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ケアマネは介護保険の原点を堅持すべき/服部 真治(医療経済研究所研究総務部次長)【前編】

介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)と聞いて、どんな印象を抱くだろうか。「要支援の切り捨て」「サービスのボランティア化」―。そんな風な言葉が頭に浮かぶ人も少なくないかもしれない。しかし、この制度の設計にかかわった元厚生労働省老健局総務課・介護保険計画課・振興課併任課長補佐の服部真治・医療経済研究所研究総務部次長は次のように断言する。
この制度は、真に利用者のためにがんばるケアマネの背中を押す制度なのです」
そして服部次長は、ケアマネジャーこそが介護保険の原点を堅持し、総合事業を活用し切らなければならないと力を込める。服部氏に話を聞いた。

両立支援の必要性を指摘する佐藤教授
「ケアマネは自立支援という原点を堅持すべき」と語る服部氏

ケアマネから言われるショックな言葉の数々

―いきなりで恐縮ですが、総合事業に対し、否定的な考えを持つケアマネは少なくありません。

確かにそうですね。私自身も、何度も「要支援者の切り捨て」と言われたことがあります。ただ、もっとショックな言葉を聞かされることもありました。

―どういう言葉ですか。

例えば、「自立支援の意味がわからない」と言い切ったケアマネがいました。また「自立支援なんて、やれっこない」というケアマネもいました。なかには「要支援者のプランは要求ばかりで大変。本来、ヘルパーが要らない人もいる。総合事業なんて面倒なことはせず、いっそ、要支援認定を廃止してほしい」と、「要支援切り」を希望するケアマネもいました。

ちなみに最後の例については、おそらく家事援助だと思いますが、ヘルパーが不要と考えるなら、ケアプランに位置付けたことで廃用が進む可能性すらあるわけです。しかし、本人や家族からの要求があるから位置付けるのだとおっしゃっていました。まさに、絵にかいたような「御用聞き」です。

さらに、自立支援を実現するプロであるケアマネから、私に自立支援についての講演依頼があるのです。介護保険ができて18年が経ちましたが、「どうしてケアマネはこんなことになってしまったのか…」と考えざるを得ません。

自立支援とは、その人の能力を引き出すこと

―あえて、そして改めてお聞きします。介護保険の自立支援とは何なのでしょうか。

「その人の持っている能力をできる限り引き出すこと」、端的にはこれに尽きると思います。

―制度の背骨であるはずの「自立支援」の概念を忘れてしまったケアマネが増えている、ということでしょうか。

中にはそういう人もいるかもしれませんが、大半はそうではないでしょう。制度の理念をケアプランで実現したくても、環境が悪過ぎて思うように仕事ができないのだと思います。

ケアマネを取り巻く悪過ぎる環境

―悪過ぎる環境、とは?

区分支給限度額の範囲内であれば「本人や家族の意向」により好きなように利用できるという誤解が利用者や家族、さらに事業者などにも広がっていること。続いて、保険外サービスのみのケアプランでは、報酬が得られないこと。介護予防プランでは介護予防訪問介護や介護予防通所介護が月単位の包括払いを採用していたこと。さらには「本人や家族の意向」が「自己決定の尊重」や「尊厳の保持」といった美辞麗句に置き換えられ、介護保険の本質と考えている方も少なくないこと。最後に挙げたことは、特に厄介です。

―「尊厳の保持」は介護保険法の総則にも盛り込まれていますが。

「尊厳の保持」とは、例えば本人の意向を無視して施設に入居させるようなことがあってはならない、ということを意味しています。それを「本人が利用したいように利用してもらう」と拡大解釈するのは明らかな誤りです。もし、それで良いなら、アセスメントとは何のために行っているのか、なぜ長期目標が重要なのか、ということになる。ケアマネの仕事の価値自体も低下するのではないでしょうか。

―保険である以上、受けた給付=サービスは、本人が使いたいように使うのが筋ではないかと考える利用者もいるようです。

実際に支援や介護が必要になるまで、利用者は介護保険制度の趣旨を学ぶ機会があまりないのが実態ではないでしょうか。そして、介護保険を自動車保険や生命保険のような民間保険と同様と考えれば、そのように考えるのでしょう。

ただし、介護保険で認定される区分支給限度額は、こうした保険の保険事故認定とは性質が違います。介護保険法に規定されているとおり、「要介護状態の軽減もしくは悪化の防止又は要介護状態となることの予防に資するよう行われる」ものであり、「適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない」ものであり、「可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない」のですから。

ケアマネは自立支援という介護保険の原点を常に意識し、堅持し続けなければなりません。そして、そうやってがんばるケアマネを後押しできるのが「総合事業」と「介護予防マネジメント」なのです。

服部真治(はっとり・しんじ)
1996年4月、八王子市役所に入庁し、介護保険課主査や高齢者いきいき課課長補佐などを歴任。2007年3月、法政大学大学院政策科学研究科修士課程修了。14年4月から2年間、厚生労働省老健局総務課・介護保険計画課・振興課併任課長補佐として、総合事業のガイドラインの作成などを担当した。16年4月 医療経済研究機構研究部研究員兼研究総務部次長 (現職)に就任。16年10月からは公益財団法人さわやか福祉財団研究アドバイザーを、17年4月からは鳥取大学地域学部特任教員を兼任している。
著書に「入門 介護予防ケアマネジメント~新しい総合事業対応版~」(ぎょうせい、16年)や「地域でつくる! 介護予防ケアマネジメントと通所型サービスC-生駒市の実践から学ぶ総合事業の組み立て方-」(社会保険研究所,17年)など

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