“テレワークケアマネ”の創り方

“出勤しない居宅”の働きやすさへの挑戦

働きやすい職場環境とはなんでしょうか?

私は、企業が試行錯誤を繰り返した末、従業員の皆様にとって快適な環境がある状態だと思います。そして、それらは常にアップデートしていく必要があります。

テレマネ(テレワークケアマネ)の場合、出勤タイプの事業所と違って、上司や部下、同僚とのコミュニケーションが不足する傾向にあります。

日頃のコミュニケーションの手段としては、チャットアプリを使うことが多く、テキストや絵文字のほか、時には写真も使っています。また、ビデオ会議機能で会議を開いたり、定期的に1対1のオンライン面談を行ったりすることもありますが、テレマネを続けていくうちに、実際に会って話すことの重要性に改めて気付かされました。

皆様の事業所も、コロナ禍でビデオ会議にはずいぶん慣れていることと思います。ビデオ会議では、地域を超えたコミュニティーを作ることもできるので、そこで新しいつながりが生まれ、仲間が増えた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

コロナ禍が収束し、実際にその仲間と会った際、「思っていたよりも背が高い」「画面上よりも雰囲気が柔らかい」といった“違和感”や“発見”はありませんでしたか?

人間は脳だけで「つながった」と錯覚するが、実際には信頼関係は担保できていない―。

霊長類研究の権威で、京都大学前総長の山極寿一先生は、ネットメディアのインタビューでこう語っています。インターネットやスマートフォンなどによって、肉体は離れていても、人とのつながりを作ることができるようになりましたが、霊長類は実際に会わなければ、互いの信頼関係を築けないということでしょう。

私たちは、山極先生のこの言葉を重く捉え、月に1度はケアマネジャー同士が会ってコミュニケーションを取れる場を設けることにしました。さらに、仕事以外のコミュニケーションの場として、「ZATSUDAN」というチャットスペースや、「ぷらっとーく」というオンラインの社交場も作りました。

このように、コミュニケーションを意図的に活発化させることが、テレマネの場合は特に必要になってきます。

働きやすい職場へ、認証制度にエントリー

働きやすい職場には、いろいろな要素があります。自ら考えて整備することも良いと思いますが、私たちは、公的な認証の取得という方法を選びました。

介護・福祉に関する認証制度は各都道府県で実施されており、2013年に京都府が全国に先駆けて創設した「きょうと福祉人材育成認証制度」がベースになっています。

私たちは、北海道が認証を付与する「働きやすい介護の職場認証制度」にエントリーすることから始めました。これは読んで字のごとく、職場環境が整っている介護事業者に贈られるものです。

この認証を受けるには、組織運営や人材育成などに関する基準をクリアする必要があり、審査の過程では、実践の状況を確認するためのヒアリングも行われます。さらに認証取得後は、ビデオ会議などを使って、社内制度の設計やそれを実施するためのポイントなどを丁寧にレクチャーしていただけます。

弊社は2023年度、女性が活躍できる職場に与えられる「えるぼし認定」(厚生労働大臣認定)と、経営サイドも健康である職場に贈られる「健康経営優良法人認定」(経済産業省主催)にもエントリーしています。今後は、経産省の「DX認定」の取得も検討しています。

「バックオフィス」がケアマネ業務を支援

ケアマネジャーの仕事は、「ご利用者様への訪問」「関係機関の調整」「事務仕事」「ケアマネジャーとしての成長のための自己研さん」など多岐にわたります。この中で、皆様が非常に多くの時間を割いているのは、やはり「事務仕事」ではないでしょうか?

私たちは、この「事務仕事」について、ケアマネジャーが行わなければいけない仕事と、事務員が行うこともできる仕事とを区別し、仕事の分担を行っています。

弊社では、事務員の方々を「バックオフィスメンバー」と呼んでいます。ケアマネジャーや介護福祉士のほか、技能認定振興協会が認定する介護事務管理士の方々に活躍していただいております。

現行の逓減制では、ICT機器の活用か事務員の配置のいずれかを実施している場合、常勤のケアマネジャー1人当たりの受け持ち件数の上限を44件まで引き上げることができます。通常よりも5件多く担当できるため、結果として、事業所全体の収入増が見込めます。

この春の運営基準の改正によって、国保中央会のケアプランデータ連携システムを導入し、かつ事務員を配置している事業所については、受け持ち件数の上限が49件まで広がります。こうした国の動向を踏まえると、事務員の配置による業務分担によって、さらに効率を上げることが求められているといえます。

1月15日に、沖縄県介護支援専門員協会主催の主任ケアマネジャーの更新研修で登壇した際、事務員の配置などについてアンケートを実施しました。その結果、ICT機器を活用し、かつ事務員を配置している居宅介護支援事業所の方は全体のわずか5%でした=グラフ=。

逓減性の緩和

いわゆる居宅介護支援逓減制45件からの手続きをされている事業所にお伺いします。ICT活用や事務職員の配置が要件となりますが、どのような方法で対応されていますか?(n=119)

今後、事業所の大規模化も考慮していかざるを得ない状況がやって来ることでしょう。事務員の配置によって、ケアマネジャーは本来やるべき仕事に集中できますし、その結果、より手厚いケアマネジメントを提供することにつながると思います。

次回は、テレワークケアマネの課題について、弊社の取り組みをご紹介させていただきます。ICTツールを使っていく上での課題と、生産性向上への取り組みについてお伝えします。

次田芳尚
日本福祉教育専門学校卒業後、社会福祉法人が運営する在宅介護支援センターのソーシャルワーカーに。その初任給で当時最先端だったWindows 95搭載のパソコンを購入した。職場の業務改善プロジェクトへの参加をきっかけに、「ICT化」と「業務改善」が自身のライフワークに。老健の相談員などを経て35歳で独立し、コンサルタントとして事業所の支援をスタートさせる。2021年4月に株式会社279(つなぐ)を設立し、テレワーク型の居宅介護支援事業所の運営を開始。現在、同社代表取締役のほか、介護現場のIT活用を支援するNPO法人「タダカヨ」の理事なども務める。

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