

連携室の“ケアマネ”が教える病院との付き合い方
※この記事は 2023年8月21日 に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。
ケアマネにとって医師は“怖い”存在なのか?
- 2023/08/21 09:00 配信
- 連携室の“ケアマネ”が教える病院との付き合い方
- 塚本知恵子
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初めまして。塚本知恵子と申します。私は看護師からケアマネジャーとなり、居宅でご利用者の暮らしのお手伝いをしてきました。現在は病院の地域医療連携室で、地域の医療機関や介護事業者とさまざまな形でつながっていて、ケアマネジャーの皆様にはいつも大変お世話になっています。
ケアマネジャーは、医師をはじめとした医療職との連携を苦手とされている方が多いと言われています。在宅で臨床経験があり、サービス内容をよく理解している柔軟な医師は増えていますが、入院施設のある病院の医師との連携はまだまだ敷居が高いと思われていると感じています。
でも、医師は本当に“怖い”存在なのでしょうか。こう言うと、「あなたは看護師出身だから」とか、「看護管理者をしていたから」といった声が聞こえてきそうです。確かに、その側面は大いにあるでしょう。ただ、少々癖のある医師でも、「患者さんを良くしたい」「無事、家に帰ってほしい」と願っています。その思いに、医療と介護の違いはありません。
入院中「ついでに」ができなくなった理由
では、どうすれば上手に医師と関わることができるのでしょうか。やはり、苦手な相手をよく知ることが重要です。なぜなら、病院の医師と在宅の専門職とでは、視点が全然違うからです。
急性期病院の診療科は、専門分野別に細かく分かれています。数十年前は、消化器内科の病気で入院した患者さんが「目も見えにくいし、耳も聞こえにくい」と言えば、ついでに耳鼻科と眼科で検査を受けることも可能でした。
それが今では、国が掲げる医療費適正化計画の下、都道府県が策定する医療計画に基づき、病床の機能分化と連携が進み、それが許されなくなっています。国の狙いは、医療の効率的な提供と医療費の削減です。
ベッドの機能が定義され、各病院はそれぞれの役割を果たす必要があります。また同時に、他の医療機関や介護サービス事業者との連携も求められており、地域包括ケアシステムにおいて、入院治療後、医療と連携して支援してくださるケアマネジャーの存在は、もはや必要不可欠なものとなっています。
医療の質のばらつきを減らし、平均的な医療資源の投入量を評価するため、急性期病院には「DPC」という仕組みが導入されています。
「DPC」では、入院中に医療資源が最も投入された「主たる傷病名」と、手術や処置といった「診療行為」との組み合わせで患者さんが分類されます。
各病院から集めた膨大なデータに基づき、最も効果的とされる入院期間と診療行為によって、患者さんをできるだけ早く地域にお返しすることが求められており、このため、入院中の「ついでに」ができなってしまったのです。
医師は「医療」と「療養」を分けている
ただ、これはケアマネジャーの仕事と似ているところがあります。ケアプランの中ならば何でもしていいというわけではなく、介護保険制度という枠組みの中で、サービスの内容や利用限度額のことも考えながら、皆さん、ご利用者のプランニングをされていると思います。
「主たる傷病名」の治療が終わった後、担当医は何を考えているのでしょうか。
大変申し上げにくいのですが、「治療が終わったのだから、1日も早く退院してほしい」というのは、医師の本音だろうと思います。
ケアマネジャーがご利用者の病状説明にせっかく同席しても、担当医から「治療が終わった」という説明しかないと、気になることがあっても聞きにくいムードになるでしょうし、「早く退院してほしい」というオーラが漂うと、くじけそうになる(もしくは腹立たしく思う)こともあるかもしれません。
これは先ほど述べた通り、医師とケアマネジャーの視点の違いによるもので、「さっさと退院しろ」ということではありません。医師が、「医療」と「療養」を明確に分けていることに起因します。
生活を支えるケアマネジャーやご家族から見れば、ADLが低下して食事がうまく取れない状況などがあれば、「まだ良くなっていない」と考えるのは当然のことですが、「主たる傷病名」の治療は終わっているので、ここからはケアマネジャーが腕を見せるしかないという現実もあります。
急性期病院の医師との連携においては、「在宅の大変さをいくら訴えても、役割が違うので効果はない」と割り切っておくぐらいの方がいいのかもしれません。

- 塚本知恵子
- 看護師免許取得後、兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)や淀川キリスト教病院(大阪市)などで、病棟の看護師や看護管理者の仕事に従事。2003年にケアマネジャーに転身し、約8年間、大阪府池田市内の居宅介護支援事業所で勤務。その後、同市内の市立池田病院などを経て、2019年から伊丹恒生脳神経外科病院(同県伊丹市)地域医療連携室長。現在、一般社団法人日本地域統合人材育成機構で医療・介護従事者を対象とした接遇講座などの講師も務めているほか、看護師のための「ナースのかたり場」を主宰し、専門職の教育支援なども行っている。
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