こうせいろうどうしょう)」(幸せに生きる老いの道は笑いにあり!)を座右の銘にしている、“ケアマネ芸人”ことノン老いる小林です!

全国のケアマネジャーの皆さん、今日も連絡・調整、本当にお疲れ様です!

10月になりました。10月と言えば…そう!ケアマネ試験の月ですね。

ということで今回は、昔を思い出して、ノン老いるの受験時の思い出、新人の頃の失敗談、ケアマネを始めて再認識したことなどなど、「新人ケアマネ」をテーマに言いたい放題しちゃいます。

横文字と専門用語に“睡眠学習”の日々

「小林さん!そういうことはケアマネ取ってから言ってくれる!(怒)」

ケアマネ受験のきっかけは、とあるケアマネさんに現場で言われた一言でした。

これを聞いた瞬間、ノン老いるは「くそっ!ケアマネ取ったるぞ~!」と奮起しました。そして、これが人生の岐路になりました。

介護職として数年働き、利用者さんの笑顔に励まされながらも、どこかで「もっと深く関われる道はないか」と模索していた頃の出来事でした。今では、このケアマネさんに感謝しています(笑)。

試験勉強を始めた当初は、「まあ介護経験もあるし、なんとかなるだろう」とタカをくくっていました。

ところが、過去問を開いた瞬間、私の目は点に…。「ICFって何?」「ノーマライゼーション?」。頭に入ってこない横文字と専門用語のオンパレードに寝落ちし、気付けば“睡眠学習”の日々(苦笑)。

試験まで残り1カ月になってからは、毎日、仕事終わりにファミレスにこもり、問題集と格闘しました。赤ペンと赤シートで用語の暗記を試みるも、気が付けば長~いコーヒータイム(ドリンクバー代の元は取ったと思いますが…)。そうこうしているうちに、試験日を迎えました。

当日、会場に向かう電車の中でも参考書を眺め、直前まで悪あがきしましたが、試験が終わった瞬間、暗記したことは全て忘れてしまい、頭の中は空っぽに…。人間は忘れる生き物、便利にできているんです(笑)。

でも、奇跡ってあるんですね!合格発表で自分の番号を見つけた時は、「やったー!」と声を上げて喜びました。

新人ケアマネを待っていた“現実の嵐”

晴れてケアマネとなった私を待っていたのは“現実の嵐”でした。

初めて作ったケアプランは、今振り返ると「作文」のようなものでしたね。訪問看護師さんから、「小林さん、このプランだと、誰が、何を、いつするのか、ちょっと曖昧かもね」と指摘され、平謝りしたことを覚えています。

利用者さん宅で、奥さんと3時間も話し込んでしまい、「そろそろ夕飯の支度をするから、もういいかしら?」と言われたこともありましたね。3時間のうち2時間半は、奥さんの愚痴を聞いていましたが(笑)。

役所に書類を出しに行った際、書類不備で返されたことも一度や二度ではありません。思い出せばキリがないですね(苦笑)。

そんな中でも、初めて1人で訪問した利用者さんとの出会いは、心に強く残っています。

その方は、長年連れ添ったご主人を亡くされたばかりで、孤独と闘っていました。涙ながらに語るその方を前に、ノン老いるは返す言葉もなく、ただうなづくことしかできませんでした。

あの日の沈黙と涙は、新人ケアマネのノン老いるに「寄り添うこと」の意味を教えてくれました。答えを用意するよりも、「共に感じる」ことの方が、時には大切なのだ、と。

現場では一人ひとり事情が違います。独居で寂しさを抱える方、家族に頼れず苦しむ方、介護されることに強い抵抗感を持つ方…。同じ状況は一つとしてありません。その都度、「どうしたらこの人の人生に寄り添えるのだろう」と考えるようになりました。ケアマネ試験のように、正解は一つじゃないんです。

ケアマネになって再認識したのは、「介護は人と人とのつながりで成り立っている」という当たり前のことでした。

利用者さんだけでなく、その家族、訪問介護のスタッフ、看護師、リハビリ専門職、包括…。ケアマネには、オーケストラの指揮者のように、全体を見渡す役割が求められます。

担当者会議でこんな経験があります。

家族同士の思いがぶつかり合い、張りつめた空気の中、利用者さんが小声でつぶやきました。「私はただここに(自宅に)いたいだけなのに…」と。

制度やプランよりも、目の前の人の「本音」に耳を傾けることが、ケアマネの仕事の原点にあると気づかされた瞬間でした。

ケアマネの本質は「寄り添い探し」

新人の頃の自分に伝えたい言葉は、「未熟であることは恥ではない」です。未熟だからこそ、人の痛みや迷いに気づける。新人時代の冷や汗や涙は、決して無駄ではなく、全てが糧となって今につながっているのだと思います。

ケアマネという仕事は、決して華やかではありません。むしろ地味で、時に孤独で、答えの見えない作業の連続です。制度は年々複雑になり、書類は山積み、時間に追われる日々…。それでも、この仕事を続けてこられたのは、利用者さんの人生に触れるたびに、自分自身も人として成長させてもらえたからです。

新人の頃に出会った人たちは、迷いながらも必死に寄り添おうとした自分を受け止めてくださいました。その方々の存在があったからこそ、ノン老いるはケアマネとしての歩みを続けてこられたのだと思います。

「寄り添い探し」こそが、ケアマネの本質ではないでしょうか。新人時代に感じた不安も失敗も涙も、全てが今のノン老いるを支える宝物です。

あの日踏み出した“一歩”が、今の自分を形作っている、そう思うと、これからの“一歩”もまた、きっと誰かの支えになると思えるのです。

ノン老いるはこれからも、利用者さんの人生に少しでも寄り添えるケアマネでありたいと思います。新人時代の失敗を胸に刻みながら。

PS 最近ありがたいことに、研修や講演のご相談などを受けることがあります。何かありましたら、「ノン老いる小林」のFacebookやXのダイレクトメッセージで、お気軽にご連絡くださいね。お待ちしています!

ノン老いる小林
1964年静岡市生まれ。大学卒業後、高校の英語教師として働いていたが、40歳という人生の節目を間近に控えた38歳の時、介護保険制度の創設を好機と捉えて転職。その後、介護施設を中心に経営支援などを行う。2013年にケアマネジャー、19年に主任ケアマネジャー取得。現在、静岡市内で居宅介護支援事業所「ケアプランはるな」を運営する株式会社はるな代表取締役。介護技能実習評価試験評価者のほか、セーフティマネジメントなど介護研修の講師も務めている。東京演芸協会理事。出演情報は同協会のホームページ

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