「ハラスメントは業界の構造的問題」の意識で対応を!―ケアマネ覆面座談会・後編


2019/04/08 13:00 配信   | 業界ニュース

現場のケアマネは、どんなハラスメントに苦しんでいるのか。そして、解決にはどんな工夫が必要なのか―。前回に引き続き、関東地方で働く現役のケアマネ3人に、お話を聞いた。

【前回の記事】
弱い立場の居宅介護支援、事業所への嫌がらせも―ケアマネ覆面座談会・上―ケアマネ覆面座談会・上

ケアマネA:50歳代女性、関東地方の都市圏の自治体で活躍中
ケアマネB:30歳代男性、関東地方の都市圏の自治体で活躍中
ケアマネC:50歳代女性、関東地方の郡部の自治体で活躍中

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ケアマネのハラスメントをめぐる実態は?

■ご利用者からのセクハラを防ぐには?
―アンケートでは、ご利用者からのセクハラなどを指摘する意見もありました。皆さんはどうですか。

A:ヘルパーにセクハラをする人はいましたが、私には、ほとんどなかったですね。

C:そうですよね。ケアマネは、ご利用者からセクハラをあまり受けないように思います。あえて思い出すなら、同居の息子から体を変に触られることはありました。その時は施設長を連れて何度か同行訪問してもらい、解決しました。




B:同僚の女性に対して性的な話題ばかり持ち出すご利用者がいたので、私が担当を替わったということはありました。私が行ったとたんにそうした話題は出なくなりました。

―実際、アンケートでもセクハラを訴える声は少なかったですね。ただ、少ないとはいえ、被害を訴えたケアマネもいました。そうした人と向き合う時の自己防衛は、どのようになさっているのですか。

A:“オーラ”を出します(笑)

C:そう、触らせないような“オーラ”を出す。心の中で「触ってごらん、ただじゃおかないよ!」って思いながら。セクハラの被害に遭ってしまう人は、ちょっとおとなしい人が多いように思います。だから私は、一緒に仕事しているヘルパーさんがセクハラを受けている場合は、「次やったら私は来ないよ」「ケアマネに言うよ」など、きちんと警告するようアドバイスしています。

■「土下座要求」「事業所破壊」…
―暴言や暴力、脅迫といったハラスメントに遭ったことはありますか?

C:一度だけありました。ご利用者の息子さんでしたが、思い通りケアプランが組めないことにいら立ち、「出るとこ出てもいいぞ!裁判でもいい」と脅迫めいた物言いをされました。

A:私もモンスター化したご家族と向き合ったことはありましたが、そうした方は行政側にも情報が伝わっているので、行政側との連携で何とかなります。もっとも、思わぬことで警察沙汰になったこともありました。

一同:警察沙汰?

A:ご利用者が事業所で大暴れし、メチャクチャにしてしまったんです!普段はご利用者を事業所内に上げることはないのですが、その日は、雪が降っていたので、やむを得ず事業所に入ってもらったら、そんなことに…。

B:私の場合、介護保険制度を曲解し、自分の思う通りのケアプランを作らせようとして暴言を吐くご家族はいましたね。制度の趣旨を説明しようとすると「そんな国に洗脳されたような言葉は聞きたくない!」「お前の解釈がおかしい」とおっしゃる。

それから別の件ですが、ご利用者が逆上し、私に土下座を要求したことはありました。この件は、行政が間に入って何とかなりました。




―土下座を要求されるとか、事業所をメチャクチャにされるとか…。皆さん、すさまじい状況に対応されているのですね。そんな事態に陥った時、皆さんはどんな心構えで臨み、対応されているのですか。

C:土下座はいくら要求されてもやらない。それが鉄則ですね。

A・B:そして部下にも、やらせない。

A:あと「すいません」というのが口癖の人には、直すように言っています。言葉尻を捉えて、「ケアマネが謝った」と思われると、ますます問題がこじれることもあるので。

■「金を払っているのは、こっちだ!」と怒る役人
―アンケートでは行政関係者からハラスメントを受けたという声も寄せられました。

C:確かに、ケアマネから制度に関する指摘を受けると、むっとして暴言を吐く役所職員はいましたね。例えば、あまりにおかしな認定調査について問題点を指摘したら、「認定調査に行っている人は、お前より年上だ。年上の言うことは敬いなさい!黙れ!」と、わけのわかんない怒られ方をしたこともありました。

それから、ちょっとした議論になった挙句に、「いい加減にしてくれ、あんたらに金を払っているのはこっちなんだ!」と捨てゼリフを吐いた役所職員もいたなあ。

一同:「その金、だれが払った税金と保険料だ!」って、突っ込みたくなりますね!

C:私の事業所があるのは小さな自治体なので、行政の上層部の多くはコネ入職の身内ばかり。だから、その身内に関係する人がご利用者になると、おかしなことが起こります。例えば、保険制度の対象外のサービスを生活援助に含めようとするとか。それに対して正論で反論すると、さっき言ったような言葉が返ってくるのです。

A:ずいぶんとひどい話ですね…。幸い、うちはないです。むしろ、行政とは親和的です。

B:うちもそうですね。担当者によって解釈が違って困ることがあるくらいです。ただ、同じ法人やグループに居宅介護支援事業所を抱えている地域包括支援センターだと、対応しやすいご利用者はグループ内の居宅にまわし、それ以外を外部の居宅に回すということがあるように思います。

A・C:ああ、あるある。

■「法人の理解もなく相談相手もいない。そしてケアマネは孤立する」
―調査ではハラスメントを受けたケアマネの4割は具体的なアクションを起こさなかったという結果が出ました。なぜ、ハラスメントを受けたケアマネは、アクションを起こさないのでしょうか。

A:まず、行政がらみのハラスメントだと、「しょせん、どうにもならない」と思ってしまうのでしょう。

B:そもそもハラスメントを受けた場合、相談する相手がいない人も多いのでは?

C:そうですね。小さな事業所では特にそうでしょう。

B:大きな法人に所属していても、その管理者や役員が介護に理解が乏しければ、小さな法人と状況は変わりません。

―相談する相手もない、場所もない。法人の理解も行政の理解もない…

A:そしてケアマネは孤立するしかない(苦笑)。

B・C:つくづく、自分がかわいそうになってきました。




■「職能団体も、もっと頑張って!」
―ケアマネは介護保険制度の要です。そのケアマネが孤立し、ハラスメントに苦しんでいるのは、やはり大問題と思います。この状況は、どうやって解決すればいいのでしょうか。

C:まずは、職能団体がもう少し頑張ってほしいですね。国の方ばかり向いている職能団体が、もうちょっと現場のためにがんばってくれれば、違ってくるはずです。

A:現場関係者の間で「ハラスメントを受けるのは個人の問題」という意識が強過ぎるのも問題でしょう。地域の連絡会でも医療連携などはテーマになるのですが、ハラスメントは、まず取り上げられません。

ケアマネ1人ひとりが、ハラスメントは個人の問題ではなくて、業界の構造的な問題なのだと考え、みんなで解決を目指すこと。それが必要でしょう。

B:連絡会に弁護士さんを呼んで、対応策を考える必要もあるでしょう。個々人の努力だけでなんとかするのは、やはり無理があります。


ケアマネジャーのための専門サイト
【ケアマネジメントオンライン編集部 ただ正芳】

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