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ケアプランに「仕事と介護の両立」の視点を/佐藤 博樹(中央大学 大学院戦略経営研究科)

正社員として働く介護者の就労実態について、ケアマネジャーが十分に把握していない―。中央大ビジネススクールの研究プロジェクトチームは2年前の春、仕事と介護の両立に関する調査報告書でこう指摘した。研究代表者を務めた同大大学院戦略経営研究科の佐藤博樹教授は、「介護離職ゼロ」の実現に向け、「要介護者の状態だけでなく、介護する家族が働き続けるために何が必要なのかという視点も、これからのケアプランには必要だ」と語る。佐藤教授に話を聞いた。

―調査報告書は、介護者の仕事と介護の両立を支援する「ワーク・ライフ・バランスケアマネジャー」(WLBケアマネ)の育成の在り方を示すことなどを目的としています。WLBケアマネとは何ですか?

今回の調査に当たって、プロジェクトチームでは、「要介護者の支援だけでなく、仕事と介護の両立の重要性を理解し、働く介護者の就労実態を踏まえて、要介護者に関する適切なケアプランを作成することなどで、介護者の仕事と介護の両立を支援できるケアマネジャー」と定義しました。

介護保険制度が始まった当初、ケアマネジャーは、極端な言い方をすると、自宅に介護をする家族がいる前提でケアプランを立てれば良かった。ところが、今は昼夜を問わず、介護者が働いていることは珍しくありません。労働人口が減少する中、こうしたケースはますます増えるでしょう。

両立支援の必要性を指摘する佐藤教授
両立支援の必要性を指摘する佐藤教授

2015年度から、特別養護老人ホームは原則、要介護3以上の方でないと入所できなくなりました。都市部では、要介護3の方だと入所が困難な場合もあります。施設への入所が厳しくなっている現状を考えると、これからの介護は在宅が基本になる。つまり、ケアマネジャーの役割がさらに大きくなるのです。

介護に要する期間を事前に予測することは困難です。このため、自分で介護をしようとすると、仕事の継続をあきらめざるを得ない状況が出てくる。仕事と介護の両立を支援する際は、介護者となる社員ができるだけ、直接的な介護を担わないようにすることが重要です。

ケアマネジャーの仕事はこれまで、要介護者のニーズに応じて、介護保険の範囲内でケアプランを作ることが主でしたが、これからの時代は、介護者が希望する働き方を実現させるという視点が欠かせません。ケアマネジャーは要介護者の状態だけでなく、家族の働き方についても把握しておく必要があるでしょう。

働き方が変わった段階で、介護者が「ケアマネジャーに相談しよう」と思い立つように、ケアマネジャー側から、「仕事の状況が変わったら、事前に相談してください」と伝えておく。そして、「来月から出張が増えるので、ショートステイの回数を増やしませんか」など、介護者の働き方に応じたきめ細かなケアプランの見直しを提案することが大切です。

―WLBケアマネの育成に向けた課題は何でしょう。

現在のケアマネジャーの教育に、仕事と介護の両立支援に関する項目はありません。16年度から、資格取得後の専門研修に「家族への支援の視点」が加わりましたが、養成カリキュラムには含まれていないのが現状です。その理由は、これまでケアマネジャーがその役割を担うことが想定されていなかったからです。

仕事と介護の両立をサポートすることになれば、介護保険サービスだけでなく、当然、介護者の働き方についても調整する場面が出てくるでしょう。ケアマネジャーも、育児・介護休業法などについて理解しておかなければなりません。

例えば、介護者から「昼間は仕事があるので、土日に来てください」と言われた時に、「年5日の介護休暇が法律で定められているので、それを取得することもできますよ」と提案できるケアマネジャーと、提案できないケアマネジャーとの差は大きい。世の中が大きく変化している中、ケアマネジャーの教育の中身を根本から見直す必要があります。

両立支援、ケアマネの業務に位置付けを

―社会の変化に、ケアマネジャーの教育が追いついていないということでしょうか。

そうです。今でも熱心なケアマネジャーは、介護者の働き方を踏まえたケアプランを立てています。保険外の介護サービスについても、ベテランのケアマネジャーは知っている。ところが、それを横展開で広げる仕組みになっていない。もしかしたら、多くのケアマネジャーは「要介護者だけを見ていればいい」と考え、介護者の仕事と介護の両立を支援することを、自分の仕事と捉えていないのかもしれません。

政府が「1億総活躍社会」の実現を掲げる中、今後、介護をする働き手は増えるでしょう。介護のために仕事を辞めた方が、親と一緒に“共倒れ”するような社会であってはならない。介護者が直面する仕事と介護の両立の悩みに対して、ケアマネジャーがアドバイスできる体制を整えることが望ましいでしょう。

ケアマネジャーの教育の中身を変えるためには、役割が変わるという前提がなければ進まない。仕事と介護の両立支援を、ケアマネジャーの業務として明確に位置付ける必要があります。そこまできて初めて、教育がきちんと整備されていくと思います。

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