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急浮上した「用具販売にもマネジメント」-その可能性を考える

違いすぎる「貸与」と「購入」のアフターフォロー

3月31日の「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」で、福祉用具を貸与する場合と購入する場合とでは、ケアマネジメントやメンテナンス、モニタリングに大きな違いがあるという問題提起があった。そして、福祉用具だけを購入し、他の介護サービスを使わない利用者にも、貸与と同じようなケアマネジメントやメンテナンスを行うべきかどうかが議論された。

確かに、同じ福祉用具でも貸与と購入では、利用者が期待できるサービスが違いすぎる。「購入後の福祉用具にもケアマネジメントなどが必要ではないか」との意見も理解できなくもない。

「お金」の現実から最善策を考えると…

しかし、他の介護保険サービスを使わず、福祉用具だけを買って使う人をケアマネジメントやメンテナンスなどの対象にするとなると、大きな問題も生じる。

ほかでもない、その分の「お金」の問題だ。

貸与と同様のケアマネジメントやメンテナンス、モニタリングを、福祉用具だけを買って使う人に対しても実施するとなると、相当な手間が必要になる。

その手間の分の報酬を何でまかなうのか―。わかりやすいのは、用具購入時の価格に上乗せすることだ。だが、その方式を導入すると、販売時の価格が恐ろしく跳ね上がる。正確な数字のシミュレーションはちょっと難しいが、それでも、顧客が買いためらうほどの値段になってしまうのは、間違いのないところだろう。その結果、顧客が減り、販売用具の売り上げも減少する。さらに利用控えにもつながりかねないから、この手法は現実的ではない。

別のやり方としては、購入後、ケアマネジメントやメンテナンスなどを行うたびに、手間賃を介護報酬として設定することが考えられる。販売価格に一括して上乗せするよりは現実的な方法だが、それでも、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員の両方がかかわるとなると、かなりの費用が必要になる。

「販売のみ」のフォローは福祉用具相談員に

もっとも現実的なのは、福祉用具だけを購入した人には、福祉用具専門相談員だけが丁寧なアフターフォローをする方法だと思う。

現在の制度では、他の介護保険サービスを利用しつつ、福祉用具を買って使うだけの場合は、ケアマネがケアマネジメントを担う。この現状に習い、購入のみの福祉用具を利用する場合は、その販売店に属する福祉用具専門相談員がアフターフォローを請け負ってはどうか、という案である。

この方法であれば、購入後のアフターフォローにかかる費用は、福祉用具専門相談員の手間の分だけで済む。

また、福祉用具貸与・販売事業所には常勤換算方法で2名以上の福祉用具専門相談員の配置が義務づけられているが、現実の配置状況は一事業所あたり4.2人(2020年10 月1日現在)となっている(図参照)。購入した用具のメンテナンスやモニタリングにも対応できるマンパワーは、現状でも確保されていると考えてもよいのではないか。

図:事業所あたりの福祉用具専門相談員従事者数

厚労省「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会(第2回)資料」令和4年3月31日より

福祉用具相談員にも一定のケアマネジメント業務を任せるべき

さらに福祉用具貸与のみの利用者(いわゆる用具のみプラン)についても、一定の専門性を有した福祉用具専門相談員が報酬請求事務も担えるよう、制度変更されることを期待したい。

福祉用具専門相談員がケアマネジメント業務の一部を担う流れが加速化すれば、その能力と社会的地位の向上につながる。

ケアマネも「用具のみプラン」から解放されることで、より専門的で複雑なケアマネジメントを求められる利用者と、しっかり向き合う時間を確保できるようになるはずだ。

ぜひ福祉用具専門相談員に、一部のケアマネジメント業務を担ってもらう方向に「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」の議論が進んでほしい。

現状維持すべき「貸与」と「販売」は

福祉用具の販売とアフターフォローを考える際、もう一つ見落とせない問題がある。「福祉用具専門相談員がいないホームセンターなどで安価に購入できる用具をどう扱うか」だ。

現在、ホームセンターや家具専門店に行けば、車いすや杖、ベッド脇の手すりなどは、すぐに購入できる。背上げ機能がついたベッドだって購入できるのだ。ただし、こうした場所で用具を購入しても、その後のメンテナンスやモニタリングは、ほぼ期待できない。

結論からいえば、こうした用具類については、現状維持でよいと思う。ホームセンターなどで売られた用具まで福祉用具専門相談員がフォローするのは、どう考えても現実的ではないからだ。

最後に、念のために述べておくが、財政制度等審議会が提起している「歩行補助杖や手すりなど廉価な福祉用具を貸与から販売へ切り替え」については、私は反対だ。これらは24年度の介護報酬改定の後も、現状を維持すべきと考えている。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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