医療基礎知識
※この記事は 2012年2月1日 に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。
“痛みをとる”治療から、“治す”治療へ 関節リウマチの症状と治療
- 2012/02/01 09:00 配信
- 医療基礎知識
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からだのあちこちの関節に炎症が起こり、関節が痛む病気、「関節リウマチ」。
名前はよく耳にしますし、なんとなく知ってはいるものの、「具体的にどんな病気なの?」と聞かれると意外とわからない人も多いのではないでしょうか。
「リウマチ科」は、診療科名として単独で標榜することが認められています。それだけ患者数が多く、専門的な治療が必要ということ。
そして、痛みがあるだけではなく、病気が進行すると寝たきりにもなってしまう、怖い病気でもあります。
今回は、知らないと怖い関節リウマチについて紹介します。
提供:アボット・ジャパン株式会社、エーザイ株式会社
「関節リウマチ」ってどんな病気?
関節リウマチは、手や足をはじめ、全身の関節で炎症が起こる病気です。発症後、早い段階から関節の破壊が始まり、月日を追うごとに症状が進行する進行性の病気でもあります。
関節リウマチの特徴の一つは、症状が左右対称に生じるということ。
また、関節の炎症以外にも、体重減少や貧血、微熱、間質性肺炎(肺に炎症を起こす病気)、心膜炎(心臓を覆っている心膜に生じる炎症)、皮膚の潰瘍など、全身のさまざまな症状を伴うこともあります。
「関節リウマチ=手足の痛み」と考えている人も多いかもしれません。しかし、実際は痛みだけではありません。十分な治療がなされないと、なんと10年後には半数の患者さんが高度の寝たきりになってしまうといわれていた、怖い病気なのです。
どんな人がなりやすい?女性は男性の4倍以上!
現在、関節リウマチの患者数は70万人~100万人と言われています。
では、どのような人がかかりやすいのでしょうか。
発症時の年齢で最も多いのは、30代~40代。高齢者に多い印象があるかもしれませんが、30代、40代で発症し、その後も治癒することなく続くことが多いため、高齢になればなるほど、患者数も増えていくのです。
男女比は1:4~4.5と、女性の方が4倍以上多いのが特徴です。遺伝や感染する病気ではなく、「親が関節リウマチだったら、その子どももかかりやすい」といったことはありません。
なんで起こるの?免疫が自分を攻撃してしまう?
関節リウマチは自己免疫疾患の一つ。免疫の異常が原因です。
免疫とは、体内に外部から異物が入ってきたときに防御、攻撃する仕組み。ところが、関節リウマチの場合、免疫異常によって、自分自身の組織を異物とみなしてしまい、攻撃してしまうのです。そうすると、関節部分にリンパ球(免疫細胞)が集まってきて、関節の表面を覆っている「滑膜」という膜が厚くなり、関節が腫れます。

資料提供:田中良哉 医師(産業医科大学医学部第1内科学講座教授産業医科大学病院副院長)
発症の早期から、
- ステージ1:関節裂隙の狭小化(軟骨がとけて関節の間が狭くなること)
- ステージ2:骨びらん(表面から骨がとけていくこと)
- ステージ3:亜脱臼(骨と骨の関節面がずれていること)
- ステージ4:強直(関節の稼動域が狭まり、動かしにくくなること)
と、関節破壊が進行していきます。

資料提供:田中良哉 医師(産業医科大学医学部第1内科学講座教授産業医科大学病院副院長)
関節リウマチが怖い理由
さて、ここまでのまとめです。
- 関節リウマチは、進行性の病気です。
- 関節が破壊されるため、予後は不良。50%は10年後に寝たきりになり、平均余命は、10年短くなると言われています。
- 30~40代で多く発症し、その後、病気が進むため、かかる医療費は膨大です。また労働可能時間が少ないことも問題となっています。
- 関節破壊は、発症後、早期に起こります。
- リウマチの専門医にたどりつくまでに症状が進み、すでに就労不能になっていることも多々あります。
そのため、関節リウマチという病気を一般の人にも広く知ってもらい、早期に治療を開始することがとても重要です。
従来の診断方法では診断確定までに2年かかる
関節リウマチの治療は、30年ほど前までは痛みを取り除く治療だけでしたが、治療、診断方法ともに進化しています。
まず、早期診断・早期治療を可能とするために、診断基準の見直しが行われました。
従来の関節リウマチの分類基準は下記の通り。
- 朝のこわばりが1時間以上続く
- 3か所以上の関節で同時に腫れ、あるいは関節液の貯留が確認される(6週間以上)
- 手・指の関節の1ヵ所以上に腫れがある(6週間以上)
- 左右の同じ関節が同時に炎症を起こしている(6週間以上)
- ひじや膝、アキレス腱、後頭部などの皮下にしこりができる(=「リウマトイド結節」)
- 「血清リウマトイド因子」が異常に高い
- X線で、関節リウマチの典型的な所見が認められる
……これらのうち、4つ以上当てはまった場合、関節リウマチと確定されます。
ところが、この分類基準をもとに診断を行った場合、80%の患者さんが関節リウマチと診断されるまでに2年かかり、全例が基準を満たすまでには5年かかるということがわかってきました。
それでは遅すぎる、ということで、新しい分類基準が用いられるようになってきています。
早期発見を実現する、新基準
新基準では、次のようなステップで診断を行います。
□1か所以上の関節が腫れている
↓Yes
□ 新基準でスコアリング → Yes 「関節リウマチ」と分類して治療開始
| 腫れ、痛みのある関節の数 | |
|---|---|
| 1個の中~大関節 | 0 |
| 2~10個の中~大関節 | 1 |
| 1~3個の小関節 | 2 |
| 4~10個の小関節 | 3 |
| 11関節以上(1個以上は小関節) | 5 |
| 血清学的検査 | |
| リウマトイド因子、抗CCP抗体も陰性 | 0 |
| リウマトイド因子、抗CCPのいずれかが低値の陽性 | 2 |
| リウマトイド因子、抗CCPのいずれかが高値の陽性 | 3 |
| 骨膜炎の期間 | |
| 6週間未満 | 0 |
| 6週間以上 | 1 |
| 急性期反応 | |
| CRP(C反応性蛋白)もESR(赤血球沈降速度)も正常値 | 0 |
| CRP(C反応性蛋白)かESR(赤血球沈降速度)が異常値 | 1 |
この分類基準でめざしているのは、関節破壊が起こる前にリスクのある患者さんを特定し、適切な治療を開始することです。
治療薬は3種類
関節リウマチの基本は、薬を用いて、痛みなどの症状をコントロールするとともに、病気がそれ以上進行しないように、関節破壊などの構造的変化の抑制、身体機能の正常化を図ること。
関節リウマチの薬には、主に次の3種類があります。
○非ステロイド系抗炎症薬…痛みを止める
○ステロイド薬…痛み、炎症を止める
○抗リウマチ薬…病気そのものを止める、関節破壊を止める
非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド薬の2つは、すでに起こっている症状を緩和するための「対症療法」、抗リウマチ薬は免疫の異常そのものを防ぐための「根本療法」です。 抗リウマチ薬で炎症そのものを抑えながら、それでも生じる腫れや痛みを非ステロイド系抗炎症薬やステロイド薬で和らげるというのが、薬物治療の基本です。
新しい治療薬、生物学的製剤とは?
抗リウマチ薬のなかでも、近年登場し、注目されているのが、「生物学的製剤」です。
生物学的製剤とは、従来の科学的に合成された薬剤ではなく、生物から産生される、自然界にあるタンパク質を利用してつくられた薬剤のこと。標的分子のみと結合し、その活性を抑制するため、炎症を抑える作用が強く、症状が安定するまでのスピードが速い薬として注目されています。
根本療法の進化で、治せる病気に
関節リウマチの原因である免疫異常が起こる理由は、完全には解明されていません。でも、次のようなことを心がけることで、病気の予防、進行の予防に努めることは可能です。
- バランスの取れた食事、ライフスタイルを守る
- ストレスや感染症など、悪化の要因となるものを避ける自己管理を
- 診断、病気の状態、検査結果、治療薬など一つひとつ納得しながら治療を
- 正しい知識を得て、的確な専門医療を受ける
また、治療のゴールは、以前は「痛みを抑えること」でしたが、今は、「寛解(かんかい:病気の症状がほぼなくなり、安定すること)」を達成すること」に変わりました。
関節リウマチにおける寛解のポイントは、
- 臨床的寛解:炎症と自覚症状がなくなること
- 構造的寛解:関節破壊が進行しなくなること
- 機能的寛解:機能障害が進行しなくなること
という3つです。
「関節リウマチは治らない」といわれていましたが、非ステロイド系抗炎症薬やステロイド薬による対症療法は最小限に抑えながら、抗リウマチ薬や生物学的製剤で根本療法を行うことで、「治るかもしれない」病気に変わってきています。
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