ケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンラインケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンライン

結城教授の深掘り!介護保険結城教授の深掘り!介護保険

結城教授の深掘り!介護保険

包括から居宅への予防プラン移行、その今後を考える

新加算導入なのに…居宅にくすぶる不満

ケアマネジメントオンラインが独自に行った調査によれば、地域包括支援センターからの介護予防ケアプランの委託料について、もやもやした思いを抱いている居宅介護支援事業所が多いようだ。

【関連記事】
予防プラン委託料、8割近くで増額も 満足度低く

周知のように2021年度の介護報酬改定で、地域包括支援センターが居宅介護支援事業所へ介護予防ケアプランを委託した際、初回に限り300単位が算定できる「委託連携加算」が設けられた。また毎月の介護予防支援費も、わずかながら引き上げられた。

居宅が予防プラン受託に後ろ向きである理由

だが先に示したケアマネジメントオンラインの調査結果から予測できることは、積極的に介護予防ケアプランを受託しようとする居宅介護支援事業所は、まずないだろうということだ。

調査では、介護予防ケアプランの報酬引き上げ幅は「100~500円未満」が大多数だった。この程度の引き上げでは、居宅介護支援事業所が受け取る報酬は、介護予防ケアプラン一件あたり5000円にも満たないだろう。

その一方、要介護1から要介護5の居宅介護支援費の引き上げ幅は、他のサービスに比べて大きかった。しかも、ICT活用などの要件さえ満たせば、44件まで居宅介護支援費を満額受け取れる「逓減性の緩和」も導入された。

つまり、要支援の利用者のケアプランを引き受けるよりも、要介護の利用者を担当したほうが経営面では合理的なのだ。

厚生労働省には地域包括支援センターから居宅介護支援への介護予防ケアプランの委託を促進したいという思惑があったようだが、「委託連携加算」の導入や介護予防ケアプランの基本報酬の引き上げ幅(7単位)だけでは、その実現は難しいだろう。

軽度者でも重度者でも、「手間」は大して変わらない

そもそもケアマネにしてみれば、要介護度が軽いからといって業務の負担が軽減されるとは限らない。現場のケアマネならだれでも知っていることだが、要支援や要介護1の利用者を担当するほうが、要介護4や要介護5の利用者を担当するよりも負担が増すことも珍しくない。

実際、介護給付費分科会資料(2021年11月26日)でも「利用者1人1月の労働投入時間について、要支援と要介護にかかるケアマネジメント業務の時間について、約30-45分程度の差にとどまっている」という。

ざっくり言えば、軽度者を担当しても重度者を担当しても、ケアマネにとってその手間は大して変わらないわけだ。

この現実があるにもかかわらず、居宅介護支援費は要介護度に比例して報酬も高くなる。

その結果、居宅介護支援事業所にとって介護予防ケアプランは「要介護のケアプランと手間は大して変わらないのに、報酬は安い」存在となっている。これでは居宅が介護予防プランの受託を敬遠してもやむを得ないだろう。

包括に専任を置くか、居宅に戻すか―予防ケアプランの思い切った変革を!

既に述べた通り、国は地域包括支援センターの負担を軽くするため、介護予防ケアプランの居宅介護支援事業所への移行を進めようとしていた。

地域包括支援センターの負担軽減は私も必要と思う。ただ、業務を外部に委託するという発想で事態を解決しようとする姿勢は、あまり評価できない。

逆に私は地域包括支援センターに介護予防ケアプランを担当する専任ケアマネジャーを配置することで課題を解決することを提案したい。

もう一つの選択肢としては、介護予防ケアプランの主な担い手を地域包括支援センターから居宅介護支援事業所に変更してしまうことが挙げられる。言い換えるなら、03年ごろに介護保険制度の一部を“復古”すべきということだ。

この“復古”によって介護予防ケアプランから解放された地域包括支援センターは、原則、地域支援事業業務に特化していくようにすればいい。もっとも、緊急を要する介護予防ケアプランについては、例外として地域包括支援センターが担当すべきかもしれない。

このような“復古”を実現するためには、要支援と軽度者(要介護1~2)、中重度者(要介護4~5)の居宅介護支援費の差を思い切って縮小する改革も不可欠だ。せめて03年度の介護報酬体系程度の差に縮めるべきではないだろうか。既に述べた通り、「手間は大して変わらないのに、報酬は中重度者の方がずっと多い」という状況では、何をやっても居宅介護支援事業所が介護予防プランを請け負う気持ちにならないだろうから。

2003年度(平成15年度)介護報酬改定
居宅介護支援費
  • イ  要支援……650単位
  • ロ  要介護1又は要介護2……720単位
  • ハ  要介護3要介護4又は要介護5……840単位

社会保障審議会介護給付費分科会の資料より

35年には全ての団塊世代が85歳を迎え、多くの要支援者が増える見通しである。その一方、昨今のケアマネ試験の合格人数の減少を思えば、35年にはケアマネ不足がより深刻化しているかもしれない。そんな将来に備えるためにも、前例踏襲の仕組みを維持するのでなく抜本的な変革を考えていかなければいけない。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

スキルアップにつながる!おすすめ記事

このカテゴリの他の記事

結城教授の深掘り!介護保険の記事一覧へ

ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報

介護関連商品・サービスのご案内

ログインしてください

無料会員登録はこちら

ログインできない方

広告掲載・マーケティング支援に
関するお問い合わせ