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本音で放談、ケアマネ×ドクター本音で放談、ケアマネ×ドクター

本音で放談、ケアマネ×ドクター

認知症には「生活を支える医師」が不可欠【前編】

地域で高齢者の生活を支える上で、最も重要な役割を果たすのが、ケアマネジャーと医師です。ただ、この2職種の連携は、口でいうほど簡単ではありません。新企画「本音で放談、ケアマネ×医師」は、実際に在宅の現場で活躍する医師とケアマネを集め、それぞれの本音をぶつけ合うことで、よりよい連携の姿を探ります。第一回目のテーマは「認知症」。地域で暮らす認知症の人へのサービス提供にはどんな苦労があるのか、そして、医師とケアマネは認知症の人を支えるために、どのように連携すればよいのか―。ケアマネと医師、5人に存分に語ってもらいました。

■今回ご協力いただいた医師
小畑正孝 医師
赤羽在宅クリニック院長。専門は公衆衛生学。

確実とは言い切れない認知症の画像診断

小畑:ケアマネさんが認知症の人を担当する時、特に困ることを教えてください。

40歳代女性ケアマネA(以下A):まず困るのは使っている薬の種類や、これまでどんな病気があって、どんな治療を受けてきたのか、まったく分からない人が多いことですね。なかには認知症の診断を受けないまま症状が進んでしまった人もいます。さらに何年も医療機関にかかっていない人も。そういう人の場合、かつての担当医師を探すことから始めなければならないので、本当に大変です。

50歳代女性ケアマネD(以下D):小畑先生はどうですか。長い間、全く受診していない認知症の人を担当されたりしたことはありますか。

小畑:「認知症があるのはわかるけど、他の病歴がわからない」という人は、私が往診している足立区や北区、川口市では、そんなに珍しくないですね。そして、実は認知症だったということがわかると、家族があわてて「まずは、どんな認知症なのか、最新の検査機器がある病院で診断してもらなきゃ」ということになります。ただ、私は、あんまりお勧めしていません。

ケアマネ一同:なぜですか?

小畑:認知症の種類を確定する上で最も確実な方法は、患者の死後、その脳の組織を調べることです。そして、その結果と画像診断の結果とは、違っていることが結構あります。それだけに、画像診断まで何カ月も待ったり、認知症の疑いのある人を頑張って病院に連れて行ったりする努力に見合う成果が得られるかどうか、疑問を感じるのです。

ケアマネの皆さんもご存じとは思いますが、認知症の診断に連れて行こうとすることが、家族の絆を壊すきっかけになることも結構多い。さらに、診断に行きたくないという思いが高じて、医療や介護のサービスすべてを拒絶する人すらもいます。そうしたリスクに見合うほどの結果が画像診断で必ず得られるか、というと、やはり疑問符を付けざるを得ないのです。

さらにいうと、アルツハイマーはアルツハイマー、レビー小体はレビー小体と、きっちり分かれて発症するわけではありません。混合して発症する場合が多いのです。だから、厳密に分けるのは、実質的には意味がない。

:しかし、介護保険を利用するとき、どうしても主治医意見書が必要です。

小畑:診断は画像のような高度な機械を使わなくてもできます。長谷川式などを使えば。

:すると最初から訪問診療の方がいいわけですか。

小畑:そうですね。それで対応できる例は多いと思います。もちろん、画像診断が必要な場合もありますよ。例えば「治る認知症」として有名な正常圧水頭症の疑いがある場合であれば、画像を使った診断が不可欠です。硬膜下血種の場合も同じです。治る見込みがあるのであれば、最優先で診断し、治した方がいい。

診断が不可欠なのは「治る認知症」の疑いがあるとき

30歳代女性ケアマネC(以下C):治る見込みがある認知症かどうか、見分けるコツってありますか?

小畑:大まかにいえば、極端に進行が速いと治療が可能な場合が多いですね。

:半年前、要支援だった人が、今ではトイレでズボンを下げることもしなくなったんです。ところが、その人は、レビー小体型認知症という診断しかついていません。確かにレビー小体特有の症状はあるのですが、よくよく考えてみれば、それぞれの認知症の症状って、とてもよく似ているじゃないですか。

小畑:そうですね。実際、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症は、全く別と考えている人が多いのですが、実は結構、同時に発症していることもわかりました。

:複数の原因が重なっていることがあるんですか…。ならばまず、画像診断などをフル活用して、より正確な診断を付けていくことが大切なのでは? 画像診断の精度に疑問があるにしても。

小畑:繰り返しになりますけど、進行が速いなど、治る可能性がある場合は、その通りです。ただ、例えば何年もかかって認知機能が衰えてきた人の場合などでは、画像診断を受けるために何カ月も待ったり、病院に連れて行くために大変な苦労をしたりする必要があるかどうかは、やはり疑問ですね。苦労して診断を付けても、出てくる薬は決まった抗認知症薬か、その類似薬に限られていますから。

認知症の人をめぐる「薬」の問題

30歳代男性ケアマネB(以下B):薬で思い出しましたが、大病院で診断を付けてもらい、処方された薬を飲んだことで、せん妄が激しくなったり、怒りっぽくなったりして、家族が苦労していることが結構あります。でも家族は、「大きな病院で診てもらい、処方してもらった薬だから…」と、我慢して、後生大事に飲ませ続けている。

小畑:確かに抗認知症薬の服薬によって患者が興奮状態になることもあります。そして、訪問診療に切り替え、その服用をやめたとたん、状況が改善することもあります。

今のところ、認知症は治すことができません。抗認知症薬は進行を抑えるだけです。だから、アルツハイマー型だからといって抗認知症薬を必ず飲む必要もないといえます。というか、服用の結果、せん妄が激しくなったり、怒りっぽくなったりしているのなら、むしろ飲まない方がいい。薬の服用で根治は期待できないわけですから。大切なことは、本人と周りが安心して暮らすことができる環境を整えることですよ。

:そうは言っても、医師の中には、薬に関しては、こちらの訴えをちっとも聞いてくれない人も結構います。

:抗認知症薬に限らず、認知症の人なのに一日に何回も飲まなきゃいけない薬を出してしまう医師も結構いますよね。

:そう! 認知症の人が一日に何回も薬を飲めるはずがないじゃないですか。それなのに日に四分包の薬を出したりして。それで、薬をできるだけまとめてほしい、と頼むと「薬を飲ませるのは、あなたたちの仕事。私は、有効な処方をしているのだから」と取り付く島もない医師が結構いる。

:特に認知症の人に対しては、「抗認知症薬を処方した。それで私の仕事は終わり」と思っている医師が多いように思います。

ケアマネ一同:なぜ、医師はそうなんですか!

小畑:ええっと…。医師そのものの「目線」の特性が影響しているのかもしれませんね。医師は病気という原因を特定し、その原因を解決するための治療するよう教育されています。しかし、認知症はそうはいかない。すでに述べた通り、診断もあいまい。薬も限られている上に特効薬はない。それだけに特に大病院の医師は、認知症に関心を持ちにくい環境にあるといえるでしょう。

:それでも私たちは、認知症の人が興奮したり、徘徊したりして家族が苦労していると聞くと、「まずは、医師に相談したら」としか言えないわけなんですが…。

小畑:ケアマネからそういう相談を受けたのに、「私はやるべきことはやっている! あとはあなたたちの仕事」とか「抗認知症薬を処方したんだから、十分」と言い切る医師は、認知症と向き合うには少し向いていないかもしれません。

:ならば、「認知症向き」の医師とは、どんな医師ですか。

小畑:認知症の人やその家族が、生活の何に困っているのかを把握し、対応を考える医師です。治療ではなく生活を支える医師、と言い換えてもいいでしょう。そうした意識を持った医師にとって、利用者の生活の実態を一番近くで見続けているケアマネは大切なパートナーとなりますから、皆さんがご指摘されたような取り付く島もないような対応はとらないでしょうね。

ケアマネ一同:そういう医師はどうやって見つければいいんですか?

小畑:それが問題ですね(苦笑)。すべてとは言えませんが、訪問診療を手掛ける若い医師の中には、結構増えてきているとは思います。

(後編へ続く)

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