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“ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題

ケアマネが“貧乏くじ”?!報酬改定で給料アップの真相

「ケアマネに笑いを」でおなじみ、“ケアマネ芸人”ノン老いる小林です!

皆さん、4月の介護報酬改定で、居宅介護支援費の単位数アップと逓減制の緩和があるのはご存じですよね。

今回は、報酬改定が給与アップにつながるのか、居宅介護支援事業所を運営する会社のイチ社長として、経営者目線で言いたい放題しちゃいます!

単位アップ、経営者目線では魅力ゼロ

居宅介護支援費の単位数は、要介護1・2が10単位 介護3~5が13単位アップしますが、実はこれ、経営者目線で見ると全然魅力がないんです。

うちの事業所(ケアマネ9人)を例にとって、ざっくりと計算してみましょう。

ケアマネ1人が受け持つ要介護の利用者数を33人とします。

増える単位数は10単位と13単位。足して2で割ると11.5ですが、計算しやすいように12単位とします。静岡市は地域区分が6級地で、居宅介護支援の1単位の単価は10.42円なので、増加分はざっくり125円(10.42円×12単位)になります。

うちの要介護の利用者数は約300人(33人×ケアマネ9人=297人)なので、基本報酬アップによる増収は3万7500円(300人×125円)。これでは、値上がりした電気代、ガス代、水道代、ガソリン代で消えてしまいます…。

次に、居宅介護支援費(I)の担当件数の上限が45件未満に緩和される逓減制について試算してみましょう。

45件持てるのは“スーパーケアマネさん”だけなので、現実的な数字として、現在の33人が40人に増えると仮定してみます。

ケアマネさん1人あたりの要介護の担当件数が7人増えることになるので、事業所全体では63人(7人×ケアマネ9人)の増加となります(あくまで仮定の話ですが…)。

63人の内訳を、要介護1・2が40人、要介護3~5が23人と仮定すると、

要介護1・2は、45万2644円(1086単位×40人×10.42円)、要介護3~5は33万8160円(1411単位×23人×10.42円)となるので、担当件数増による増収は合計で79万804円となります。

これを9人のケアマネで割ると、1人あたりの金額は8万7867円ですが、利用者増に伴う経費の増加などもありますし、社会保険料、雇用保険料、所得税、市・県民税の増加も考慮すると、実際の支給額は5割くらいでしょうか。金額にすると、1カ月で約4万4000円なり~。

逓減制緩和で精神的にさらに疲弊も?!

ここまで読んでくださった皆様、「やった~!給与アップだ!」と笑顔になりましたか?

金額だけにとらわれてはいけませんっ!

うちの事業所には9人のケアマネがいるので、「数の原理」で金額が大きくなりますが、仮にケアマネが4人だとすると、ざっくり試算額の半分、3人ならば3分の1になるんです。

先ほどお話したように、基本報酬のアップは値上がりした光熱費などの経費で消えますから、給与へ充てるのは無理ですっ!

また、逓減制緩和のお話も、あくまで40人のケースを持った場合です。うちの事業所だと、1人あたり7人も担当が増えるんですよっ!

ブラン作成中に緊急の電話が入れば訪問しなきゃいけないし、病院から「急に退院するから手配してくれ」と言われて、あわてて福祉用具の事業所に電話しなきゃいけないし、新規依頼の電話はかかってくるわ、モニタリングを「土日にしてくれ」と言われれば、休み返上で訪問しなきゃいけないし…。

次から次へと仕事が降ってきて振り回され、精神的にも疲れるんですっ!!ただでさえ忙しい毎日を送っているのに、さらに7人増える…。考えただけでも萎えます…。

その対価として、額面上の給与額は少し増えるかもしれませんが、保険料や税金などが引かれ、手取りが減る可能性も?!結果として、ケアマネが“貧乏くじ”を引くことになりかねないのです!

「必殺、国民ぬか喜び作戦」だった!!

始めに厳しいことを言って諦めムードをつくっておいてから、嬉しくなるようなことを言って少し喜ばせて、気がつけば厳しい状況に追い込まれている!

そう、皆さん、これが官僚が最も得意とする「必殺、国民ぬか喜び作戦」なんです!

われわれは、過去にもこの作戦に乗せられて一喜一憂してきたんですっ!!今回の報酬改定でまたしても、まんまとやられました。

私は声を大にして官僚に言いますっ!

新規受け ケース増えても わが暮らし 楽にならざり じっと見る給与明細!(字余り)
Byノン老いる小林

ノン老いる小林
1964年静岡市生まれ。大学卒業後、高校の英語教師として働いていたが、40歳という人生の節目を間近に控えた38歳の時、介護保険制度の創設を好機と捉えて転職。その後、介護施設を中心に経営支援などを行う。2013年にケアマネジャー、19年に主任ケアマネジャー取得。現在、静岡市内で居宅介護支援事業所「ケアプランはるな」を運営する株式会社はるな代表取締役。介護技能実習評価試験評価者のほか、セーフティマネジメントなど介護研修の講師も務めている。東京演芸協会理事。出演情報は同協会のホームページ

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