ケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンラインケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンライン

新人ケアマネも必読!実地指導入門新人ケアマネも必読!実地指導入門

新人ケアマネも必読!実地指導入門

居宅の介護報酬返還、何が問題だったのか

居宅介護支援で実地指導が多い項目としては、▽担当者介護の欠席者への照会と記録の漏れ▽医療系サービスにおける指示書等の不備▽守秘義務違反に対する措置▽同意日の不整合と控えの交付遅れ・未交付▽モニタリング記録の不備―の主に5つが挙げられます。順番にポイントを見ていきましょう。

1.担当者介護の欠席者への照会と記録の漏れ

サービス担当者介護に出席予定だった人が、やむを得ない理由で欠席した場合、ケアマネジャーは欠席届を提出してもらうとともに、ケアプランの原案に対して、別の機会に意見を求める必要があります。第4表には、担当者の欠席理由とともに、その後の照会内容も記載しなければなりませんが、実は、この照会と記録の漏れに関する指摘が多いのです。

厚生労働省の通知では、ケアプランの変更が「軽微な変更」に該当する場合、サービス担当者会議の開催を省略できることになっています。この「軽微な変更」の解釈を誤り、サービス担当者会議を開催していなかったなどの事例も後を絶ちません。

「軽微な変更」の解釈は、いわゆる“ローカルルール”が多いのが特徴です。特に、「特定事業所加算」を算定している事業所が運営基準減算の対象になると、全額返還となります。「迷ったら開催する」という判断が大切です。

2. 医療系サービスにおける指示書等の不備

ケアプランに医療系サービス(訪問看護など)を位置づける場合、主治医に意見・指示を求めなければなりませんが、主治医の指示書や意見書を取得していないなどの不備も数多く指摘されています。2018年度以降、意見・指示を求めた主治医に対して、ケアプランの控えを交付することが義務化されているので、この点も注意が必要です。

3. 守秘義務違反に対する措置

個人情報の利用に関する同意書を作成していなかったり、家族の同意を得ていなかったり、守秘義務違反に関する指導も後を絶ちません。家族が同居している場合などは、サービス担当者会議で家族の情報も共有するため、必ず同意を得ておく必要があります。また、個人情報が記載されているファイルなどは、鍵の掛かるロッカーなどに保管しましょう。マイナンバーに関する書類を預かった場合、金庫に保管するなどの配慮も必要です。

4. 同意日の不整合と控えの交付遅れ・未交付

ケアプランの作成に当たり、ケアマネジャーは事前にアセスメントを実施し、その記録としてアセスメントシートを作成します。そして、その結果に基づいたケアプランを作成した上で、利用者本人に説明して同意を得る必要があります。ところが、アセスメントの実施日とケアプランの同意日が逆転しているケースなど、順番が異なるとの指摘も多いようです。

利用者から同意を得た後は、ケアプランに位置づけた介護サービス事業者と利用者本人に対して、速やかにケアプランの控えを交付しなければならず、これを行わない場合は、運営基準減算の対象となります。利用者に控えが交付されていない事例のみならず、事業者への交付が遅れているとの指摘も増えています。

5. モニタリング記録の不備

「月1回のモニタリング訪問が行われていない」「モニタリングシートが作成されていない」―。こうした日常業務の遅れの指摘も、指導ではよくあることです。

利用者の状態が安定している場合、訪問時に変化の無い状況が何カ月も続くと、忙しさも相まってモニタリング記録の作成が後回しになってしまいます。業務がたまってくると、ポカやミスも起こりやすくなり、未作成になりがちなので、ぜひ注意してください。

6. 指導が多いその他の項目

端数処理等の計算誤りで「特定事業所集中減算」の対象になるなど、請求業務に関連した介護報酬の返還も増えています。請求後1年以上経ってから、役所からの問い合わせで判明することが多いようです。

介護報酬の給付管理を行う国保連合会のコンピューターでは、さまざまなデータ解析が行われ、「特定事業所集中減算」に該当するかどうかも、ここでチェックされています。減算対象なのに減算されていなかったなど、不適合なデータが毎月のように役所に報告されているのです。「返戻にならなかった」と安心していたところに役所から問い合せがあり、多額の介護報酬を返還することになったという話もよく耳にします。

■行政処分としての指定取り消しの事例

それでは、介護報酬の返還指導や注意で終わらなかった事例をいくつか見てみましょう。すなわち、行政処分で最も重い、指定取り消しに至ったケースです。

【事例1】有限会社H(居宅介護支援事業所)

不正請求額 1113万8500円(2010年4月~2015年3月)

<行政処分の理由>

  1. ケアプランを作成していないにもかかわらず、不正に介護報酬を請求、受領したことがあった。
  2. ケアプランを作成していても、利用者の居宅訪問・面接やサービス担当者会議の開催などを行っていない場合は運営基準違反となり、自ら介護報酬を減算請求すべきだが、これを知りながら減算せず不正に請求、受領した。
<不正のポイント>
この事業所は、いわゆる“一人ケアマネ事業所”です。それにもかかわらず、返還請求額が1113万円と非常に高い。ここがポイントです。
通常、事業所への請求権は2年間有効ですが、行政の場合は5年間、すなわち60カ月となります。月20万円程度の不正請求でも、1年では240万円、5年さかのぼると、返還額は1千万円を超えてしまいます。
ケアプランを作成せずに介護報酬を請求すると、不正請求に当たります。月1回のモニタリング訪問の未実施、サービス担当者会議の未開催は、いずれも運営基準減算の対象です。
介護報酬が算定できない、または減算になることを知りながら、長期間にわたって介護報酬を満額請求し、その事実を隠すため、実地指導の際に書類を偽装する―。こうした悪質性の高い事例では、指定取り消しになってしまいます。今回のケースでは、ケアマネジャー資格も一緒に取り消されるという、非常に厳しい処分が下されました。
【事例2】居宅介護支援事業所 (訪問介護事業所に併設)

<行政処分の理由>

  1. 併設する訪問介護事業所が、実際には提供していない訪問介護サービスに関する虚偽のサービス提供記録を作成。この際、居宅介護支援事業所は、訪問介護事業所が介護報酬を請求できるよう、さかのぼって訪問介護を位置付けたケアプランを作成し、不正請求に加担した。
  2. ケアマネジャーは、実際に行われていない訪問介護サービスを請求するための給付管理の偽装を手伝った。
<不正のポイント>
このケースでは、実際に行われていない訪問介護サービスを請求するため、ケアマネジャーが給付管理の偽装を手伝っていました。在宅サービスの不正の場合、併設する居宅介護支援事業所が「知らなかった」と言い訳をするのは無理があります。組織的な関与でない限り、サービスのプロセスや記録に整合性を持たせることは難しいからです。経営者側の不正を見逃し、それに加担することは、ケアマネジャー自らの経歴にも傷を付けてしまいます。
小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

スキルアップにつながる!おすすめ記事

このカテゴリの他の記事

新人ケアマネも必読!実地指導入門の記事一覧へ

ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報

介護関連商品・サービスのご案内

ログインしてください

無料会員登録はこちら

ログインできない方

広告掲載・マーケティング支援に
関するお問い合わせ