連携室の“ケアマネ”が教える病院との付き合い方連携室の“ケアマネ”が教える病院との付き合い方

連携室の“ケアマネ”が教える病院との付き合い方

※この記事は 2023年12月14日 に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

突然の入院…“災害級”の出来事に備えるには?

前回は、今のケアプランで問題は無いけれど、なんとなく「いつもと違う」といった小さな変化を捉え、「一歩先のプラニング」を意識していくことが大切というお話をしました。その意識の大切さは、これからお話しすることとも関連しています。

介護サービスを受けながら、ご家族の支援もあって、なんとか自宅で生活をなさってきた高齢者も、ひとたび入院すると、立ちゆかなくなることが多くなります。

入院前であれば、生活の中でさまざまな工夫をしながら、ケアマネジャーが上手にプランニングし、同居、別居にかかわらず、ご家族の生活は維持されているケースが多いことでしょう。

現役世代であるご家族は、ご自身の仕事や子育てにおいては、時折予測できないことにも対応しながら、毎日暮らしていることと思いますが、親や親族の介護の問題となると、“災害級”のストレスを感じ、「今まで通り」に戻すことを望まれがちです。

病院の地域医療連携室にいると、さまざまなケアマネさんとお仕事をさせていただきますが、そうした“災害級”の事態が起こった際、ご家族と一緒に大慌てになられるケアマネさんがおられて、少し困ってしまうことがあります。

このようなケースでは、ケアマネさんが柔軟に予測を立て、ご利用者の「これから」について、事前にご家族と話し合えていないことが多いと思っています。

日常に潜んでいるHADのリスク

高齢者の場合、なんらかのリスクを抱えているにもかかわらず、たまたまそれが表面化されず、“災害級”の出来事に至らないまま、なんとか生活できていた、というケースは多いものです。

「入院関連機能障害(HAD)」という言葉をご存じでしょうか。

入院によって疾患は良くなったものの、身体機能や体力は低下してしまうことを意味します。いわゆる廃用性症候群と違うのは、明らかな病気ではないという点です。

先に述べたように、リスクが表面化されず、ぎりぎりの状態で生活しておられた方には、HADのリスクが潜んでいます。

一般的にHADのリスクが高いのは、▽複数の疾患を持っている▽栄養状態が悪い▽フレイルになっている▽運動をあまりしない―などで、普段の生活や健康管理の中で徐々に進行していくものであると考えられています。

もともとハイリスクの状態であるのに、ケアマネジャーが「自立して過ごしている」と誤って認識し、ご家族と一緒に「いつもと同じケアプラン」を立てていると、「急に悪くなった」と思い込み、それが戸惑いや混乱を生んでしまいます。

このグラフは、日本人の平均寿命と健康寿命の推移です。ここから読み取れるのは、平均寿命は伸び続けているのに、健康寿命との差は縮まっていないということです。

出典:令和4年版 厚生労働白書-社会保障を支える人材確保-

この差を縮めるには、HADのリスクが高い状況を作り出さない、生活の工夫が必要であると考えています。

フレイルを予防するための食事や、口腔ケア、運動療法といった取り組みは普段から必要ですが、ケアマネジャーはどうしても、介護が必要になってから高齢者と関わることが多いため、この視点が抜け落ちているように思います。

「共に考える」視点で連携室と協働を

在宅介護について、看取りを中心とした「諦めさせる風潮」があることが少し気になっています。

十分検討したにもかかわらず、延命に執着し続けるのは、私たち地域医療連携室のスタッフも、専門職として戸惑いを感じますが、かといって、なんの創意工夫もしないまま、一般論を持ち出して治療を諦めさせるような支援はしたくないとも思っています。

地域医療連携室にいると、さまざまなケアマネジャーにお会いすると先ほど申し上げました。私たちは、知り合ったケアマネさんと少しでも協力し合い、ご利用者のための支援について一緒に考えたいと思っています。

「もう限界だった」とケアマネさんがおっしゃる、その“向こう側”を一緒にひもといたら、やり尽くしていなかったことが見えてくるのではないでしょうか。

私は最近、2つの言葉を大切にしています。

1つは、「レジリエンス」という言葉です。これは、困難なことが起こった際、しなやかに、柔軟に回復する力のことです。

もう1つ大切にしているのが、「ネガティブケイパビリティ」という言葉です。ネガティブというと、なんとなくマイナスな響きがありますが、困難な状況にあっても、じっと耐えて時機を待つ「諦めない心」を意味しています。

ケアマネさんにはどうか、シャットアウトするのではなく、「共に考える」という視点で、お近くの地域医療連携室と協働していただきたいと思います。そして、在宅の状況に疎くなっていく私たちが目を見張るような創意工夫を、ぜひお教えいただきたいです。

私は、そのように一緒に考えてくださるケアマネさんと共に、いずれ訪れる自身の老後に備えたいと思いながら、わくわくしています。これからも、どうぞよろしくお願いします。

塚本知恵子
看護師免許取得後、兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)や淀川キリスト教病院(大阪市)などで、病棟の看護師や看護管理者の仕事に従事。2003年にケアマネジャーに転身し、約8年間、大阪府池田市内の居宅介護支援事業所で勤務。その後、同市内の市立池田病院などを経て、2019年から伊丹恒生脳神経外科病院(同県伊丹市)地域医療連携室長。現在、一般社団法人日本地域統合人材育成機構で医療・介護従事者を対象とした接遇講座などの講師も務めているほか、看護師のための「ナースのかたり場」を主宰し、専門職の教育支援なども行っている。

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