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ケアプラン有料化、2024年度にも?―審議会意見書を読み解く(後)

介護保険制度改正に向けた議論が行われた審議会(社会保障審議会介護保険部会)が昨年12月27日に取りまとめた意見書では、次々回の制度改正へ継続して審議する項目として、以下が示された。

  1. 被保険者範囲・受給者範囲
  2. ケアマネジメントに関する給付の在り方
  3. 軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方
  4. 「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準


昨年12月27日の社会保障審議会介護保険部会

その中で、とりわけ実現する可能性が高いのが、(2)の「ケアプランの有料化」だろう。理由は単純だ。他の項目に比べて導入に反対する人が少ないと思われるからだ。

周知のとおり、居宅介護支援以外の介護保険サービスでは、1~3割の利用者負担がある。それだけに介護保険サービスを提供する事業者の多くは、ケアマネジメントに利用者負担が導入されたところで、違和感も覚えなければ、迷惑とも思わないだろう。

居宅介護支援以外の介護事業者の多くにとって、ケアプラン有料化は「推し進めるつもりはないが、強く反対する理由もない」ことなのだ。

事実、昨年行われた介護保険制度改正に向けた議論では、ケアプラン有料化を容認した介護事業者団体の代表もいた。反対を貫いたのは利用者の代表とケアマネジャーの職能団体の代表ぐらいだった。ケアプラン有料化については、先送りになったことが不思議なくらいの状況だったと言える。だが、次も同じように不思議な幸運があるとは限らない。残念ながら、2024年度の介護保険制度改正でケアプラン有料化が実現してしまう可能性は、かなり高い。

将来の2割負担の対象拡大は「医療次第」

(4)の「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準の見直しも、24年度の制度改正に向け、重要な議題になるだろう。

2割負担や3割負担の対象者は、どこまで拡大するのか―。この議論の行方を左右するのは、医療制度だ。具体的には、22年度の実施が目指される後期高齢者医療制度の2割負担の動向だ。後期高齢者医療制度で2割負担となる人が増えれば増えるほど、介護保険制度の2割負担や3割負担の対象者は、できるだけ増やさないよう配慮されるはずだから。

(3)の軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方とは、「要介護1や要介護2の人の生活援助サービスなどを総合事業に移行すべきかどうか」ということだ。この議題については、総合事業の実績がカギとなる。

(1)の被保険者範囲・受給者範囲とは、「40歳以上となっている保険料負担の年齢を、さらに引き下げるべきかどうか」を検討するための議題だ。だが、保険料負担の年齢引き下げを前向きに評価する声はほとんど聞かれない。24年度の介護保険制度改正で、保険料負担の年齢引き下げが実施される可能性は極めて低い。

将来、現金給付が現実味を帯びる可能性も

今回の意見書の中で、もう一つ注目したいポイントがある。

「現金給付については、 介護者の介護負担そのものが軽減されるわけではなく、介護離職が増加する可能性もあり、慎重に検討していくことが必要との意見があり、現時点で導入することは適当ではなく、『介護離職ゼロ』の実現に向けた取組や介護者(家族)支援を進めることが重要である」の部分だ。

この一文は現金給付の導入を否定したものだ。だが未来永劫、その可能性を否定したわけではない。

団塊世代が85歳や90歳になるころには、さらに現役世代が減り、働き手の確保が難しくなってくる(グラフ)。そうなれば、サービス事業者が要介護者を選ぶ時代となり、「制度があってもサービスは受けられない」人が、ますます増えてくる。現在でも、中山間地域などでは、保険料だけを徴収され、サービスを享受できない被保険者が増えているのだ。

最後に次の介護報酬改定について私見を述べたい。私は、次の介護報酬改定もプラス改定でなければならないと考えている。そうでもしなければ、介護保険サービスそのものを維持するのが難しい状況になりつつあるからだ。

昨年末、社会保障審議会介護給付費分科会で示されたデータによれば、18年4月に介護報酬が引き上げられたにも関わらず、収支は悪化したサービスが多かった(表)。主な原因は、人手を確保するための出費がかさんだこと。つまり、介護の現場の人手不足は、プラス改定の効果を打ち消してしまうほどに深刻なのだ。

そんな中、21年度の介護報酬改定がマイナス改定となってしまえば、人手を確保できず、サービスを提供できなくなる事業所も増えるだろう。そうなればサービスを受けることができない「介護難民」が増え、親や伴侶の介護のために離職する人も増えるのではないか。この悪循環を断ち切るためにも、21年度の介護報酬改定は、大幅なプラス改定が必要不可欠だ。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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