小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

※この記事は 2023年6月27日 に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

次の介護報酬改定は“厳冬”の可能性も

政府は16日、経済財政運営と改革の基本方針となる「骨太の方針2023」を閣議決定した。今回は、骨太の方針2023のポイントを押さえながら、令和6年度(2024年度)の介護報酬改定への影響について考えたい。

負担増の結論が年末に先送り

骨太の方針2023の最大の焦点は、利用者負担の見直しに関する結論の先送りだ。

次の介護保険制度の見直しに向け、昨年12月20日に社会保障審議会介護保険部会がまとめた意見書では、▽2割負担の対象を全体の30%にまで拡大する(現在は20%)▽高所得者の第1号保険料を引き上げ、低所得者の負担を軽くする▽介護老人保健施設や介護医療院の多床室料を全額自己負担とする―の3点について、遅くとも今年夏までに結論を得るとされていた。

制度改正の議論が年をまたぐのは極めて異例で、4月に行われる全国統一地方選への影響を考慮したというのが大方の見方だった。ところが、骨太の方針2023では、その期限をさらに先延ばしし、「年末までに結論を得る」とされた。これは、解散総選挙が近いことをうかがわせる修正といえるだろう。

負担増の結論が年末まで先送りされたことで、12月にまとまる令和6年度介護報酬改定の審議報告(改定案)への影響は避けられないだろう。

端的に言うと、仮に上記3点が実現することになった場合、介護報酬の引き上げが期待できるが、見送りとなった場合、財源確保の観点から厳しい改定になると言わざるを得ない。

ただ、介護報酬が引き上げになるとしても、2割負担の対象拡大などで、利用者の介護サービスの選別が始まり、利用控えが起こることも想定されるため、厳しい状況であることに変わりはない。この点については、今後の審議の行方を見守りたい。

人材紹介会社への規制強化

骨太の方針2023では、「医療介護分野における職業紹介について、関係機関が連携して、公的な職業紹介の機能の強化に取り組むとともに、有料職業紹介事業の適正化に向けた指導監督や事例の周知を行う」として、人材紹介会社に対する規制を強化することも盛り込まれた。

この点については、財務省の審議会でも議論となった。介護事業者の半数が人材紹介会社を利用する中、手数料の相場が採用者の年収の3割程度に上ることや、就職祝い金制度が定着率低下の要因の一つになっていることが問題視されたのだ。

同省は、ハローワークなど公的機関からの人材紹介を強化するよう求めたが、おそらく、早急な改善は期待できないだろう。また、定着率の低下については、採用する介護事業者側に問題がないとも言えず、人員基準の緩和やICTのさらなる活用の方策を進めることが急務である現状に変わりはない。

経営状況の見える化を推進

さらに骨太の方針2023では、「急速な高齢化が見込まれる中で、医療機関の連携、介護サービス事業者の介護ロボット・ICT機器導入や協働化・大規模化、保有資産の状況なども踏まえた経営状況の見える化を推進した上で、賃上げや業務負担軽減が適切に図られるよう取り組む」と明記された。

令和6年度の介護保険法改正に伴い、全ての介護サービス事業者に対して、財務状況の公表が義務化される。従わない場合は、指定取り消しや業務停止といった行政処分の対象になるだろう。

国の狙いは、経営状況の見える化を徹底することで、エビデンスに基づいた介護報酬改定や処遇改善に繋げることにある。

現行の介護事業経営実態調査や介護事業経営概況調査は、一部の事業者を抽出するサンプル調査であり、必ずしも現場の実状を表していない。このため、国はより精度の高いデータベースの構築を目指している。

「安易な報酬引き上げはない」

最後に、介護報酬改定についても触れておきたい。令和6年度は、診療報酬と障害福祉サービスの改定も予定されており、骨太の方針2023では、この“トリプル改定”について以下のように記されている。

物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う。その際、(中略)持続可能な社会保障制度の構築に向けて、当面直面する地域包括ケアシステムの更なる推進のための医療・介護・障害サービスの連携等の課題とともに、以上に掲げた医療・介護分野の課題について効果的・効率的に対応する観点から検討を行う。

ここから読み取れるのは、あくまで諸課題について「効果的・効率的に対応する観点」を重視しているのであり、安易に報酬を引き上げることはないということだ。

先述した通り、負担増の結論を年末に先送りしたことで、令和6年度の介護報酬改定率は、利用者負担の増加と保険料の伸びの抑制の議論の中で決まる。当然、“厳冬改定”になる可能性は捨て切れないということだ。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

スキルアップにつながる!おすすめ記事

このカテゴリの他の記事

小濱道博の介護経営よもやま話の記事一覧へ

こちらもおすすめ

ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報

介護関連商品・サービスのご案内

ログインしてください

無料会員登録はこちら

ログインできない方

広告掲載・マーケティング支援に
関するお問い合わせ

ケアマネジメント・オンライン(CMO)とは

全国の現職ケアマネジャーの約半数が登録する、日本最大級のケアマネジャー向け専門情報サイトです。

ケアマネジメント・オンラインの特長

「介護保険最新情報」や「アセスメントシート」「重要事項説明書」など、ケアマネジャーの業務に直結した情報やツール、マニュアルなどを無料で提供しています。また、ケアマネジャーに関連するニュース記事や特集記事も無料で配信中。登録者同士が交流できる「掲示板」機能も充実。さらに介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)の過去問題と解答、解説も掲載しています。

ご質問やお問い合わせはこちら

お問い合わせページ