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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

※この記事は 2020年9月30日 に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

ケアマネの処遇改善、新加算はほぼ消滅

来年春の介護報酬改定に向け、社会保障審議会介護給付費分科会は一巡目の審議を終えた。9月4日から始まった二巡目の審議では、新たな論点として「感染症や災害への対応力強化」を追加。これは、新型コロナウイルス対策の特例措置や基準緩和を平時の取り扱いとして落とし込むという趣旨ではなく、感染症対策を加算で評価することなどが検討される見通しだ。

新型コロナ関連の特例は、あくまで特例の位置付けであり、コロナ禍を機に基準の緩和が検討されることはないだろう。よって、40件を超える利用者の受け入れや、月のサービスの利用がない利用者に関する介護報酬の請求、集中減算の緩和、サービス内容の変更が軽微な場合のサービス担当者会議の省略などは、コロナ禍の終息後は継続されることはないとみられる。

しかしながら、厚労省は介護現場のICT化の促進の観点から、サービス担当者会議などをインターネット会議で代用することを認める方向性を示しており、これを通常の基準として適用するための検討は行われる見通しだ。

予防プラン委託料は引き上げの公算大

昨年来、関心が高まっていたケアマネジャーの処遇改善については、新たな加算が設けられるという方向性はほぼ消滅し、居宅介護支援の基本報酬の引き上げや加算の充実といった形で実現すると思われる。

ただし、介護職員等特定処遇改善加算に関しては、施設ケアマネが対象になっている不平等さを解消するため、居宅介護支援事業所のケアマネも対象になる可能性は残っている。

予防ケアプランの委託料については、引き上げの公算が大きい。地域共生社会の実現に向け、来年春に創設される「重層的支援体制整備事業」により、地域包括支援センターの機能が拡充される関係上、予防ケアプランの外部委託を促進する必要がある。しかしながら、現在の委託料が少額であるため、居宅介護支援事業所側は難色を示しており、委託料の引き上げが急務となっているのだ。

ちなみに「重層的支援体制整備事業」とは、社会問題となっている「8050問題」への対応をワンストップで行う“断らない相談支援”の実現に向けた取り組みで、地域包括支援センターがその中心的な役割を担うことになっている。

保険外のプラン位置付け、報酬に反映?

加算関連では、保険外サービスをケアプランに位置付けた場合の介護報酬への反映が検討されるだろう。厚労省は一昨年秋、主にデイサービスにおける保険外サービスの規制を緩和し、今年度中には、さらなる緩和措置を行う見通しだ。

東京都豊島区では、2018年8月から来年3月まで、いわゆる「混合介護」のビジネスモデルの試験的な運用を行っている。「混合介護」では、介護保険サービスの提供中もしくは提供直後に保険外サービスが行われることから、多くの場合、双方のサービスをケアプランに位置付けて管理することが求められる。

介護保険サービスはもともと、必要最低限で構成されているため、利用者が求めるサービスを提供するためには、保険外サービスを組み合わせることが不可欠だ。ケアマネはアセスメントの段階で、利用者が必要としているサービスの全体像を把握し、介護保険で対応していない場合は保険外サービスを補完する、これがケアマネジメントの本来の形でもある。

サービスが極端に少ない場合の減算検討も

居宅介護支援では、入退院時や入退所時に利用者の情報を提供した場合の加算が設けられているが、介護老人保健施設に関しては、在宅復帰機能をさらに強化するため、ケアマネとの連携を評価する新たな加算が設けられる可能性もある。これが実現した場合、他の施設にも同様の加算が新設されると思われる。

受験資格の見直しにより、ケアマネ試験の受験者数が大幅に減少する中、介護現場では、ベテランケアマネのリタイアによって、ケアマネそのものの人数が減少傾向にあることも問題視されている。多忙な割に報酬が低過ぎるなど、ケアマネ自体の魅力が薄れていることに加え、処遇改善加算の対象外となっているため、組織内での成り手がいないという話も聞こえてくる。

ケアマネは医療・介護連携における介護分野のキーパーソンであることから、今後の報酬改定や制度改正において、何らかの対策が講じられるだろう。その一方で、ケアマネの質の向上の観点から、従来から批判も多い、ケアプランに位置付けるサービスの数が極端に少ない場合の減算等も検討されると思われる。

いずれにせよ、介護報酬改定に向けた審議は二巡目に突入した。新型コロナの影響で審議はやや遅れているが、厚労省は、分科会の開催頻度を上げることで、予定通り年内に審議の結果を取りまとめる見通しだ。残り3カ月の審議の行方に注目してほしい。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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