高齢者の冬の肌とかぶれ対策

なぜ「かぶれ」は起こるの?

下着や靴下のゴムの締め付け部分がかゆい……、あるいは腰や肩に貼った貼付剤の跡が赤くなってかゆい……。こんな思いをされているご利用者さんは、多いのではないでしょうか。 高齢者には、コルセットやサポーターを使用している方も多く、常に同じ場所を強く圧迫することで、皮膚に強い摩擦が生じ、その跡がくっきりと赤く盛り上がってしまう方もよく見受けられます。
小さな虫刺されでもかゆくてたまらないのに、かゆみの範囲が広かったり、手のとどかない部分がかゆくなったりすると、いてもたってもいられなくなるものです。

なぜ「かぶれ」は起こるの?

こうした肌のかぶれ(湿疹性の炎症反応)の原因には、外からの刺激によって起こるかぶれ(接触性皮膚炎)と、内面的な因子(内因性)が原因で起こるものがあります。
外からの刺激で起こるかぶれには、繊維や金属、化学物質などのほか、日光や乾燥、寒さ・暑さなどが原因となることもあります。空気が乾燥する冬季シーズンには、特に高齢者の肌の状態は乾燥し、刺激に弱くなるため、注意が必要です。
内面的な要因では、アレルギー体質、内臓疾患などが原因でかぶれが起こることがあります。また、「もともとアレルギー体質(内因性)なので、いろんなものにかぶれる(外因性)」と、両方の因子が原因の場合もあります。

かぶれ(接触性皮膚炎)はなぜこわい?

外からの刺激によって起こるかぶれは、「接触性皮膚炎」といい、基本的には物質が触れた部分に限定され、かゆみやヒリヒリ感を伴う発赤、発疹、丘疹(きゅうしん=皮膚が丘のようにわずかに盛り上がること)、水疱などの症状があらわれます。

かゆみがあると、ついかきむしってしまい、かくことが刺激になってさらにかゆくなるという悪循環に陥ります。 また、深夜や早朝など、半覚醒状態のときに、本人も無意識のうちにかきむしっていることがあり、いつのまにかかき壊して傷やかさぶたになっていることがあります。 傷ができてしまうと、そこから細菌などが進入し感染症を引き起こしたり、部位によっては褥瘡(床ずれ)につながることもあるので、寝たきりなど、重度の要介護状態の方には十分な観察と管理が必要です。

入浴介助や着替えを手伝うヘルパーさんは、褥瘡だけでなく、肌のかぶれにも常に注意を払い、発赤やかき壊した傷などを発見したら、まずはご家族へ、そしてケアマネジャーやサービス提供責任者へも速やかに伝えましょう。
ご家族が発見した場合、訪問看護サービスを利用しているなら訪問看護師に、それ以外の場合はかかりつけ医に相談するか、最寄りの皮膚科を受診しましょう。

かぶれを予防するには?

かぶれを予防するには、まずは原因物質を特定し、それらが皮膚に直接触れないようにすることが大切です。
コルセットやサポーターによる圧迫が原因の場合は、一カ所だけに圧がかからないようにする、緩める時間を多くするなどを試してみましょう。貼付剤やパッチ剤でかぶれた場合は、貼る場所を変えてみて、それでもかぶれるようなら、同様の効果・効能で、他の形態(塗り薬、飲み薬など)はないかどうか医療機関に相談しましょう。

下着など、直接身につけることが前提のものに関しては、新しいものは界面活性剤を含まない洗濯石けん(合成洗剤でないもの)で一度洗濯をし、糊などの化学成分を落としてから着用する、化繊を含まないものに変えるなどの工夫をしましょう。 ゴムなどの締め付けが強い場合は、細ゴムを平ゴムにするなどして、接触する面積を狭くする工夫をしましょう。
そのほか、アレルギー性の場合は、医療機関で血液検査やパッチテスト(推測される原因物質を皮膚に載せて密封し48時間観察する)で、アレルゲンを特定できるので、確実に原因物質を排除することができます。

かぶれない肌への一歩は「清潔な肌を保つ」こと

かぶれを防ぐためには、常に肌を清潔に保つことも大切です。汚れた肌は雑菌などが繁殖しやすく、かき傷などができれば、あっという間に化膿してしまうからです。
清潔を保つには、入浴が一番です。脱衣場が寒い、着替えが大変などの理由から、冬季の入浴をいやがる高齢者は多いですが、かぶれやかゆみのない肌を保つためにも、冬こそしっかり入浴し、余分な皮脂や汚れを落とすようにしましょう。

入浴の際には、刺激の少ない保湿剤入りの入浴剤を使用すると、湯上りの肌の乾燥を最小限にすることができます。 また、体を洗うための石けんは、低刺激の弱酸性石けんを選び、よく泡立てて泡でやさしく包み込むようにして洗いましょう。
万一、かき傷などができている場合は、そこはぬるま湯でさっと洗うだけにとどめます。

かぶれない肌への一歩は「清潔な肌を保つ」こと

貼付剤、パッチ剤を使っている場合は、はがした直後の入浴だと、お湯が刺激になってかゆくなることがあるため、入浴30分前にはがしておきます。 そして入浴後は十分に水分をふき取り、肌表面が乾燥したことを確認してから貼るようにしましょう。

とくに乾燥しがちなこれからの季節は、肌の乾燥を防ぐために保湿クリーム等を利用してもよいでしょう。 肌の清潔を保ってもなお、かゆみがとれない場合は、炎症を抑えかゆみを鎮める市販の塗り薬を使用してもよいですが、基礎疾患によっては使えないものもあるため、心配な場合はかかりつけ医に相談しましょう。 市販薬を使って1~2週間たってもかぶれの症状が治まらない場合は、かかりつけ医、あるいは皮膚科を受診しましょう。

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【流行前に万全の備えを】高齢者のためのインフルエンザ予防対策

インフルエンザとは

インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3型がありますが、流行的な広がりを見せるのはA型とB型で、潜伏期間は1~3日間程度です。急激に発症し、症状は風邪と似ていますが、全く異なるものです。
高齢者や、呼吸器、循環器等に慢性疾患を持つ人、糖尿病などの代謝疾患、免疫機能が低下している方では、原疾患にも悪影響を与え、呼吸器に二次的な細菌感染症を起こしやすくなります。 インフルエンザで亡くなるのは、こうした「二次的感染症」や「肺炎の悪化」が原因となることが多いので、素人判断は禁物です。

インフルエンザの正体と症状

インフルエンザと風邪の違い

  インフルエンザ 風邪
初期症状 発熱・悪寒・頭痛 上気道(鼻・咽頭など)症状、くしゃみ、鼻汁
発病 急激に発症 ゆっくり
発熱 38~40℃の高熱 ないか37~38℃程度
全身症状(筋肉痛、関節痛、全身倦怠感など) 強い ほとんどない

インフルエンザを予防するための5ヵ条(厚生労働省推奨)

1)流行前のワクチン接種

ワクチンを摂取しても、その年の流行が別の型のウイルスだったということも、まれにあります。しかし、インフルエンザワクチンは、かかった場合の重症化防止に有効と報告されており、わが国でもワクチン接種をする方が増加しています。

2)外出後のうがい・手洗い

外出後の手洗い、うがいは一般的な感染症の予防のためにもおすすめします。とくに手洗いは手指など体に付着したインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに限らず感染予防の基本です。

3)適度な湿度の保持

空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下します。特に乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
十分な加湿ができない場合は、不織布製マスクを着用し、気道の乾燥を防ぎます。マスクは就寝時や外出時にも有効です。

インフルエンザを予防するための5ヵ条

4)十分な休養とバランスのとれた栄養摂取

体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。

5)人混みや繁華街への外出を控える

インフルエンザが流行してきたら、特にご高齢の方や基礎疾患のある方、疲労気味、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。 やむを得ず外出する場合には、飛沫などを防ぐことができる不織布製マスクを着用し、人混みに入る時間は極力短時間にしましょう。

インフルエンザの予防接種

予防接種法により、市町村は下記の対象者にインフルエンザの予防接種を行わなくてはいけないと決められています。

<対象者>
(1)65歳以上の者
(2)60歳以上65歳未満であって、心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能又はヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害を有するものとして厚生労働省令で定めるもの。

<費用補助など>
予防接種を受けるかどうかは本人の意思次第ですが、上記対象者は接種費用が市区町村による公費負担されている場合がほとんどです。
接種期間や費用などは、お住まいの市区町村の保健センターやかかりつけ医に問い合わせましょう。

それでも感染したら

予防接種をしていても、その年流行する型と異なるなどで、インフルエンザに感染してしまうことはあります。39度前後の高熱や特徴的な症状が出た場合には、早めに最寄りの医療機関を受診しましょう。受診時は他の患者さんへの感染を防ぐために事前に連絡し、込み合わない時間帯の受診を予約するとよいでしょう。もちろんマスク着用は必須です。
インフルエンザに感染しているかどうかは、鼻腔粘膜を綿棒でこすり、検査キットで判定します。結果は15分程度で判明し、陽性の場合は薬が処方されます。

抗インフルエンザ薬について

抗インフルエンザウイルス薬には、イナビル、タミフル、ラピアクタ、リレンザなどがあり、発症から48時間以内に服用を開始しないと十分な効果が期待できません。 通常5日分処方され、効果ある場合には通常服用2日までに80%の方が解熱しますが、解熱した後もインフルエンザウイルスは排出され続けているため、たとえ熱が下がっても薬は最後まで服用しましょう。

また、抗生物質などの抗菌薬は通常、インフルエンザウイルスには効きませんが、高齢者や体の弱っている人などは、インフルエンザにかかることにより、ほかの細菌にも感染しやすくなっています。このため、細菌にもウイルスにも感染する(混合感染)ことによって起こる肺炎、気管支炎などの合併症に対する治療として、抗菌薬等が使用されることがあります。

体温チェックで観察を

高齢者は自ら症状を訴えないことも多いため、インフルエンザが流行する時期は、こまめに体温を測るようにご家族やヘルパーさんに伝えておくとよいでしょう。そして、「予防5ヵ条」をよく守り、感染が疑われたら、即、受診をすすめましょう。

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