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新人ケアマネも必読!実地指導入門新人ケアマネも必読!実地指導入門

新人ケアマネも必読!実地指導入門

今さら聞けない…そもそも実地指導って何?

「実地指導」という言葉は知っていても、その目的や意義、背景を含めて理解していますか?「指導」と「監査」の違いは大丈夫でしょうか?今回は、実地指導を基礎の基礎から解説します。

1. 行政処分、近年は年200件超え

2000年に介護保険法が施行されて以降、介護事業所・施設の行政処分の件数は年々増えており、近年では、指定取り消しと効力停止処分の件数が年間200件を超えています。

効力停止処分は、3カ月間から6カ月間の業務停止が多いようです。指定取り消しと同様、業務停止期間中は介護保険を使ったサービスを提供することはできません。

行政処分の内容は一般に公表されるため、地域住民の知るところとなり、事業所や施設だけでなく、その経営者の社会的な信用も大きく傷つきます。ちなみに、2016年度に行政処分を受けた244事業所・施設をサービス別で見ると、「訪問介護」が84件で最も多く、次いで「居宅介護支援」(38件)、「通所介護」(34件)などとなっています。

2. 指定取り消しが最大の経営リスク

介護サービス事業を営む上で最も大きな経営リスクは、指定の取り消しです。指定が取り消されると、介護保険を利用したサービスを提供できなくなる上、処分を受けた会社の役員は5年間、介護保険サービスを営む他の会社の役員や責任者などにも就くことができません。

複数の拠点がある事業者には連座制が適用され、指定が取り消される事業所や施設だけでなく、会社全体に処分が及びます。利用者のみならず、職員のためにも、行政処分を受けるような経営上のミスは決して犯してはならないのです。

3.「指導」には4タイプある

ひと言で「指導」と言っても、実はさまざまな形で実施されています。

毎年行われる集団指導は、「指導」という言葉は付いているものの、実際は、役所主催の行政制度の説明会的な位置付けに過ぎず、実地指導とは随分性質が異なります。

一般的な実地指導は、実施日の1カ月から2週間前に事前通知があり、その後、行政の担当者が訪問する形で行われます。通常は一日がかりですが、事業所や施設の規模によっては、半日程度で済むこともあります。

実地指導は、必ず複数の担当者によって行われ、事業所や施設の規模に応じて、担当者の人数も増えます。小規模事業所の場合は2人、大規模事業所や介護施設では4~8人というケースが一般的なようです。

大きな不正が発覚したり、法令違反などが疑われたりする場合は、「特別指導」の対象となります。特別指導は、実地指導後も長期間改善が見られないなど、問題のある事業所や施設に対して、重点的あるいは継続的に行われるものです。

一方、小規模事業所の場合は、「書面指導」が実施されます。書類上で問題がなければ、実地指導は省略もしくは延期されますが、何か問題が発生すると、実地指導に移行します。

実地指導は、5~6年の間隔で行われることが多いようです。介護事業の許認可の指定期間が6年であるため、更新前に実地指導を行い、問題のない状態で更新したいという役所側の意向が働いているものと思われます。

近年は、事業所の数が急増しているため、更新の前後1年間に実地指導が行われるケースも増えているようです。新規の事業所の場合、事業所番号の交付から1年前後に、最初の実地指導が行われるのが一般的です。開業から間もないうちに、事業所の運営状況を確認しておき、以降の適正な運営につなげることが狙いでしょう。

5. 虐待疑いは「無通知指導」も

実地指導に当たり、行政側は、事業所や施設にあらかじめ文書で通知することが原則となっており、通常は、実施する1カ月ほど前に事前通知書が送られます。

しかし、2016年4月から、虐待の疑いがある場合の事前通知が不要となりました。これは「無通知指導」と呼ばれ、今年に入ってから、実施を公言する自治体も出てきました。無通知指導を受けた当事者の話を聞くこともあるので、日頃の準備が欠かせません。

6. 「指導」と「監査」はどう違う?

「来月、監査がある」「監査は●年前に入った」など、指導と監査を混同されている方がいますが、この2つは全くの別物です。

「実地指導」は名前の通り、指導が目的であるのに対し、「監査」は、実地指導や苦情、告発などで得た情報が、重大な指定基準違反である疑いが強い場合に行われます。介護保険法上、行政機関には「立ち入り」の権限が認められており、超過定員など、違法の実態を確実に把握する必要がある時は、立ち入検査が行われます。その結果、違反が確定した場合にのみ行政処分が下されるのです。

7. 行政処分は5種類ある

行政処分は、「報告等」「改善勧告」「改善命令」「指定の効力の全部又は一部停止」「指定の取り消し」の順に重くなります。

最も軽度な「報告等」は、事業者に一定程度の改善の必要がある場合、文書による改善報告を求めるものです。一方、「改善勧告」は、実地指導などで指定基準違反の事実が判明した場合に、違反対象となった指定基準を明示した上で、適切かつ妥当な期限を設けて改善を求めます。それでも是正されない場合は、期限内の厳格な改善を要求する「改善命令」が出ます。

「指定の効力の全部又は一部停止」は、一般的に「業務停止処分」と呼ばれ、居宅介護支援の場合、不適切なケアプランを作成しているケアマネジャーに限定して、指定の効力を停止することもできます。

最も重い「指定の取り消し」は、改善命令や業務停止処分の後も問題が是正されない場合や、改善の余地のない著しい不正があり、引き続き指定を行うことが不適切と判断された場合などに行われます。

8. 実地指導は「取り締まり」ではない

警察署や税務署などは、「署」という漢字が使われています。この漢字を用いる組織は、一般的に何かを取り締まることが仕事ですが、実地指導は、都道府県や市区町村の管轄なので、「署」という文字は入っていません。実地指導はあくまで「指導」であり、「取り締まり」ではないからです。

「指導」の目的は、事業者が法令を理解、遵守した運営を行っているかどうか、行政側が直接確かめ、誤っている場合はそれを正すことです。例えば、介護報酬の算定に誤りがあった場合、事業者は過誤申請を出し、それを是正する必要がありますが、これは役所から返還を求められたのではなく、あくまで事業者の自主返還です。

もし、これが監査に発展すると、役所から返還請求が行われ、最大40%の罰金が上乗せされます。このことからも、実地指導は「取り締まり」とは異なる意味合いを持つことが分かるでしょう。

実地指導の対策は、法令を理解し、遵守することに尽きます。すべての介護事業者は許認可の際、法令遵守の決意を示す誓約書を提出しています。法令を理解することは、介護保険サービス事業を行う上での責務なのです。

※グラフの出展:2018年3月6日開催の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」の資料

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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